朝早くに井戸に水をくみに行くのはその修道女の日課だった。古ぼけた木の重い扉を開けて、彼女は一歩踏み出す。
「きゃあっ!?」
あるはずのない段差に躓いた。近所の子供達がいたずらに木の棒でも置いたかと彼女は思い振り返ったが、それは木の棒よりもはるかに厄介な代物だった。単純にいえば行き倒れだ。それもただの行き倒れではない。この小さな国と小競り合いをしている隣国の、これまた小さな国の紋章。そんなものがついたマントを身に付けた男だった。
「あの~……」
彼女はおっかなびっくり、近くにあった木の棒で髭もじゃの男をつつく。
仮にも神に仕える身。敵国の者であれ、見捨てるということは道理に反しているように思えた。とはいえなんの警戒もせず不用意に近付くというのも現実的ではないように思えた。つつけども、男からは返事がない。もしかしたら既に事切れているのかもしれないと、彼女は一歩近付く。
呼吸を確かめようと顔を近付け、腕を掴まれた。
「ひっ……」
最悪の事態が彼女の頭の中を駆け巡る。
「み、ずを……」
髭の男から発された言葉は、そう恐ろしいものではなかった。彼女は首がもげんばかりに首を縦に振り、慌てて数歩離れた井戸に手をかける。つるべを落とし、綱を両手で持って、体重をかけて水をくみ上げる。いつもと変わらない、澄んだ水だ。
畑の水やりの時につかう柄杓を付け、男に差し出す。
「……たすかった。しかし、他言は無用だ」
彼女は再び首を激しく縦に振った。
~~~~~
即興小説15分
お題:苦し紛れの修道女
~~~~~~
【書く前】
苦し紛れシリーズ?? 修道女ならファンタジーな感じ? 普通の中世~近世ヨーロッパでもいいけど知識がなさすぎて多分ファンタジーになるからなあ。現実(妄想)みたいな。戦国BASARAみたいな??
苦し紛れか~
苦し紛れ→苦しさのあまりすること
苦し紛れに何かをする修道女、苦し紛れに修道女に縋るなにか
~~~~~
【書いた後】
敵国の大将首とかそんな人が流れ着いたような。田舎の修道女が大活躍する話かもしれないし、ただのモブかもしれない。
でもたぶんこの大将首っぽい人は活躍する
~~~~~