暗い森の中、一箇所だけ煌々と明かりが照っている地があった。静かなはずの森には音楽も、囃し立てる声も、笑い声も響く。酒の匂いに動物たちは忌避感を覚えたのか、あるいは魔物避けの香草が派手に焚かれている煙を嫌ったのか分からないが、そこには人の姿しか見えなかった。
 鎧を着た人びとの真ん中に、大きな竜の死骸があった。文字の書かれた多くの札に囲まれ、干した家畜の肉と樽に入った酒が、喰いもしないその死骸の前に捧げられている。
 それを見て、鎧を着たひとりの男は「あほらしい」と口には出さずにもう一口追加で酒を呷った。隣には酒樽。五人ひと組の隊にひとつずつ配られるはずの大樽が、男の横にはいくつも積み上がっていた。
「相変わらずの飲みっぷりですなぁ~!」
 おそらくそう言ったのだろうと辛うじて聞き取れるような、怪しげなろれつで髭の男が馴れ馴れしく肩を組み、ひとり酒を牛飲していた男に酒精を帯びた吐息を吹きかけた。男は軽く眉根を寄せるだけで、力尽くで振り払おうともせず、友好的に出迎えるでもなく、また酒を胃に流し込む。
「若き小隊長! 竜殺しの大役! ディルさんよぉ、今日の祭で本当に祭り上げられるべきはあんな死体じゃなくって、おめえさんのほうだろうになぁ」
 髭の男は本格的に居座る体制で肩を組んだまま腰を下ろした。
「トドメを刺しただけだ。ひとりで倒せるような相手なら、こんな大人数で山奥に来る必要なんてない」
 ディルと呼ばれた男がはじめて言葉を発した。いままでにないほど長々と喋ったディルを見て髭は軽く目を見開いたが、それ以上なにか言及したりはなかった。
「……これで、毎年の毒水に怯えずに済む。アレの鱗は硬い。やはりトドメを刺しただけとは言わず、お前の功績は大きいさな」
「フェンの刀傷が残っていた。ローレルの火傷も」
 配られた酒樽を見てディルが呟く。五人ひと組の、本来もっと少ないはずの自分の分け前を思った。杯の動かなくなったディルの背を、髭の大きな手の平が叩いた。
「半分も残らなかった。都に戻ったら、大々的に編成が変わるだろうよぉ。そんときゃまあ、仲良くやろうや」
 確かめるように、二度三度と強く叩かれる背に揺れて、ディルの杯からは惜しくもない酒が溢れた。
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即興小説30分
お題:あいつと宴
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【書く前】
今日から30分に伸ばしてみたからまだペースつかめね~
あいつと宴。宴に参加している、していない一緒にか、観察しているか
1 戦友。ファンタジー
2 楽なはずの相手
3 混乱の中別れる
4 装備だけ回収
最終的に勝って宴をやっているところから? もしくは過去の宴の回想?
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【書いた後】
熱いシーンとかなく普通に暗いやん。
30分あると、時間があると思って筆が鈍る瞬間があったような気がする。鈍るというほど止まってないか?15分の時でも先が思いつかなくて止まってたときあったし。
文字数はそんなに増えてない気がする。文字数は15分の時と比べて大幅に増やさず、最初に構成考えてから書き始める方式にするって方向で30分のには挑んでみるのが◎?
→30分じゃ書けない起承転結でも、骨組みと、その何処かのワンシーンが書かれてれば後から補完できるかも。+30分じゃワンシーン書くのが多分限界。ちょっとその方向性でやってみよう
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