とりあえず隙間時間で書くのは、自創作の秘密基地。一旦内容を見返して、五時までに一話書きたい。余裕があったらふみひらきを書きたいけれど、そこまで上手くはいかないかもしれない。寝起きだからタイピングも遅いだろうし。ともかく頑張ってみる。
 というわけで、ちょっと見返してくる。
 僕たちだけの秘密基地 2-25
「その日からの学校生活は大きく変わった。こういう風に言うときって何かしら運命の出会いがあったとか、ライトノベルとかだとそんな感じだろうけれど、残念ながら俺の場合はそうならない。佐久間が俺に目をつけて、クラスの雰囲気が大きく変わった。
 佐久間は執拗に俺に絡んできた。毎日昼前に登校してきては、ある意味で目立つ俺をターゲットにして、何かしらで俺のことを傷つけてくる。高校生デビューのクソ、とか言葉を投げかけられたり、普通に暴力をしてきたり。たまに機嫌がいい時にはパシリをさせられるだけで終わったこともあったけれど、パシリのときはまだましだったと思う。俺の金を使ってアイツに貢げば、それだけでその日は落ち着いてくれるからな。まあ、そんな日は週に一度あればいい方で、だいたいは暴力が俺を襲ったよ。
 俺は佐久間に目をつけられないように、ワックスを塗りたくることをやめた。だって、そうだろ。あからさまなくらいにいじられて、その上で暴力を振るわれてきたんだ、ターゲットになりたくない一心で髪型とかも今みたいにしていったけれど、そんな風に身なりを変えても意味はない。佐久間は俺の姿を見るとやはり絡んできて、何かしらを俺にやってきた。
 クラスの俺に対する視線も異なってきた。最初期こそは関わってくれていたし、俺のあのワックスの髪型があっても、生暖かい目というか、ともかくとして前向きな部分を感じられることができた。でも、佐久間が来てからはそれが同情的な視線に変わる。自分は関わりたくない、というそんな気持ちが孕んだ視線になって、ちらちらとこちらを見てきては、俺が合わせた視線をすぐに逸らすようにした。別に助けを求めたかったわけじゃないし、きっと俺がそいつの立場ならそうする。だから、何も文句はないけれど、せめて同情するような視線を向けてくるのはやめてほしかった。
 そのいじめはずっと続いた。夏服に切り替わってからは主に腹部に暴力を受けるようになった。佐久間としてはあからさまにいじめをしていることがバレたくはなかったんだろうな。割と毎日ってくらいに生徒指導に呼び出されては、そのたびに俺は暴力を繰り返された。さっさと中途半端な金髪なんてやめればいいのに、あいつはそうすることを選ばなかった。
 あいつが遅刻するまでの間は平和だったから、毎日遅刻してくれないかって、俺は何度も祈ったもんだね。あいつが休んでくれる日が来たときにはめちゃくちゃ喜んだけれど、それも束の間でしかないし、休んだ翌日には顔を見せて、嫌な笑顔で俺のことを馬鹿にして殴るようにした。まあ、陰気ないじめではなく、わかりやすいいじめに俺はあった。それがしばらく、おおよそ夏休み明けまでは続いたかな。
 その頃から、俺は学校に行くのをやめてしまった」
 松原は僕が反応を返せない、そんな様子を見ても言葉をつづけた。
「学校に行く意味を見出せなかった。期待していた青春のようなものもなかったし、学校に行けば佐久間が俺に絡んでくる。周囲はそれを救おうとすることはなく、ただ冷ややかな同情する視線で俺を包んでくる。教師も俺が暴力を振るわれていることに気が付いているはずなのに、確実に目が合ったはずなのに、それでも改善を図ろうとはしてくれない。まあ、俺が直接的に教師へと伝えていなかったことが問題だったんだろうな。問題が問題として挙がるまで、俺の学校生活が変わる、ということはなかった。
 俺の家、基本的に両親が共働きでは、日中はいつも家に誰もいない状況だったのが功を奏した。俺がサボってもだれも文句を言わないし、学校を休むたびに平穏を手にしたような気がした。インターネットを使って中退したらどうしよう、とか考えたりもした。転校という手段も考えるには考えたが、私立に行くような金はなかったし、他の公立へ行けば今よりも金がかかりそうだったから、なかなか行動を起こせなかった。
