セックスしないと出られないけど衣食住完備でラグジュアリーなお風呂がついてくる部屋
※タイトルこれですが、今のところ全年齢向けの小説の予定です 少なくとも配信分では性描写パートは飛ばします
DAY1
「どうも! 樺沢太一です! 今日はなんとですね……知らない部屋にいます!」
「ふっと気がついたらここにいたんですよ。なんらかの陰謀を感じますよね。これって犯罪ですよね! いや~しかしどこなんでしょうねここは。とりあえずカメラを回してみたんですが、これから部屋の様子を探ってみようと思いま~す!」
「あっ、見てください、何か書いてありますよ。セックスしないと出られない部屋……」
「えっ!?」
「って、なんで俺ひとりなんだよ! おかしいだろ! えっ!? おかしい……おかしいだろ!!」
 二〇二一年十一月某日、山本冬樹は疲れていた。ものすごく疲れていた。
 山本はアイドルのマネージメントが仕事で、今は「ミステリーキッス」というアイドルユニットを担当している。正直、ものすごくいい感じである。と山本は思っている。
 いや、それが実際は思い込みにすぎないことも、ごくうっすらと、すごくうっすらとではあるが、山本はちゃんと理解していた。しかし、ちゃんと理解したうえで、その件に関しては全く考えないことにしていたので、そのぺらぺらの現実感は、山本からうしなわれてひさしかった。とにかく、ミステリーキッスは今、すごく、とても、とてつもなく、いい感じなのである。そのはずなので、メンバーが死んでいること、嘘をついていること、死体遺棄をしたこと、メンバーのひとりが犯人かもしれないこと、嘘をついていること、ヤクザにあがりをおさめなくてはならなくなって多分ずっとこれから先もそうであるということ、つまりミステリーキッスが売れたところでヤクザとの関係がすっぱ抜かれたらそれだけでもう「おしまい」であるということ、少なくとも死体遺棄単体で犯罪なのだということ、は、全て、どうでもいいのだった。本当か?
 ほとんど眠れないまま酒を飲み、昏倒するように少し寝て、悪夢を見て飛び起きる。そういう生活を続けていたものだから、インターネットを流れる噂は見ていなかった。ミステリーキッス応援アカウントをチェックしていたくらいで、それ以外の事は、とくに何も。
 山本が、シュルレアリズム的な形をした警官に追い回されるというシンプルな悪夢を見て飛び起きたある日、気がつくと、見知らぬ部屋にいた。
 遠近感が掴みにくい、真っ白な壁に囲まれている。扉も窓もなにもない、のっぺりとした、無の空間である。調度品もそのほかの何も、なにひとつ置かれておらず、当然ながら山本は、床に転がっていた。背中が痛い、と思い、ここはどこだろう、と思い、誰もいなくて静かだ、と思った。誰もいなくて静かで、深く眠れそうだ、というのが、一番最初に考えたことだった。
 とたん、山本の背中のうしろに、マットレスが出現した。
 ホテルライクの、白いシーツがかけられたベッド。枕がふたつ。長身の山本が横たわるにも十分な大きさのベッドだ。一人暮らしを始めるとき、ベッドを選ぶのに苦労して、結局妥協してあしもとに追加パーツを置いて使っている、という、今全然関係ない思考が、頭をよぎった。
 今山本は、扉のない、つまり警官がノックすることのない、閉ざされた、つまり何に邪魔されることもない、静かな、つまり何に追われることもない、場所にいた。疲弊した山本の頭は、その事実だけを、ざっと見回した部屋から得た。
 そしていつのまにか、ベッドの傍らに、サイドテーブルがあり、誰が用意したのか定かでないカクテルがそっと置かれていた。誰もいないんじゃなかったのか、と思ったが、特に深く考えず、山本はそれを口にした。なぜなら、それを今、飲みたいと思っていたのは、山本本人だったから。
 カクテル・グラスに注がれた、ブランデーベースのカクテル。「ナイト・キャップ」という名前がついている。寝る前に飲むためのカクテル。
 寝かせてくれ、とずっと、思っていたような気がする。
「山本さん」
 声が聞こえたが、山本は、だからというか、しかしというか、それでもというか、「寝かせてくれ」と言って、そのまま、ベッドにうつ伏せた。
「わかった。おやすみなさい」
 すごく聞き覚えのある女の子の声だったが、誰なのかを判断する能力は、今の山本には、なかった。
DAY2
「あかん」
「まだ何も言ってないじゃん~」
「あかんあかんあかん。これってあれやろ? 噂になっとる……」
「そんなに嫌?」
「そんなに嫌とかちゃうくて。ルイちゃん、よく考えや。普通にダメ、とにかく、未成年のうちはなにがなんでもダメ」
「まあ、そういう約束だったしね。でも十八って未成年じゃないんだけど」
「今はそうやった……で、でも、二十歳までは、少なくとも、ダメ」
「どうせこんな変なところでは嫌だよ」
「おーい。誰かいませんかあ!? というわけで、俺ら、絶対しないですよぉ!! 待っても無駄やから、この時間が! 仕事あるんで帰してくださーい」
「仕事はしなくていいよ~」
「ルイちゃんだって仕事あるでしょうが!」
「ダメよ~」
「まだ何も言ってないよ!」
「いや~こんなことってある? なんで柿花さんなの?」
「それはもう、タエ子ママと俺の間に、運命の赤い糸が」
「あはは!」
「笑うところじゃなくて」
「笑うところでしょ、いまのは、完全に」
「ダメかな? ダメじゃないんじゃないかな? だってさあ、ここって……」
「噂になってるわよね。お客さんから聞いたわ~」
「まあ、その話を聞いてるところを、横から聞いてたんだけど」
「ここってどういう仕組みなのかしら? 陰謀? 犯罪? ジャーナリスト魂が騒ぐわ」
「ジャーナリストじゃないじゃん」
「ちょっと柿花さん、そっちの方調べてくれる?」
「ねえ~ちょっと~ホントにそんなに脈ない? ねえ~せめて返事して~」
 怪奇! セックスしないと出られない部屋!
