「山田さん……?」
もうもうと黒煙が上がる公園。怪獣の発現と共に、周辺住民の避難は既に済んでいるはずだった。だというのに、壁が削り取られたマンションの三階、学生服を着た男がひとり床にへたり込んでいた。
相対するのは顔に傷を作った女子高生。顔に傷を作っているだけではない。いましがた粉々にされた怪獣の返り血をこれでもかというほどに浴び、その爪と牙は人間のものとは思えぬほどに鋭い。いま巷で話題の、怪獣を殺す怪物の特徴と同じ。
「まさか山田さん……」
学生服を着た男が再び呆然と口を開く。
それもそうだろう。同級生の正体がまさか怪物であろうとは思いもよらなかったはずだ。そして知られたからには消さねばならぬ、と、彼女は思った。
一歩、踏み出す。
「悪いけど鈴木く──のわっ!?」
男の自室であろうそこ。壁一面に己の写真がびっしりと貼り付けられているのを見て彼女は固まった。人間としての姿だけでなく、怪獣を殺す姿までもが全て克明に。
「こ、これは違うんだよ! 僕は別に山田さんのことが好きでしょうがないとかそういうわけじゃなくて、その……誰にもどうにもできない怪獣をやっつける小さな人がいるって、格好良いなって思っただけで、これは日々こんな人がいるんだって自分を奮い立たせるために壁に貼り付けているだけで他意はないんだよ!」
「奮い立たせるために、クレープ食べてる姿はいるのかい……」
「そ、それはこう……普段は普通の人なんだって、認識するため? かな?」
男ははにかむ。
彼女は爪を、壁に思い切り突き立てた。
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即興小説15分
お題:苦し紛れの発言
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【書く前】
苦し紛れの発言? 浮気がバレた、盗みがバレた、正体がばれた、スパイであることがばれた
勘違い系でもいけそう?
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【書いた後】
人外娘系も書いてみたい
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