※大幅に変更される可能性があります。
 エスカマリは目を閉じてサダルについて行くように指示する。動けなかったタルフの身体は、意思とは関係なく目を閉じて歩き出した。
 気味が悪いがどうしようもなかった。身体が止まって目が開いた時、タルフは一つの部屋の前に居た。
「ここ、アルディさんとレグルスさんと僕の部屋だから」
 むすっとしながらサダルは説明をする。すぐに部屋から離れようとしたサダルだったが、去りかけた足は止まり、なぜか戻ってくる。
「……ねえ、なんで人魚になったの?」
 目を合わせずにサダルはタルフに問う。
 タルフはいままで人に人魚の姿を見せることはなかった。その行動が、人魚の血が嫌いだという感情からきていることをサダルは知っていた。だから、タルフが人魚になってまで反撃してきたことが気になっているのだ。
 タルフは言われて、魚の星の血を嫌悪していた気持ちに区切りがついていることを自覚した。
「魚の星をこの目で見たやざ……」
 マルフィクが人魚だったことと、魚の星を通ったことで人魚がまったく知らない何かから、同じ人間だと知ったことは大きいとタルフは思う。だけどそれよりも、マルフィクが人魚になった時のアスクの反応が頭をよぎった。驚いていたが怖がるわけでも気味が悪いとも言わず、彼の過去話を聞いていた。そんな相手であれば自分もこの姿を見られてもどうともないし、誰に何を言われても気にならないだろう。そう感じたことを思い出す。
「それに……うらが半分人魚だって、おめえは何も変わらないと思ったらどうでもよくなったやざ」
 皮肉にもタルフのことを受け入れた人物は対峙していたサダルだった。
「…………」
 サダルはくしゃっと顔を歪めて踵を返して駆けだし、タルフを残して去ってしまう。タルフは彼の背中を見送るとため息を吐いた。
「……はあ、ついてないやざ」
 サダルを殺せずに腕を吹っ飛ばしただけで、捕まってしまった自分の不甲斐なさを嘆く。
「……落ち込んでても仕方ないやざ。レグルスさんとアルディさんに話を聞こう」
 タルフは立ち上がってきょろきょろと辺りを見回す。通されたのは広い雑談室のようで、この部屋を囲むように五つほどドアがあった。
 一つのドアを見るとアルディと書かれた札がかかっており、アルディの部屋だとわかる。
 タルフはトントンと扉を叩いた。
「あの、アルディさん?」
「はーい」
 小さくか細い声が返事をする。
「えっと、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫、大丈夫……ですわ~!」
 無理やり出したような高い声が返ってきてタルフは戸惑う。もしかしてなんかの病気で喉がやられているのだろうか。出てきもしないし、寝込んでいるのかもしれないと心配になった。
「あの、うらタルフやざ……なんか栄養つくものでも――」
「タルフ!!」
 大きな低い声が響いて扉がバンっと開かれる。
 目の前には金色の髪と瞳、印象的な額の傷跡、アルディとは真逆のキリっとした大人の男性的な顔、タルフはレグルスだとすぐに理解した。しかし服装はアルディさんが来ていたフリフリの女性用の服で頭が混乱する。
「え? なん、やざ?」
「タルフ無事だったんだな、よかったぜ!」
 タルフの戸惑いを気にもせず、快活な声でにこにこと笑うレグルス。普段の格好と違いすぎて、タルフの頭の中を?マークが埋め尽くしていた。
「いやー、アルディとサダルに置いてかれるし、借金の肩にアルディの代わりやれとか無茶ぶりされるし、タルフが来てくれてよかった」
「うらは帰りたいやざ……」
 聞いてもいないのに現状を説明するレグルスに、遠くを見るタルフ。ぽつりと気になったことを突っ込んでしまった。
「身代わりやるにしても恰好まで揃える意味は……?」
「聞いてくれよタルフ~! それがさー、アルディのヤツがどうせ演技も下手なんだから恰好だけでもどうにかしたらいかがかしら~? って強制してくるし、お前のサイズムリだろとか言ったらなんか入るサイズ出てくるし、どうにもできなくてよー」
 レグルスの話したい欲を踏み抜いたらしく、怒涛に話されてタルフは閉口してしまった。なぜかさっき無理に演技している時よりもアルディに口調を似せていてイラっとさせるのもあり、タルフはこれ以上その話題を聞くまいと思った。
「えっと、レグルスさんはここがどこだかわかるやざ?」
「いや、どこの星かすらわからねぇ」
「じゃあ、敵が何人いるかわかるやざ?」
「アルディとサダル以外見てないな」
「この建物の構造は、どうやざ?」
「この部屋から出てないからなぁ……」
 レグルスの返答になんの情報も持ってないことを知ると、タルフは死んだ魚のような顔で立ち尽くしたのだった。
「おい、タルフ!? なんだその目は!?」
 考えるのを放棄したタルフをレグルスが揺さぶったところにアルディが帰ってきて鉄槌を下すまで、タルフはついてないやざ、と頭の中でぼやいていた。
※このレグルスの話はおまけっぽい感じで載せようかな……!
ギャグとシリアスの温度差をひしひしと感じる。
スキありがとうございました!!
※下記はいれたかったが入れる箇所なかった
「兄貴のことより商売なんか!?」
「どっちも大事だよ。でも、あの人の心情を他人から聞かされても、僕は信じられないし」
「それは……そうやざ」
って喧嘩してたじゃん。っていうのをどっかに入れたい。
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オフィウクスの謎―加護を受けたと思ったら存在しない神だった―4章蟹の星2
初公開日: 2024年05月18日
最終更新日: 2024年07月09日
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コメント
タルフとサダルの過去話。
FIX稿までは小説家になろうにUPしてあります。
https://ncode.syosetu.com/n1652he/