ガラガラだった港にクザンの乗る軍艦が到着し、ハインは出迎える形で待っていた。
クザンには色々とやってほしい事があり、彼自身にもやらねばならない事が山積みになっている。それを承知でハインはここに立っていた。
「お疲れ様です。」
「お〜。いやぁ割と暇だったよぉ。この前海賊掃討したって言ってたし、大人しいもんだったわ。」
「なら休息は完璧ですね?」
よしよし、とハインは頷いてゴアに関する話を始めた。クザンは欠伸をしつつも耳を傾け、段々と表情を暗くする。
ブルージャム海賊団がステリーを討ち、次期国王を失ったゴア王家は聖地から天下ってきた子供を一人授かった。その子が現在ゴアにおいての最高権力者であり、現国王と王妃はステリーをそこそこに、聖地からの施しに大歓喜している。相手が子供であれ、恋焦がれ憧れる天竜人の血筋だったらしい。蝶よ花よか酒池肉林かどちらでもいいが、国の声は子供の声一つで決まる。
そして、そこにいるジャーナリストは国と無関係。ゴアに保護を求めたわけでも、王子を手にかけた真犯人を探し出したい訳でもない。
「ジャーナリストが他者の手に渡る前に回収をしたいと思います。なのでクザンさん、ゴア王家に連絡を頼めませんか。新王子と話がしたいのです。」
「天竜人の子に?て言うか本当に天竜人の子?」
「認められてはいませんが、半分は血を汲んでいます。」
ゴアの担当はクザンなので、何とかして取り繋いでもらいたいのがハインの思いだ。放置しておくには惜しい存在に違いなく、収入源としても確保しておきたい。
「収入源?ゴアから?」
「いえ。あの海域にある連合国からです。以前は防衛の対価として支払いをお願いしていたのですが、現在はゴアの上納金に回されていまして。赤字状態になっています。」
まぁ、これは海軍としてではなく個人的な収入扱いにしているから、大きく言えないことではある。グレーゾーンと言うやつだ。
「収入は別に構わないとしておきますが…ジャーナリストの回収と新王子の保護を急いだ方がいいかもしれないので。」
「天竜人の件に触れるならある程度の覚悟が必要だけど。」
案は?と言いながら歩いていくクザンに、ハインは〈偽善〉と答えた。
簡単な話、ゴアに上納金が取られるならば、その分ゴアから金を取ればいい。ジャーナリストを追放する手伝いをして、彼らの望む独裁政権のお手伝いをしてあげるのだ。独裁を推し進めるだけ推し進めて、辿り着く結果については黙っておけばいい。
「…子供はどうするのさ。」
「どっちの血を取るかですよね。その点を話したいのですよ。」
「だとしても利用はいただけないねぇ。結果が出る少し前に理由を付けて助けてあげなよ。」
なぜ?とハインはクザンを見上げた。
クザンの言いたいことは理解している。だが保護こそすれど、助け出す必要はないだろう。むしろ後々の弱点になるのだから、放置したほうが利が多い。プロパガンダ部隊の子らでもないのだから、保護の対象ではない。
「病死だとか理由付けて助け出せるでしょ?」
「…下々の民でも、天竜人でもない子供を抱え込むのはおすすめできませんよ。」
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久しぶりにやりましょ〜い
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ゴアの話
初公開日: 2020年10月01日
最終更新日: 2020年10月01日
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