 だいたい一か月くらい不登校になって、運がいいのか悪いのか、母親が返ってきたことがある。俺は母親が帰ってくることを想定していなくてな、実際に顔を合わせたときにはどんな言葉を返せばいいのか、いまいちわからなかったよ。一番最初こそ叱られたけれど、それでも休んでいる理由をしつこく聞かれて、結局俺も白状した。学校でいじめられてる、不良に絡まれてる、ってな。我慢できなかった、という部分もある。こらえられずに涙が出た。あれなんだよな、感情が爆発するみたいになるとき、自然と涙が流れるもんなんだな、って俺は思ったよ。だいたいのことを話し終えた後、俺は顔をぐずぐずにしながら泣いていた。それくらいには追い詰められていたんだろうな。
 母が俺のことにとりあってからは、仕事も休むようになって、学校にどういうことなんですか、と何度も連絡をした。最初は電話だけが耳に届いていた。別の部屋にいるはずなのに、大きな声でそれは届いた。そのたびに母親にこんなことをさせている自分が情けなく感じた。
 それからは学校と繰り返し面談、という形。文化祭が控えている状況で学校もあまり問題ごとにはしたくなかったんだろうな。母の言葉に繰り返し頭を下げていた。特に校長先生とかは本当に申し訳なさそうにしていたけれど、担任の教師については冷や汗を浮かべるくらいで、こちらに対しての謝罪も誠意がこもっていないように感じた。
 それでも、なんとか俺の母によって苦情、……苦情というか、正当なクレームは報われたようで十一月くらいには佐久間も退学することになった。夏休み明けを最後にアイツの姿を見たことはない。それでも、クラスへと元に戻れる、というわけにもいかなくてな、進級する三月までは保健室での登校という形になった。ほら、クラスの連中も俺の顔なんて見たくなかっただろうし、俺もクラスに顔を出すことに躊躇いがあった。佐久間がそこにいるわけでもないはずなのに、クラスへと行こうとすると震えが止まらなくなる。吐き気が重なって、年度末まではずっと保健室にいた。
 二年になって、ようやくクラスが変わった。教室の場所も変わったことで、何の気なしに自教室へと足を赴けば、俺の震えがなくなったことに気が付いた。それからは保健室じゃなくて、きちんとクラスに足を運べるようになって、今に至る、って感じだな。
 ……今でもチクった俺のことを探しているんじゃないか、ってひやひやしながら登校するときがある。高校をやめて、きっと暇に明け暮れているだろうからな。他の学校に転校とかしているのかはわからない。佐久間の行方はわかりはしない。
 でも、それでも俺はたまに怖くなるし、その上で人の振舞いが目についてしまう。人の態度なんてころころと変わるもんだからな、それについてはどうしようもない。表面的な部分と内面的な部分があることを、俺はよく知っている。一年の時のクラスがそうだったんだ、実際にそうだったんだから、裏切られるような形にもなったそれを、俺はもう信じることもできないし、好きになることもできやしない。
 ……だから、嘘が嫌いだ。誤魔化すような嘘が嫌いだ。表面的なそれが嫌いだ。冗談であるとわかっていても、あからさますぎる嘘が嫌いだ。俺を裏切っているんだろうな、と考えると、途端に吐き気を思い出してしまうから嘘が嫌いだ。どんな事情が含まれていようと、そこに俺を傷つけないための意思が含まれていようと、結局それを俺は知らないのだから、嘘は嘘でしかない。
 だから俺は、嘘が嫌いなんだよ」
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とりあえず用事の時間まで書く
初公開日: 2025年07月07日
最終更新日: 2025年07月07日
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コメント
十時くらいから用事があるので、その隙間を使って書きます