一行は二手に分かれて準備を進めることにした。マルーとボールは自身の世界に戻って水の調達を。リンゴとリュウはもらったお金で食糧を調達することに。
「フライトで地図を確認した時、あの辺りが市場だったわよね」
「そうだねー。日持ちの良い食べ物を選ばないと」
「早く行きましょ。向こうアースで水の調達なんて楽勝なんだから」
「ほーい」
 二人はいそいそと拠点から離れ、市場へ続く緩やかな下り坂を進んだ。白い建物でいっぱいだった坂道は、下りるほどに鮮やかな布の日よけがのきを並べるようになっていった。
「遠目で見てるだけでも、食べ物全部美味しそうー」
「あたし達は買い物に来たのよ? 観光に来たんじゃないわ」
「そうだねー。あ、あれ美味しそうー」
「ちょっとリュウ! 待ちなさいよー!」
 と小ぶりの果物を指差しながらリュウはそれを並べている店へ駆ける。リンゴが慌てて追いかけた頃には彼と店主の会話が始まっていた。
「この街を出てすぐの林道で採れた木の実だよ。一粒食べてごらん」
「ありがとうございます。いただきまーす」
「だ、ダメよリュウ! 商品勝手に食べたらお金払わなきゃいけないじゃない」
「沢山あるから大丈夫。あなたも一粒どうぞ?」
「お店の人が言うなら……遠慮なく」
 つまんだ木の実は、見た目や感触からさくらんぼに近い。これを二人は同時に口に含めもぐもぐ。
「……んっ!?」
「すっっっっっぱあぁあい!」
「あっはっは! 良い顔だよ二人共!この実は目が覚めるほどの酸っぱさが売りなんだ。長旅のお供や見張り兵の必需品になっているんだよ」
「……森の中を見張るから、買っても良いんじゃないー?」
「……あたし達の目的は、あくまで日持ちの良い食べ物よ。今回の買い物には合わないわ」
「日持ちの良い食べ物だったら、この裏に干した実があるけど?」
 こう言った店主が二人に平かごを差し出した。そこには先程の実よりぐんとしぼんだものが綺麗に並んでいた。
「日持ちはしそうー」
「でもお腹いっぱいにするには厳しいわね」
「日持ちも腹持ちも良さそうな食べ物ねぇ。だったら、ここから左手に階段が見えるだろ? 降りた先三番目の店で知り合いが干し肉屋をしてるから、そこにあたると良いよ。この実を持ってれば察してくれるはずさ」
 はら、と店主が小袋いっぱいに実を詰めて投げ渡してきた。
「これ、もらって良いんですかー?」
「構わないよ! 見張り頑張ってね、旅人さん!」
 二人はお礼を言ってその場を去ると、木の実の店主の言う通りに階段を降りた。
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イセカイサイクロン『062話 新たな出会い』'22.9.5~
初公開日: 2022年09月06日
最終更新日: 2022年09月06日
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カクヨムにて掲載中の長編小説、最新話を書いてます!(公開2回目)
ネタバレ必至⚠ とはいえ累計60話以上あるので初見でも心配ご無用!(?)
少しでも気になった方はこちらからご覧ください https://kakuyomu.jp/works/1177354054884112223
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