手が届く星が窓の外を流れていた。時折光が途切れて窓に顔が映り込んでしまう不快感にさえ目を瞑れば、中々悪くない景色だ。
 音楽もかけられていなければ、ラジオもない。タクシーならば深夜の割り増し料金を取られるこの時間帯の移動は心地よい眠気を運んでくる。
「眠ってしまっても良いんですよ。少しでも仮眠を取った方が休まるという人もいますし」
「いいの。起きてぼんやりしているほうが落ち着くから」
 運転席から声がかかる。毎回似たようなやり取りをしているからか、それ以上は何も言わなかった。毎回似たようなやり取りをしているのだから、そも聞かなくてもいいのではないかと思う一方で、このやり取りも一種の儀式のようで心地よい。
 シートを深く倒し、息を吐く。ステージの上でため込んだ熱が無臭の車内に吐き出されて、体温が下がるような気がした。
 熱に浮かされた中で見た星に外の風景は似ている。車が走るのに沿って尾を引く光。進行方向に向かって点滅する光。たまに差す目も開けていられないほどの光。街中が、余韻に浸っているような錯覚を覚える。
 やらなければならないことは山のようにあるが、少しずつ重くなっていく身体と一体になって、
 ああ、なんだか今日はよい一日だったなあ。などと思い浮かべながら、目蓋は閉じた。
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即興小説15分
お題:穏やかな車
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【書く前】
間違って15分の方でやっちゃった。せっかくだから深く考えずに流れでやってみようかな
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【書いた後】
書き出しの時点ではなにも決まってなかったけど、なんか流れ流れて、ライブ終わった帰りにマネージャーに送ってもらいつつ充実した一日を振り返るスターみたいな所に着地。現代系の話って、適当に書くことはできるけど最初からそれなりに話にするぞって意気込んでないとただの文字の羅列になるから注意。
なんとなく、執筆する時間帯によって傾向が偏る気がする。朝書く日と夜書く日はバラしながらやると、なんか面白いネタが思い浮かぶ率が上がるかもしれない
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【即興】人の世の星 2021-02-25
初公開日: 2021年02月25日
最終更新日: 2021年02月25日
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即興小説15分
お題:穏やかな車