ろうそくの火が揺らめく中、空のワイングラスに赤が注がれていく。舞踏会でも開けそうなほどに広い一室には豪奢な調度品が並び、どこまでも続く長いテーブルには磨かれたカトラリーが一席ずつ用意されている。にもかかわらず、その場にある人影はたったのふたつ。館の主人である若い男と、その執事である老人だけだ。
 ボトルから静かに注がれ泡立ちもないことを確認すると、若い男はグラスを手に取った。
「ずいぶんと鮮やかな赤だな。セラーに貯蔵していたものではないようだが」
「本日は趣向を変えまして、ピチピチ絞りたてキューティフレッシュの赤なるものを仕入れさせていただきました」
「ピチピチ……なんだって?」
 怪訝そうに眉根を寄せる主人に対して老人は無言で促すだけだ。詳しく聞こうとしたところで無駄だろうと息を吐くと、男はグラスに口をつけた。広がるのは生臭さではなく、ベリーの風味と洋梨のような甘味。いつもならば軽く口をつけたところで席を後にする男だが、グラスはみるみる間に空になる。
「これはよいな」
「左様でございますか。それは喜ばしいことです──ねえ?」
 執事が目を向けた先には本来いないはずの人影。
「ええ、よかったです。本当に。……へへへ」
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即興小説15分
お題:いわゆる血液
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【書く前】
いわゆる??? 吸血鬼目線のグルメ実況とか??
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【書いた後】
ご時世的に人間を襲っちゃいけないよねみたいな中で代々貯蔵されてたワイン的な血液を飲まざるを得ないんだけど血液嫌いな吸血鬼のもとに、ちょっと頭おかしめの研究者がやってきた感じの
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