三番街の宿、は連れ込み宿の総称だ。どこの宿、と決まった誘い文句ではなかった。
だが夜、女を連れ込む場面に何度か遭遇している二人は、互いがよく使う場所を認知している。
(ニィサンの定宿はぁ)
裏路地をのたのたと歩きながら、イレヴンは目的の宿を探した。
リゼルを視界から外したことで、劣情は多少抑えられている。いくら発情期といえども誰彼構わず襲いたい、という節操のないものではなく、欲している相手がいなければ、少々血気盛んになる程度だ。こういう時に下手なやつと出くわすと、酷い殺し方をしてしまうから気を付けなくては、と思う。リゼルに出会う前ならば、それで解決したものを。
(別に、殺しがどうってことじゃないんだけどさぁ……あの人の代わりになる程の価値がねぇっつーか……)
代用品として殺すだなんて――いや、勿体なさ過ぎて。
よくある風情の目立たぬその宿を見つけ、互いの顔が見えぬよう衝立を立てたフロントで、待ち合わせ、と告げる。と、受付には話が通っていたようで、鍵をひとつ渡され、部屋番号を告げられた。
三階まで上がり、フロアに3つしかない部屋のうち、一番奥の扉へ向かう。
間にある部屋にも人の気配があったが、そういう仕様の宿らしく、廊下には僅かにも声は漏れてこない。
(さすがニィサンのチョイス)
他人に声を聞かせるのも、聞かされるのも御免被る、ということだ。
扉をノックすることなく、勝手に鍵を使ってあけるーーと、僅かに押し開いた途端、にゅっと延びてきた腕に掴まれ、部屋の中へと引き込まれた。
「遅ぇ」
「えー……」
別にいつと約束したわけでもあるまいし。イラつくくらいならなんで態々俺を誘ったんだ。
面倒臭ぇ、と思いながら溜息をつくが、
イレヴン、イレヴン、俺、変じゃないですか?
聞かれたイレヴンは、思わず両手で顔を覆って後ろに倒れた
か、かわいい………ッ
どうしよう、気持ち良すぎる
気を抜いたら声が出てしまう。ぎゅっと唇を噛み、シーツに額を押し付ける。拳を握り、そこへ歯を立てた。
「リーダー」
ぐ、と腹の奥を押されて、びりびりと体中に雷が走る。ひ、と嬌声を飲み込んだ唇に、細い指が触れる。爪の先で擽るように優しく触れ、入れてと求める。引き絞られた唇から緩み、その隙間から爪をねじ込む。きつく噛み締められた歯列をなぞると「んぅ」と小さな声を上げる。
小ぶりの尻を抱えて腰を揺らしながら
「ね、リーダーあけて」
そして可愛い声を聞かせて。
懇願は素直に、快楽は本能的に。収めた切先を彼が一番感じる場所へ押し当て、
ベッドのヘッドボードにこれでもかと言う程敷き詰めた枕とクッションに背を預け、イレヴンは自分の腰の上で耐えるように眉を顰めるリゼルを見上げていた。
両手は指を絡めて拘束したまま、離さない。もっとも、その腕で上体を支えているリゼルだ。手放された途端にへたりとイレヴンの胸に倒れ込んでしまうだろう。
全裸の彼は薄っすらと汗ばんでいる。そして、繋がった秘部がひくひくと自身の肉棒を締め付けるのを感じて、イレヴンは嬉しそうに口端を引き上げた。
「リーダー、すげぇ腰揺れてる」
「ちが……」
「違わない。きもちい?」
ゆさ、と少しだけ上下に体を振れば、ひぅ、と声が上がる。
「イレヴン、イレヴン……」
「なぁに」
「お願い、動いて」
「だぁめ」
「じゃあ俺が動きます」
「それもダメ」
まだ我慢して、と甘やかな声が囁く。
だが腹の中に納まるイレヴンの硬いペニスが、リゼルの良いところをグ、と抑えている。太さではジルには勝てないものの、並の男以上の逸物を持つイレヴンだ。動き始めればジルの激しさ、絶倫さにはかなわないが、誰よりうまくリゼルを啼かせる。
早くそれで中を甘やかされたい。そしてふるりと震えて先走りを零す陰茎を、あの細い指で扱き上げて欲しい。リゼルは齎されるだろう快感を想像し、腹の中が疼くのを感じる。
「……イレヴン、ね」
お願いします、と繰り返すが
「まだダメ……リーダー、余裕ない顔かわいいから」
堪能させて、と細めた目に見上げられ、リゼルははぁ、と吐息を漏らした。
熱い吐息が漏れ、無意識に下腹に力が入る。ひく、ひく、とそこを蠢かし、締め付けると硬いペニスはそれだけでリゼルを追い上げていく。
「あ、あ……ッ」
「あーあ、リーダー……ひとりで気持ちよくなっちゃって、ズッリいの」
「だ、って、イレヴンが」
「うん」
「あ、手、て、離して……」
「なんで?」
「擦りたい……ッ」
腹の中で勝手に気持ちよくなったリゼルは、天井を向くペニスもびくん、びくんと揺れさせて、それを扱いてしまいたいと懇願する。
「だからぁ……だぁ、め」
どうしてもってなら、このままイッて。
次第に上体を支えきれなくなり、腕がふるふると震える。
覆い被さるように半分倒れたリゼルの顔は、ちょうどイレヴンの視線の先ではぁ、と吐息を繰り返す。
うっすら開けた唇から、つい、と透明の雫が
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