なんか何もない時に書いてもダメだな。何も出てコーン。とうもろこし。とうきび
「おーい出てこーい」
芝刈りに山に来ていたお爺さんは山に向かって叫びました。家に帰ろうとしたところ、一緒に山に来ていた犬のゴローがどこにも居ないのです。
「ゴロー、何処だー」
お爺さんは声を大きくして呼びかけますが、ゴローの気配はありません。
「それとも自分の家に帰っちまったのかなあ」
 お爺さんは声を小さくして呟きます。ゴローは最近何処からともなくやってきて、おじいさんの家に住み着くようになったのです。
 子どもはとうの昔に都会に出て行って、お爺さんとお婆さんの二人暮らしで寂しくなった家がゴローを受け入れる事にしたのは数日もたたないうちのことでした。
 それからお爺さんとお婆さん、ゴローの二人と一匹は一年を過ごしました。
 太陽が心地よい温かな風が吹く春、強い日差しが降り注ぎ何処までも青い空が広がる夏。虫の囁きと共に月を見る秋。震える寒さを身体を寄せ合って凌ぐ冬。そして再び春を迎えました。
 そうして今日、お爺さんはゴローと共に一年ぶりに山に入ったのでした。
 お爺さんはゴローの名前を何度も呼びました。それでもゴローは出てきません。お爺さんは草をかき分けたり、木陰を探してみたりしましたが、見つかりませんでした。
どれぐらい長い時間が経ったのか、太陽も傾いて辺りは薄暗くなってきました。
 お爺さんがゴローを探すのを諦めて帰ろうとします。お爺さんは大きなため息を吐くと、丁度地面に犬の足跡が見えたのです。
「ゴロー?」
 その小さいながらも強く残る足跡は、この一年で沢山見たゴローのものでした。
 お爺さんは足跡に沿って、山の奥へと進んでいきます。長く山に住んでいるお爺さんでも入った事のない奥深く。
 草むらをかき分けて、岩を登ったり降りたり。ゴローの足跡は何処までも続いていました。
 お爺さんは前も見えないほどの大きな草をかき分けて進むと、石畳で整備された道に出てきました。
「はて、こんなところあったかな」
 道はまるで神社の参道のように整備されていました。
 ゴローの足跡が途切れて、お爺さんがどうしようかと考えていると、道の奥から祭囃子がきこえてきました。微かに笛と太鼓の音が聞こえます。
 お爺さんはゴローを見かけた祭りにきた客がいるかと思い、祭囃子の聞こえる方に向かいました。
 
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