こないだのオープンゲームフェスもそうですが、やはり活動的な季節である夏にこそ積極的に外に出ていったほうが良かろうということで映画です。なんか外出先が映画館と図書館の2択しかない気がしますがまあよかろう。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 「トーク・トゥ・ミー」でかなり震え上がらせてくれた双子Youtuber監督、ダニー&マイケル・フィリッポウが送る「儀式系」ホラー。
 夏にふさわしいなかなかゾクッとして、そして物悲しいラストが印象的な作品でした。
 アンディと目の不自由な妹・パイパーは、父親が原因不明の自殺を遂げたことから養護施設に紹介された里親のもとで過ごすことに。
 里親であるローラは表面上は優しい人物に見えますが、パイパーに異常と言えるほどの愛情……と通り越した執着を見せる一方で、アンディに対しては名前を覚えない、私室として物置をあてがうなどおかしな言動が多い様子です。違和感を募らせるアンディ。
 その違和感は徐々に大きくなっていきます。ローラの家を囲むように円を描く白線、ローラの今は亡き娘キャシー、そして謎の少年オリバーの存在。
 ローラはこの家で一体何をしようとしているのか。
 本作はA24配給だけあって、終始イヤな違和感と空気感に満ちた作品でした。「トーク・トゥ・ミー」がアッパー系のホラー描写が多かったのに対し、本作はジャンプスケアはほぼない代わりにかなりの人体損壊描写があり、そういうのが好きな人にはおすすめです。
 タイトルからも明白ですが、ローラの目的は事故死した娘・キャシーを蘇らせること。しかし古今東西、死者を蘇らせようとするとろくなことにならないのが相場ですが、本作もまたその例に違わず……。
 ローラがアンディとパイパーを引き取ったのは娘の魂の依代とするためだったわけですが、ローラは別にサタニストでも黒魔術に精通しているわけでもカルト教団の一員でもないんですね。
 ローラはなにかの折に死者復活の儀式を記録したビデオテープを手に入れており、その内容に従って儀式を行っています。なので彼女は魔術や儀式に関しては素人なんですね。
 劇中の描写を見る限り、それでも儀式は途中までは成功していたように思えます。しかしやはりキャシーの蘇生には失敗してしまう。
 これまで見てきたこの種のホラーにおける儀式を行っている黒幕は、「ミッドサマー」のように村ごとカルト集団だったり「ウェポンズ」のように黒魔術に精通した人物であったりと、完全に「そっち側」に踏み越えてしまっている人々でした。
 では本作の一連の事件の黒幕であるローラはどうかと言うと、それらに比べると狂いきれていない部分が残っていたと思います。言動の端々に「自分がやっていることは、実は間違いなんじゃないだろうか?」「死者を生き返らせることなんでできないんじゃないか?」って思ってるフシが感じられるんですよね。
 本作では繰り返し外界と内界を隔てて分ける「円」のモチーフが提示されますが、ローラはまだ片足を円の中に残している状態だったんじゃないかと思います。
 ローラは冷酷無比の殺人鬼でもなければ宗教に狂ったカルト教団員でもなく、一人娘を亡くした孤独に耐えきれなかったひとりの弱い人間だったんじゃないでしょうか。
 たしかにローラは、儀式の器として少年をさらってくる、キャシーの死体を冷凍保存しているといった常軌を逸した行動を取ってはいます。しかし、冒頭での夜の飲酒シーンやアンディと過去の話をするシーンなどを見ると、彼女が完全に人間性を喪失しているとは思えないんですよね。ローラの家を訪問した養護施設の女性が「彼女は20年間人々のために尽くしてきた」というのもあながち間違いではないと思います。
 また、ローラは上記の通りアンディは雑に扱ってパイパーに執着していますが、それはもちろんパイパーという個人に対する愛情ではなくキャシーの代わりという代償行為にしか過ぎません。むしろ、アンディに対して一度だけ心情を吐露したシーンなんかを見ると、アンディを自分と同じ大切な存在を失った「仲間」として見てたんじゃないですかね。……でもアンディの父親を殺したのもローラなんだよなたぶん。
 最終的にはパイパーは脱出に成功しオリバーも保護されるもののアンディは死亡してしまいます。そして事件の元凶であるローラは、またもや提示される「円形」のプールの中で凍てついたキャシーの亡骸とともに水中に沈んでいく。
 このエンドを見るに、本作は死者蘇生の儀式というあり得ない可能性に取り憑かれたローラがキャシーの死を受け入れるまでの「喪の作業」だったんじゃないでしょうか。ローラの喪失体験は、あのラストの円の中でようやく完結したという。
 
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大阪ステーションシティシネマ「ブリング・ハー・バック」見てきました!
初公開日: 2026年07月13日
最終更新日: 2026年07月14日
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