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魔王は本当に悪なのか
あらすじ
「ふぁ~あ、よく寝た」
僕の名前はカルメ。ただの魔王様に仕える悪魔だ。
ただの、ではないかもしれない。なぜなら魔王様直属の四天王の一人だからだ。
魔王様はよく「ふぁんたじい」というもので言われる冷酷な人界を侵略しようとする悪者ではない。
僕たち魔族にも平等に接して贔屓したりしないし、いざという時は守ってくれる。
最高の王だ。
だが最近そんな魔王様に悩みがある。
どこかの人間が魔王は人界を支配し人間を殺そうとしている、という噂を流しているという情報を人間に擬態して暮らしている仲間たちに何十回も報告され、このままでは「ふぁんたじい」なるものと同じ展開になり魔族が全滅してしまう危機に陥ってしまうかもしれない。
そんなことだけは防がなければならない。
だが、魔王様は人間とは争いたくないらしいので特に対策もしていない。
だから四天王の僕が守るんだ___

壱話
「これから、四天王会議を始めます」
__今喋ったのが一番目の四天王、キアン。きっかりしてて真面目。僕とはあまり気が合わない。種族は悪魔。
「うふふ~。毎月の会議、いつも暇だから楽しみなの~」
のんびりした雰囲気の二番目の四天王、マシロ。ほわほわしてるが結構戦闘狂。なんだかちょっと怖い。種族はキアンと同じく悪魔。
「今回は魔王様呼ぶかっ?」
おちゃらけた感じの喋り方の奴が三番目の四天王、トレコ。おちゃらけた感じが僕は好き。トレコによると「てんせい」をしてここに来たらしい。種族は人間と悪魔のハーフらしい。
だが今魔王様は魔族からの最近よく届く報告書の対応で忙しい。
けど.....眠い。僕は思ったことを言う性格なので言います(?)
「眠い.....」
まぁもちろん今発言したのが僕、カルメ。四番目の四天王!種族は亡霊と悪魔のハーフ。だからたまに半透明になる。ほら、今も眠くて手が半透明になってきている。
「眠いは今この場に関係ないだろ」
ほらこの真面目すぎるキアンが僕のちょっとした呟きに反応してきた。
「いやっ、カルメはただ思ったことを言っただけだっ!」
こんな風にトレコは僕がキアンに詰められたとき庇ってくれる。優しいから四天王の中で一番好き。
「眠気覚ましに戦いしましょうよ~」
え.....?
あ、マシロの戦闘狂の才能(?)が出たな。すぐ戦いたがる。
戦いはあまりしたくない気分なのでどうやって考えていたその時、
お優しい魔王様がふわり
と会議室に入ってきた。
「おやおや?今回は何を話しているのかな?」
魔王様の声が響くと部屋の空気が一変する。
声の主は我らが魔王様.....ツイレ様。種族は悪魔だと僕は思っているが本当は何かわからない。
「カルメが会議に関係ない『眠い』という感想を勝手にしゃべったのでダメだろうと注意していました」
「教えてくれてありがとう、キアン。では、本題にはいろうか」
「「「「はい」」」」

弐話
「では、本題にはいろうか。.....人界で流れている噂についてだ」
魔王様がそう言うとさっきまでのゆるりとした雰囲気がぴたりと止まった。
噂、そう。魔王様が人界を支配し自分の物にしようとしている、という噂だ。
「しかし噂とはいえ、なぜ急に広まったのでしょうか」
キアンがピシリと手を挙げて言う。やはり真面目だ。
「そうなんだよ.....『悪事千里を走る』とは言うけど早すぎる」
魔王様の表情が少し曇る。滅多に見ない顔だ。
.....というか「悪事千里を走る」の意味少し違うような気がするが気のせいだよね。
「ただの噂ならまだいいんだ。だが、この噂はどうも意図的に広めている者がいるらしくてね」
意図的に.....?
さっきまで僕の頭脳(?)を曇らせていた眠気が吹き飛ぶ。
「誰がそんな噂を広めたんだよっ」
おちゃらけている者だが、こういう話は四天王らしく気になるらしい。
たしかマシロが人界にスパイとして暮らしていた魔族たちの報告をまとめていたはずだ。
それを見れば少しは噂の元の地域とかが分かるかもしれない。
「マシロ。報告のまとめを持ってきてくれ、見たいんだ」
「わかりました~、持ってきますね~」
マシロ、やはり何か怖い。僕は半分亡霊だから殺されたりはしないが.....
「もってきました~」
僕が考え事をしているうちにマシロが帰ってきていたようだ。
う~ん、大体見た感じ分からないな.....
「実は、噂が広まり始めていた地域が特定できていてね。この地図に書いてあるから見てくれ」
流石は魔王様。仕事が速い。
キアンがいつの間にか地図を持っていて、机に広げた。
その地図には赤いマーカーで濃くグルグルと印をつけてあるところがあった。
「メリマリア町、というところでね。特に人口が多い町の一つなのだが、最初に噂が流れたのがここだったらしい」
メリマリア町?あれ、あっ.....頭が痛いっ.....

__アレ、ココはドコ?ボクハドコニイルノ?
ゴーン ゴーン
__オトノモトハドゴ?ドコ?ドコ?

「ヴヴッ.....」
「どうしたんだ、カルメっ!」
あれ、僕なに寝てたんだろう。いつの間にか寝ていたようだ。
だが夢の内容は思い出せない.....
思い出そうとすると頭にきつく紐を巻かれたような痛みに絞められてなかなか思い出すことができない。何か大切なことがあったような.....
いや、思い出そうとしても痛みのせいでどうせ思い出せないだろう。というか、思い出したくない。
「.....生前の記憶、いや、カルメは生まれたころからもう半亡霊だ。『生前』はないはずだ」
「カルメ、無理に思い出さなくてもいい。君が封印するのを決めたのにまた解いてどうする?」
キアンはなにかぶつぶつ呟いている。何を言ったのかは聞こえなかった。
魔王様は僕が何に苦しんでいることを見透かしたように柔らかく思い出すのを止めろといった。
みんなは何か知っているのだろうか。
___今知っても何も得る物もないだろう。
.....?今なぜこう思ったのだ?
もうこのことは思い出さないようにしよう。そうしないと僕が思い出せない苦しみよりももっと深い苦しみに落ちるような気がして.....
「そうだ~、逆にカルメにメリマリア町に行かせてみるのはどうかしら?」
「僕、が?」
「今の状態のカルメには危険だ。私は止めておいた方がいいと思う」
メリマリア町、それは僕にとってどんな町なのか。
僕が自分で封印した「傷」をまた解くのは知りたがり屋で気が引けるけど、それよりも僕の「記憶」が知りたい。
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