これでまたひとつ積みゲーを消化できました。
しかし俺たちの戦いはこれからだ!
本作は「アムネジア」の制作元であるFrictional GamesによるSFホラーゲーム。
2015年のトロントに住む主人公サイモン・ジャレッドは、交通事故により妻を失い、自身も脳に障害を負います。その治療のために脳スキャンを受けていたところ、アクシデントでサイモンは失神。気がつけばそこは見知らぬ無人の研究施設。プレイヤーは謎と恐怖に抗いながら、謎の施設「PATHOS-II」を探索することになります。
本作は「アムネジア」と同様に戦闘は一切なしの、ストーリーテリング重視のゲームとなっています。パズル要素も各所にありますが難易度はそこまで高くはなく、ストーリー最優先の構成。
プレイヤーは機械とも生物ともつかない不気味な組織に覆われた施設内を探索し、襲ってくる怪物から身を隠しながら施設の謎と自身になにが起こったかを探っていきます。
本作はSFにおける古典的なテーマのひとつである「自我のありか」や「現実とはなにか」を深く掘り下げ、プレイヤーに否応なくそれについて考えさせる作りになっているのが魅力であり、本作最大のホラー要素となっています。
プレイヤーの分身として施設内を探索するサイモンと、協力者でありすでに自我をコンピュータの中に転送されているキャサリン。両者にとっての「現実」は果たして同じものなのかという積み重なる疑念。
自我データを別の肉体に転送したかと思いきや、自我は転送ではなくコピーされており、コピー先の自分からコピー元の自分を見たときの言葉にできない衝撃。
詳細なネタバレは避けますが、本作では何箇所かプレイヤーに重大な選択を迫る場面があります。しかし、本作はマルチエンディングではなく、それによってエンディングが変わることはありません。つまり、プレイヤーがどんな選択をしようともサイモンの最終的な運命は変わらないのです。
本作を最後までプレイし、サイモンの行き着く運命を見届けたときのあのなんとも言えない居心地の悪さと不安感。ゲーム冒頭にその言葉が引用されているSF作家P・K・ディックの作品でしばしば味あわされる「現実の不確かさ」を、本作ではより深く刻み込まれるでしょう。