雨の降る日はいつも、露に濡れた草原を歩いては足元を濡らしていた。お気に入りの淡い青色のワンピースに柄が増えれば、それが水玉模様みたいで綺麗だと思った。雨が降った日の空気はいつも、鼻の奥をきゅっと締め付ける匂いがする。それはきっと、雨に濡れた草花が空と一緒に泣いているせいだ。だから、エステルは足元を見下ろして、もう何もない土に声を掛けるのだ。
「ねえ、悲しくなんかないよ、エスタ、きっと、あなたと一緒にいるから」
 その下には、もう何も話すことのない人が眠っている。エステルが埋めた、大切な人たち。
 茶色の土が広がるその地には、人の死を弔うように小さな石が並べられている。エステル一人が作った墓地を、彼女はラルムと呼んでいた。彼らを亡くしてたくさん流れた涙の雫が集う場所。もうここで彼女が涙を流すことは無い。
 静かに手を合わせ、目を閉じて、かつての彼らを思う。彼らがもう、エステルを認識することは無い。土に還った彼らは、まだ、星になりきれない。
 死んでしまった人は星になると、母がそう教えてくれたが、見上げても星は浮かんでいない。彼女の目の前、まるで時が止まったかのように浮かぶ明かりは、
カット
Latest / 13:35
カットモードOFF