ちょろり。少女の手から放たれた水魔法はそんな間抜けな音を立てて空間に顕現した。
「だーかーらー! そんなへなちょこ魔法じゃ消防魔法技師を目指すとか無謀だって言ってんでしょうが!!」
「でもでもでもでも、家系的には地域一帯に豪雨降らせられるくらいの立派な魔法技師になれるはずなんだもん!」
「だもんじゃない! お前のその魔法で雨なんて広域魔法使ったって霧にもなりゃしない!」
赤く塗られた四角い建物の前で女性が二人言い争っている。正確には、子供が駄々をこね、大人が荒っぽく諫めている。
地団駄を踏む少女の頭の上には三角コーンの形をした帽子。ここら一帯でその帽子を身につけている意味を知らない者はいない。魔法技師を目指す卵たちの通う魔法学校の生徒である証に違いなかった。
一般的な学力テストに加え、小難しい理論を覚える必要のある魔法の技能が一定を超えている者にしか入学を許されない魔法学校はみなの憧れだ。だが、この半べその少女を見て、その憧れを継続できる人間はそうそういないだろう。
「だってわたし、お姉ちゃんと同じ消防のお仕事したい……」
赤と青。左右バラバラの目から水が落ちかけていた。
かわいい妹のそんな健気な願いに、姉である長身の女性は痛みが走ったように胸を押さえる。
「だ、だめなもんはだめ。魔法ってのは元々の資質に左右されるんだし、伸びるところ伸ばしていかなきゃ損でしょうが」
「でも、炎の魔法は焼くだけだもん。好きじゃない」
ふてくされる妹を見て姉は思案する。
「それは使い方を知らないってだけでしょ。……今度、知り合いのガラス細工師のところ連れて行ってあげようか。あいつ、魔法使ってガラス作ってたはずだから」
いままでのしおれた様子はどこへやら。それを聞いた少女は、それこそ目をガラス細工みたいに輝かせて諸手を挙げた。
「行きたい! え、炎の魔法でガラス作れるの!? やったー!」
変わり身の早さに、姉は気の抜けた笑いを出すほかなかった。
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即興小説15分
お題:フニャフニャの雨
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【書く前】
雨フニャフニャ????? 雨って水だけど水がふやけてる???? 放水がふにゃふにゃ??
雨、ふる、ふにゃふにゃ にゃふにゃふ?猫??
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【書いた後】
最初なにも思いついてなかったけど、書いてみるもんだな~。捻り出したら出た。現代社会ベースの中にしれっと魔法が入り込んでる児童文学の延長みたいな話も好き。SFっぽい魔法の扱いのほうが好きだけど、好きな分設定を練りすぎて破綻するから、このくらい扱いがふわっとしてるほうが話は書きやすいのかもしれない。
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