暗く何も分からない。
 ユサユサ、ユサユサ
何度も何度も左右に振られる。ここが何処かは分からない。移動しているのを感じる。
空間で小刻みにステップを踏んでいる。落ちるような浮遊感も感じる。左右に振られる。暗がりの中で左右に振られる。前へ、前へと移動するのを感じる。前へ、前へ。前へ進まなくちゃ。
 ユサユサ、ユサユサ
前へ、前へ。
 ユサユサ、ユサユサ
今度は上へ上へと押し出されるように進んでいく。上へ上へ。
 ユサユサ、ユサユサ
上へ。上へ。
 ユサユサ、ユサユサ
上へと永遠に押し出される。永遠に、永遠に。そうして、しばらくすると振動が止んだ。
 プシュー
隙間から光が漏れた。眩しい。
 プシュー__ガチャ
音と共にカプセルのような蓋が空いた。白色が目を覆った。眩しい。白い光を感じた。目が慣れてくる。
土まみれのカプセルの中から外を覗く。
青と白と灰色。
巨大な空間を感じた。
白い。白く横に長い円筒のもの。赤色土から巨大な白い構造物が生えている。それも何本も生えている。
何でこんなに生えているんだろう。
その円筒に沿って上へと視線を伸ばしてみる。
そびえ立っている。高く白い塔。上を見上げると首が痛くなるくらい高い。先が見えない。
そんな巨大な塔が、地面から何本もそびえ立っている。空があまり見えない。まるで小人になって、草むらのを見上げているかのような気分になってくる。
「ここはどこなんだろう。」
ぼーっと突っ立ってみた。しっくりこないので体育座りをしてみる。それも何か違う気がしてきて、仰向けに寝転がり微かに見える空を眺めてみた。
「いや、これじゃ分からないや。」
視線を下げて塔を眺めてみる。巨大な白い塔。よく見ると近くに立っている塔には、上へ登るための足場が用意されていて、その先には穴ぼこが出来ていた。
「よし、登ろうか。あれなら僕でも登れるや。」
立ち上がって塔の下へと歩いていき、足をかける。その時、ふと後ろ髪を引かれる気がした。後ろを振り向くと、巨大な白色壁が見下ろしていた。その下にポツンと自分が入っていたカプセルが置いてある。
「置いていかないで」
そんな風に言われた気がする。何か、何か大事なことを忘れている。けれど思い出せない。先に進む以外の選択肢しか見えてこない。
「また戻ってくるかもしれない。」
そう言って、気を取り直して足を動かして上へと登っていき、塔の穴ぼこへ到着した。
もう一度振り返り、今度は巨大な白壁を見上げてみた。白壁は視界に見える限りにずっと、横に長く伸びていた。
やっぱり切なくなった。
頭をフルフルと振り、気を取り直して塔の中を覗き込む。
「これじゃまだ帰れないじゃないか。」
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向き
かぐや姫
初公開日: 2021年01月09日
最終更新日: 2021年02月24日
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未来のかぐや姫。かつての日本で語られたかぐや姫も知られていないような、遥か未来のお話。