少年はひとり匣の前に座っていた。大人幾人かで取り囲んでやっと一周できるような大きな匣だ。
「その時計が決して止まらぬように」
主人からの言いつけはこうだった。だが、少年には目の前のモノがどうしても時計には見えなかった。故に、止まらぬように。と言いつかったものの、それをどう実現して良いのかも見当がつかなかった。
少年は礼儀正しく従順だった。その一方で、少年らしい好奇心も持ち合わせていた。留守番で好き勝手できるはずなのに、役目を放り出したりしないでずっと匣の前に座っていられるが、それがなんなのか知りたがってもいた。時計に触るなとは言われていなかった。
大きな匣は、無機質そうな滑らかな見た目に反して、どこか温かみがあるような気が少年にはしていた。主人が出て行ってからしばらく温めていた椅子を離れて、その周りを回ってみる。どの面も同じ白のようだったが、どこの面も別のもののようにも感じられた。触ってみれば、主人の手の平のように温かかった。そして少しざらついていた。
懐かしい感覚を覚えて、これは別に危ないものではなさそうだなと、両手を添える。少年は、両手の間を割るようにして、白くざらついた面に耳を押し当てた。主人が「時計」と言っていたからには、きっと歯車が噛み合って時を刻む音がしてくるに違いないと思っていたが、期待していたものは聞こえてこなかった。少し、猫が喉を鳴らす音にも似ていて、手を叩く音にも似ていて、笑い声に似ている気もする。なんとなく、匣の中に入っているものは大事なものな気がした。
主人には、時計を止めるなと言われたし、少年自身も、時計を止めないようにと思ったが、どうやってそれをしたら良いかは結局のところ何もわからなかった。
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即興小説15分
お題:箱の中の時計
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【書く前】
やったー!エモお題だー! と喜んだはいいものの、逆に色々やりようがあるから迷っちゃうな。
文学系でもいけるし、ファンタジー系でもいけるし。全ての時空の時を管理する匣がある。みたいなやつおもしろいかな?でもどう話にするかな??
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【書いた後】
なんだろうこれ??? オチがちゃんとつかなかったな~。最初にある程度着地地点決めておかないと15分の即興小説でちゃんとオチまで辿り着くの難しいな。フワッとなんか世界観的なモノが見えるだけで、ちょっと物語にはなりきれてない感じがする。人物もふわふわだしな~。
箱の中の時計が結局なんなのか決めないで書き始めたのも迷走原因な気がするけど、それはそれで即興小説のよいところな気もする。最終的には世界の卵みたいなイメージになったけど、これが創世神話的なものなのか、オーバーテクノロジーでもう一つの世界を作り上げるみたいな話なのかはふわっとしてる。でももしかしたら何か続きが書けるかも知れない???
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