私はいつの間にが見知らぬ白い天井の下で目を覚ました。
部屋は小さく、きれいだがどこか古い匂いがした。
視界がまだぼんやりとしていて、いつもと違う風景にまるで夢の中に迷い込んだような気持ちになる。
「.....夢?」
そう思いながら体を起こすと床には丁寧に畳まれた布団と、きれいな衣服が置いてあった。
ふと見た窓の外では知らない鳥が鳴いている。柔らかく、高く優しくて、どこか安心するような声だった。
廊下から足音が聞こえ、優しい声がかかる。
「おはようございます。朝ごはんにしますね。隣の部屋に来てください」
私はゆっくりと立ち上がり、声が聞こえたドアにゆっくりと近づく。
ドアを開けると、廊下は優しい木の匂いと柔らかい朝の光で満ちていた。
自分がいた部屋は一番奥で、ドアのプレートに「白の部屋」と書かれていた。
言われた通り隣の一つ手前の部屋のドアノブをゆっくりと回し、ドアを開ける。
「朝ごはんの準備はできています。ここに座ってください」
私は小さく頷き、返事をした。
その声が小さく、震えているのに気が付く。
でも、気にせずに言われたところに座る。こんなことで色々考える理由はないからだ。
朝食の席には、昨日の残りのような小皿がいくつか置いてあった。
一切れのトーストは耳が少し焦げていて、目玉焼きも完璧ではない。
だが、全てきちんと盛り付けられている。
私は箸を取り、静かに口に運んだ。
朝食を終えた後、私は言われた「白の部屋」で窓の外をぼんやりと眺めていた。
庭の片隅に、小さな生き物が動かなくなっているのに気が付く。
小さな犬か、野良猫か。正確には分からないが、庭の隅で誰にも気づかれることのなく息を引き取ったのだろう。
その小さな体を、誰も気にしていない。
「.....」
私は声を出さず、そっと目を逸らした。
胸の奥がキュッと締め付けられるような、そんな感覚がした。
でも、もし手を差し伸べようとしても何をすればいいのか思い浮かばなかった。
手を伸ばすこともできるし、無視することもできる。
どちらにも大した違いはない。そんな気がした。