朝食に使う食材をバスティンが勝手に昨夜つまみ食いしてしまった。それで怒ったロノが今朝の朝食を抜けと命令して、本当に食べないようにその細身の身体を柱に縛りつけた。ベリアンから見てもそこまでしなくても…という仕打ちだったが何故か今日のロノは本気だった。バスティンがつまみ食いしてしまうのは今日に限った話ではないのだが…。
 だけどロノも鬼ではない。頃合いを見計らって縛った縄を解いてやり、朝食を食べさせてやるつもりだった。だがそこへ、天使の襲来を告げるサイレンが鳴ったのだ。皆一様に立ち上がり、戦闘準備をする。ロノもバスティンも準備に取り掛かったが、朝から何も食べていないバスティンは、自分の身体がどこか自分のものではないような、力が入らない違和感を感じていた。いつもの大剣が待てない…。仕方ないから武器庫から刀身が細い剣を見繕ってそれを持っていくことにした。
 バスティンの様子がおかしい。いつもの自分の大剣を使わず、あれは屋敷の武器庫にある普通の刀身を使っている。重心もブレて、冷や汗を流し顔色が悪い。
珍しい。アイツが戦いに集中できていないなんて…。
 天使との戦いでいつものように戦おうとするが、ふらついてどこか危なっかしいバスティン。向かってくる天使に構えようとするがすでにまっすぐ立っていることすらやっとだった。ロノが咄嗟に助けに入りことなきを得た。
 戦闘が終わった時だった。バスティンの細身がふらっと傾いたと思ったら、倒れ込んでしまう。ルカスが駆け寄り、助け起こすと、蒼白な顔をして倒れているバスティンがそこにいた。彼の腹の虫が鳴いたので、ルカスにはバスティンの空腹がすぐにわかった。
「バスティンくん、朝食食べてないんだね?」
 それを聞いたロノは思い出した。昔、バスティンがデビルズパレスに来て悪魔との契約も済ませたばかりの頃。腹を空かせすぎて今みたいに倒れたことがあった。身体に力を入れることを放棄したかのようにぐったりと。腹を空かせて倒れたのではない。バスティンがもともと持っている発作のようなもの。感情の起伏で全身の力が抜けてしまう脱力発作。
(今日に限って天使襲来があるなんて思わなかった…。知ってたら食べさせてやっていたさ。こんなに危ない目に合わせたりなんか…)
 悔しそうにロノが下唇を噛む。
 屋敷に戻り、食わせる予定のバスティンの食事を用意してバスティンが目覚めるのを待った。
 
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空腹時は発作が起きやすい
初公開日: 2025年01月04日
最終更新日: 2025年01月06日
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