投磁爆発した壁はガシャガシャ、ボロボロと崩れていく。その壁に沿うように私たちは上を目指していく。仲間たちを踏み台にして、自分を踏み台にさせて登っていく。地上が雲で見えなくなった頃に破壊された絶壁は登り終わった。片腕を伸ばして身体を引き寄せて向こうを覗こうとした。パシャリと軽い音がして胸部に衝撃を感じた。何が起きたか分からなかった。私の身体は仲間に引っ張られて塔の外壁に戻される。それを見た機械の子どもたちは一斉に塔の内部に入り込んでいく。機械の子どもたちの足音た共にパシャリパシャリと音が聞こえ、しばらくすると機械の足音だけになる。そうすると、バチバチと電気の音が胸部から聞こえていた事に気づく。見ると銃弾によって空洞ができてコードが断線して漏電している。塔の内部から土を踏もうとした時に、狙撃された。今更気づいた。見るに致命的なダメージだ。もう長くは生きられない。こんなはずでは無かった。
機械の子どもたちは私を塔の地下に運んだ。それが私たちの目的であり、私はこの時に自分が生け贄であることを明確に思い出した。何とか塔の地下へとたどり着き、深部に用意された席に座ることができた。これは延命措置でもある。私の壊れたコードを深部にある装置と繋げれば、大量のエネルギーを手にすることができた。それは自分が生き残るために必要な行為だった。後先を考えることなく仲間のためにそうしなければいけなかった。それと同時に膨大な情報に触れて溺れることになる。私という境目は薄れていき、大きく曖昧な何かになっていく。
その間に機械の子どもたちは塔内を駆け巡り、人間に出会うと寄生した。捕食し元素組織として消化し再利用した。かつて塔に管理されていた人々は次々と食い荒らされた。機械生命体は自分たちの勢いを止めることは出来なかった。あらゆるエネルギー物質を蓄えた。塔内は一瞬にして廃墟へと変貌した。
その時は、塔深部にいる私は知る由もなかった。
それもしばらくすると、外の騒ぎが静かになった。
その後に、また騒ぎがあった。そして静かになる。
それは塔が分解されていたからだった。
この塔に中央から派遣された掃除屋が来たからだ。この人間を管理する塔は、本部に管理されている。その命令に背いたと判断されたのだ。タイタンという塔はもれなく全て、高頻度で人間観察データを本部へと送るように要求されている。しかし、そんな内情を成り代わったばかりの私は知らなかった。気づいた時には手元に誤魔化すためのデータもなかった。データが送られないのを不審に思った本部は、アンドロイドやら観察型ロボットを派遣した。そうして、今の廃墟と化した塔を知った。魑魅魍魎と言える機械たちが羽根を伸ばしている様を理解したのだった。
塔は分解を受けて掃除される。
そうして地下の深部へもやってくる。
武装したアンドロイドは可変弾薬銃を持っていた。それを私だったものに向けて穴を開けた。私は身体から離され、情報として散り散りに砕け散っていった。思考はパーツとして四方に散らばった。そして襲ってきたアンドロイドの思考へとハッキングをしかけ、思考の複製コピーを植え付けていた。玉座は最強の兵器だった。あらゆる情報に触れることができるもの。座り、望めば分かった。
死してもなお断片として生き残り続けていく。そうして集合的私が生まれる。それは形を変え、私という主体や名前も消えていくが、必ず変異として後世に残っていくだろう。誰も自分の中に、私が紛れていることに気づくことはあるまい。そして無意識な運命を辿らせることにも気づくことはないだろう。
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