日が傾き始めて日没が近い頃、まだ昼の暑さが残る遊歩道を自転車で走り抜ける。買い物袋はギリギリ自転車のカゴに収まっているようで収まっていない。急ブレーキをかけると溢れてしまいそうなバランスだった。特売だったアイスが溶けないうちに急いで帰りたい。少しペダルを漕ぐスピードを早める。
そんな時に限って信号に何回も足止めされ、踏切に引っかかり、子供たちの登下校の集団を見送る。その話し声は無邪気さも相まって夏の蒸し暑さを少しだけ思い出へと変えてくれる。
街灯が点灯し始めた頃、あと少しの道のりの最大の難関、坂道を自転車を押して登りながら無事に自宅に到着した。急いで冷凍庫を開けアイスを放り込む。一つだけ箱から取り出し、口に咥えながらベランダへ出てみた。西陽はもう建物の影にほぼ隠れてしまい、長く伸びる眩しい光だけが残る。柔らかくなったアイスを頬張りながら完全に影に隠れるまで見届ける。なんてことない日常の風景。毎日同じことは起こっている。ただ、今日感じたアイスの味と夏の暑さは今日だけの思い出だった。