旅路の果てに
長い、長い旅だった、と彼は語った。
人生の半分以上を旅してきた彼はたくさんのことを知っていて、いつも色んな話をしてくれた。
旅先で出会った優しい人たちの心温まる話や反対に怖い人たちの耳を塞ぎたくなるような話。純粋すぎて心配になるような人たちの話や騙そうとしてきた人たちの話。旅人を歓迎してくれた人たちの話や逆に追い出そうとしてきた人たちの話。
世界には色んな人がいて、色んな国があることを彼は教えてくれた。
でも、そんな彼でもわからないことはある、と言う。
何でも知っているのに、と首を傾げれば、彼は口を大きく開けて笑った。
知らないことだらけだ。こんなに旅をしてきたのに、世界はまだまだ広くて、知らないことであふれている。どれだけ時間があったとしてもきっとすべてを知ることは不可能に近いのだ、と。彼はそう言った。
木葉がひらひらと舞い散る中、彼はやっと終わるか、と呟いた。何が、と聞けるほどもう子どもではないから、ただ彼を見つめるだけに留める。
思えば、しわも幾ばくか増えて、もうその足で歩くことすらままならなくなっていた。
長い、長い旅だった、と彼は語る。旅路の果てに彼は静かに笑って、眠りについた。
カット
Latest / 24:06
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
旅路の果てに
初公開日: 2023年01月31日
最終更新日: 2023年01月31日
ブックマーク
スキ!
コメント
1/31 お題「旅路の果てに」書く習慣より
お題もらって書いていきます #5
灯森ほののお話は「好きって言ったら怒る?」という台詞で始まり「焦げたトーストは、苦いのにやたら美味し…
灯森ほの(ななり海月)
お題もらって書いていく #4
灯森ほののお話は「人は本当に悲しいとき、涙が出ないのだと知った」で始まり「また会えますようにと願うほ…
灯森ほの(ななり海月)
お題もらって書いていきます
灯森ほののお話は「耳触りのいいその声が、好きだと思った」で始まり「貴方があんまり楽しそうに笑うからつ…
灯森ほの(ななり海月)
ゆう喜現パロネタメモ
壁打ちしてたら割とまとまってきたゆうぎり喜一の現パロいちゃいちゃ世界線のメモ
篠畑