荒い吐息が狭く薄暗い部屋に響く。向かい合って座った互いの息が混ざる。天童の両足はもうほとんど自身の重さを支えられていなかった。
いつだってそうだ。牛島とのセックスは体力との戦い。
揺さぶられる腰を掴む牛島の指が、汗で滑る。そのせいで不規則になるリズムがもどかしくて。その太い首筋に両腕をかけて強く引き寄せた。そして、そのまま、こちらから両腕をひいて腰を振る。
「わ、かとしっ、クンッ……‼」
滑る自身の腕がもどかしくて、思わず彼の背中に爪を立てた。
はっ、はぁ! んぅ!
どちらのうめき声とも吐息とも取れない音が互いの口から、鼻から、漏れ出る。相手の熱い息が頬にかかる。真下から突かれる快感と衝撃に、思わず涙が溢れた。
目の前がチカチカと点滅してくる。もう少し、もう少しで絶頂だ。
今夜何度目かの到達が近い。出し切ってしまった自分の前のものはもうすっかりへんにゃりとしおれているけれど、後ろだけで達することができるようになった身体はそんなことにはもう頓着していない。
ただ、ベタベタと滑る尻が、肩が、腕が、つるつると快感をも逃しているようで、もどかしい。あまりにも、もどかしい。
もうちょっと、もうちょっとなのに。
藁にもすがるような思いで、相手の背に爪を立てる。いつもだったらそんなことは絶対しない、大事な恋人の、世界的なアスリートの広い背中に、赤い赤い爪痕をいくつも残すのもいとわず。
ただ、快感に溺れる。
「てんど、ぅッ!」
ぐっと深く突き立てられる。純粋なピストン運動だけでなく、先端を最奥にこすりつけるようにグラインドさせられればぎゅっと強く奥が締まった。ありありとナカのものの形が解り、ビクビクッと天童の背が跳ねる。
ぐっと抜かれ、奥まで突き立てられ、ぐるりと擦り付けられる。そのいかにも自身の有り様を主張するような牛島の動きに、更に天童は息を荒くした。
酸欠だ。酸欠で気をやるのが先か、絶頂で気をやるのが先か?
止めどなく落ちる涙がパタパタとシーツに散る。それは汗と混ざって揺さぶられるままに飛び散っていた。
より一層、ぐっと押し入られたとき、プツン、と何かが弾けた気がした。ざぁっと結合部分から頭の先まで激しすぎる快感の波が押し寄せてくる。
流されてしまう。そんな抽象的な恐怖感から一層抱きつけば、より、深く繋がったそこから次々と快感が駆け上がってくる。
抱きしめる。離さないように。快感の波に流されて一体誰とまぐわっていたのか解らなくならないように。
「わかとしくん」
消えるように呟いた呼びかけに、確かに牛島が頷いた気がした。
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20230916夜ワンライ
初公開日: 2023年09月16日
最終更新日: 2023年09月16日
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【涙】
【爪痕】