にわかに騒がしいG5を、ハインはとことこと歩いて行く。この小娘はなんだ?とガラの悪い海兵達は近寄ってきて、襟を見るなりまた騒がしく後ずさりする。
「うおっ、なんで本部中将がここに…。」
「ヴェルゴ中将に用事があるのですが…あれは何の騒ぎですか?」
「あー、あれは…。」
いやぁ海賊を捕まえたもんで、とその海兵は少し気まずそうに笑う。ハインも何となくは理解していたので、まぁいいと深追いはやめておいた。海兵は仲間達へ騒ぎを隠すように身振り手振りを送ると、慣れないながらに案内をしてくれる。
「確かさっき町に降りてって、下で何とかが〜って。」
「ここは町も…。」
「町は悪くねぇです!俺らはこんなんだけど!」
はみ出し者のG5!と何故か誇らしげに言う様を見て、ハインは釣られるように笑った。本部よりも調子が軽くてやりやすいのは確かだ。その辺を大将が彷徨いていることもないし、違う種類の騒ぎに襲われることもない。誰も敬礼などせず代わりに手を振ってくる様子は、海兵とは思えない呑気さだった。現にどの海兵も好き勝手に過ごしているので呑気なのかもしれない。
「あ、いた。あそこですぜ。んじゃ俺はこれで。」
「はい。ありがとうございました。」
後で飯でも食っていけよなー、と仲間たちの元へ戻って行った海兵を見送り、街から帰ってきたヴェルゴを出迎えた。
「お疲れ様です。」
「これはこれはハイン殿。いやお嬢?」
「前者ですね。ヴェルゴ中将。」
中庭の片隅で話を始めたハインを、ヴェルゴは黙って見下ろしていた。これ見てください、と渡された書類には最近よく聞く白殺しについての被害件数がズラリと並んでいる。
「協力を頼めますか。」
「ふむ。苦労しているな。」
「まったく…。」
被害によって出た孤児達をどうしようとハインには関係のないことだ。ここでは彼は海兵であり、基地長でもある。うまくやれ、としか言うことのないハインはトントンと紙面を叩いて愚痴を零した。
「なぜここに新兵を。」
「つい最近支部が移動して、何でもいいから人が欲しいと聞いた。ついでにここは春島だ。海が素晴らしく安定している。」
それと祭りが近く、それを狙って海賊が集まるため警戒していること、基地長が交代して信用を取り戻そうとしていることをヴェルゴはつらつらと話してくれる。
「あと“こちら側”の件なんだか。」
「ヘマでもしましたか。」
「子供がよく溺れる海だ。海獣は確かに多いからそのせいにしているが。」
背筋を伸ばしたまま、ヴェルゴは悪いと思っていない口調でそう言った。この辺の境界線はとてもはっきりしていた。疑わしきが本部に届いたら動く、と七武海には言ってある。届かなければ見逃す取り決めだった。
なので今回は見逃しつつ、白殺しについての協力を頼みに来たのだ。新兵達が小枝のように折られ、これ以上の被害は出せないと言われている。しかし兵は必要であり、ハインとしてはできる限り距離をとって情報収集をしたい思いもある。
「暗に被害は出せないと言われているので、被害にカウントされない兵が欲しいです。あと軍艦が使えないので、船も。」
「成程。ならここは最適だ。船も彼らがよく捕える。」
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異なり過ぎる4
初公開日: 2020年10月15日
最終更新日: 2020年10月15日
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コメント
接触回避、遠方より確認。
特殊依頼、河川工事
奥川原町で起こった境界線の歪みを直したい話。
1459
だから、俺は旅をした。
ハービンジャー。だから俺らは先を行く。下を示されたなら下へ下へ。星の屑となろうとも、俺らは先駆け。 …
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