寒さの厳しい冬のことだった。肌がひきつれるような早朝。数人で住むには立派すぎる家の、それまた立派すぎる庭先には人影がふたつあった。立っているはずなのに、腰を折りたたみすぎてもはや座っているようにすら見える老爺がひとり。それから、そんな腰の折り曲がった老爺よりも小さな少年がひとり。まだ薄く柔らかい手の平は、何度も振り下ろした木刀に擦れて真っ赤に色付いていた。
「おお~、良い感じじゃ。良い感じ」
「じいちゃんさっきからそれしか言ってないじゃんか!」
「そりゃまあ、退魔師やっとったのは婆さんじゃし、良い感じとしか……なあ?」
「も~! それでも婆ちゃんの活躍一番近くで見てたの爺ちゃんでしょ!? 型とか、必殺技とか、なんかそういうの!」
威勢良くもう一振りされた木刀は風を切って大きな羽虫の羽ばたきの音を立てた。なにをしても褒められることに、それはそれで不満の爆発しそうな少年を前に、老爺は首を傾げた。
「あの~、アレじゃな。今の振り方はアレに似ておったな。アレじゃアレ。婆さんの使ってた~……」
老爺の口から出たその言葉に、少年の手が止まった。期待するように目を大きく開き、寒さで赤くなった頬は一段と上気する。
「今の!? なんかの技っぽかった!?」
「おお、近かったぞ! えー、あのー……虎? 龍? だかの、アレにだな」
喉まで出かかって──否、鳩尾のあたりまでしか来ていない──単語を捻り出そうと、傾げすぎた首が天地ひっくり返っていた。
「よしっ!」
老爺はひとつ手を叩いた。おもむろに縁側に手をかけ、家中に向かって声を張り上げる。
「ばあさーん! あの技の名前なんじゃったっけー!?」
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即興小説15分
お題:近いアレ
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【書く前】
近いアレとは!? あれだよあれあれ。えーっと、アレ。みたいな感じで名前が出てこない奴?
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【書いた後】
◆よかった・できた
勢いで書いたけど取り敢えずオチは付いた!
わりと地の文と会話文のバランスはとれてるのでは? どこが良いバランスなのかはちょっとわからんけど
◆改善
色々あるけど、いきなり退魔師とか出てきてもよく分からんよね~と思いつつ、即興小説のネタ出しでならこのくらい勢いがないと全く書けなくなるから悩みどころ。あとお爺さんのキャラテンプレ過ぎるかな??
◆なんか色々
振り返りの項目分けるとそれはそれで書きづらいかもしれんな~。
爺ちゃんが何故か孫の修行的なものを見てるのは、実は最強過ぎる婆さんが、現役時代に妖怪みたいなのを根絶やしにしちゃって、孫修行する必要性が一切ないからとかそんな??
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