 ――数日前から、インターネットを流れている噂である。
 なんでも、何にもないし出入り口もない部屋に閉じ込められて、セックスしたら出られるのだとか。実際出てきた人が、ちらほらいるのだとか。真偽は定かではではない。というか、いわゆる都市伝説というやつであって、本当の話なわけ、ないと思う。少なくとも、ここに来るまで、市村しほは、その存在を全く信じていなかった。
 白い壁と、白い天井と、白い床、に囲まれた、四角い部屋である。そう極端に広い空間というわけではないが、少なくとも市村の、東京驚き物件としてYouTubeで紹介できそうな狭小アパートより全然、広い。そしてそのど真ん中に、山本冬樹が寝ていた。
 市村は「ミステリーキッス」というアイドルユニットの一員である。最近、メジャーデビューしたが、市村は顔に仮面をつけて活動している。色々あって、というか、どうも何か色々あったっぽいのだが何も説明しては貰えないままで、気がついたらそういうことになっていた。
 元々、お金目当てで始めた仕事だった。中卒でできる仕事は限られていたし、市村は、とにかくお金持ちになりたいと思っていた。アルバイトよりはマシだろうと思ってはじめて、思ってたより甘くなくて、でも、アイドルとして頑張るのは、悪くない、楽しい、もっとがんばりたい、と思い始めていた矢先だった。
 話しやすかった三矢ユキが消えて、かわりに後輩ができた。顔に仮面をつけて活動するように指示されて、「顔だけはちょっとかわいい」というペラペラの自信まで剥がされた気がした。あまつさえ、最近はずっと、アイドルとしての仕事のあとに、おじさんとメールしたり、たまにご飯を食べたり、している。接点を作ったあとであることないこと美人局というやつだ。仮面をつけさせてるのはこのためなのかな、と思って、そんなくだらない理由で? とも思った。大人の考えることって何にも分からない。
 三矢ユキがいなくなってからずっと、砂浜に立っている気分だ。わかるかなこれ(誰に言ってるってわけでもないから分からなくてもいいんだけど)、裸足のしたの砂が、波に攫われて、だんだん減っていくときの、あの感じ。足もとが崩れていって、最後にはなくなってしまうのを、突っ立って待ってるだけみたいな不安感。
 というのが市村の現状だったのだが、それはともかく、部屋に寝転がっているのは、山本冬樹、市村の(市村たちの)マネージャーだった。
 巨大なベッドが、真っ白いだけの部屋のど真ん中に置かれていて、サイドテーブルにはお酒のグラスがあって、山本はベッドの上にあぐらをかいて死んだ目をしていた。それが、市村がこの部屋に来たとき、最初に見たものだった。山本は市村の出現に気づかないまま、グラスを手に取って、一気に飲み干して、ばたんとベッドに倒れた。急性アルコール中毒とかを若干心配するような倒れ方だったが、単にふて寝、という風にも見えた。
「山本さん」
 市村は声をかけた。山本は「寝かせてくれ」と応えた。
 ので、寝かせておいてやった。
 それにしても、部屋の大きさに対して、ベッドが大きすぎる。でも山本は体が大きいので、これくらい大きなベッドでジャストサイズなんだな、と思いながら、市村はしげしげとベッドを眺めた。白いベッドカバーには、赤系のワンポイントが入っていて、そつのない柄が、何か知っているものを想起させた。しばらく考えたあとで、市村は、「山本さんってこういうの好きだよね。普通な感じ」と呟いた。しばらく考えるかいのない結論だった。市村の語彙だと、普通な感じ、というのが精一杯だったが、要するに、派手すぎず、かといって地味すぎず、気が散らないようなベッドカバーのデザインで、山本が家具屋や寝具屋に行ってわざわざ選んだみたいに見える、ということを考えていたのである。
「部屋、狭いなあ」
 振り返って、見回したとたん、――それは起こった。
 市村の目の前で、あからさまに、部屋の壁が遠ざかった。
 部屋はふたまわりほども大きくなり、山本のベッドの大きさもさほど気にならなくなった。
「え。えー!」
 驚いて壁に駆け寄る。ぺたぺたと触ってみる。普通の壁だと思う。材質とかのことはよくわからないが、とりたてて変とも思えない。
「え。えーと。もっと広くなって?」
 ためしに声に出してみる。果たして、部屋は、もうひとまわり大きくなった。
 どきん、と心臓が鳴る。頭の中がわくわくしてきて、市村は、壁を触りながら、意を決して言った。
「この壁の向こうに、足が伸ばせるジャグジーつきのお風呂、作って」
 ――部屋の壁には、磨りガラスの扉が出現した。
 それから二十四時間。市村は風呂を作りまくっていた。
 「足が伸ばせる」は、夢みたいなことだと思っていたが、実際に一言で叶うとなると、別に大した願いではなかった。面積の制限がない(らしい)ので、いくらでも巨大な風呂が作れる。泳げるくらい広くできる。なんなら露天風呂も作れるし、風景も自由に設定できる。お湯は冷めないし、ジャグジーもついているし、テレビもついているし、全部のお風呂から違う香りがする(入浴剤を入れなくても)。
「た」
 思いつく限り作って、疲れ切って山本のベッドの隅で少し寝て、また続きを作って、最初に戻って少しずつ修正を加えてアップデートした。
「楽しい~……!!」
 入浴するところまで行き着けない。壁に並んだ扉は全部、風呂に繋がっていた。長い壁と、並んだ扉と、長い壁の都合上発生した広い空間と、ぽつんと置かれた山本のベッド。ベッドサイドに腰掛けて、ようやく息をついたのは、ずいぶん長い時間が過ぎたあとだった。市村の体感としては、一瞬だったのだが。
「えー。どれに入ろう~。どれから入ろうかな~」
 嬉しくて足をばたばたと動かしていても、子供みたいなことはやめろと怒る人は、ここには誰もいない。山本は、まだ、眠っている。
 市村はふと、不安になって、山本の口元に手のひらをあてた。息をしているので生きているらしい。ならいいか。立ち上がったあとで、市村は軽やかに、「そうだ! バスローブ!」と宣言した。
 市村の手元に、ひらりと、白いタオル地が落ちてきた。
DAY3
↓情報↓
HARUコミ原稿ケツ叩き配信 チャットコメントお気軽に
チャットに書いている内容の実況を書くこともある
カット
Latest / 99:07
カットモードOFF
12:13
哉村哉子
変換が執拗に「イイ感じ」に変換するし、そっちのほうが合ってるような気もしてきた
19:00
哉村哉子
「シュルレアリズム的な警官」というのは、ダリっぽいという意味だと思うので、あとでもうちょっと書いてもいいんだけど、細かく書くほどのことではないな……
19:55
哉村哉子
ここまで書いておいてなんなんですが、「山本」と「冬樹」で人称迷っている なんか……このあとセックスちゃんと書くなら……「山本」だとちょっとおもしろくなってしまう気が……
20:15
哉村哉子
ここからちゃんとセックス書くことあるかな ないかも 普通に迷っています
25:51
哉村哉子
ナイトキャップ(就寝用のお酒)に適したお酒ってなんだろう 調べます
26:36
哉村哉子
ナイトキャップっていうカクテルがそもそもあるんだ これにしよう
29:45
哉村哉子
「うつぶせ」と「あおむけ」っていつもどっちがどっちだったかわからなくなるんですよね
31:42
哉村哉子
1章おわり 2000字くらい 7章までなのでまた2万字いかずにおわってしまう まあいっか 読みやすくていいよね……
38:26
哉村哉子
休憩行ってた もどりました
41:29
哉村哉子
方言はあとでチェッカー通します
51:47
哉村哉子
山本は山本にしたんだから市村も市村で行くかと思うんだけど、前回の山市本は「しほ」で書いたので、違和感がまだ……
87:46
哉村哉子
2章おわり いったん15:00まで休憩します だいぶつかれてきたのでそのあとどうするかはそのあと考えます
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20250204 オッドタクシーの二次創作
初公開日: 2025年02月04日
最終更新日: 2025年02月04日
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コメント
オッドタクシーの二次創作小説を書きます 本編&続編コミカライズのネタバレ要素あり注意 HARUコミの原稿です 内容は(配信部分は)全年齢向けです
20250224 オッドタクシーの二次創作(サトタナ)
オッドタクシーの二次創作の1000字作文をぽこぽこ無限に書くやつですお題→ https://shin…
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20250222 オッドタクシーの二次創作(サトタナ)
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哉村哉子