「ここは任せてお前達は先に行け」
 仲間達はどうやら俺の発言を献身故の言葉だと思ったらしい。お前一人を置いていけないとか長ったらしく別れを惜しんでいるが……違うそうじゃない。いつまでも残ろうとするガキを扉の向こうに蹴り飛ばせば、小部屋に残るのはただ二人だけ。ごちゃごちゃした会話をわざわざ待ってくれるとは律儀な騎士様だ。丁寧に手入れされた立派な鎧と剣に恥じない立派なことで。
「よお待たせたな」
 騎士の正道な構えとは対照的に、長年の相棒を肩に担いだように構える。あとは問答無用だった。
 欠けの無い石畳を蹴って鎧の騎士目がけて突進する。体重をかけて思い切り振り下ろした剣は金属音に弾かれた。まあこの程度は防ぐだろうよ。刃がこぼれる音を聞きながら競っていると、騎士の足元が動いた。腹に感じる殴打の感触。舐めていたのはこちらだったか。どうせ教科書通りの戦法しか使わないだろうと高を括っていた。
 金属製の具足で思い切り蹴飛ばせば、洒落にならない痛手を食らうのは目に見えている。吹っ飛ばされるふりをして地面を蹴り、即顔を上げる。目の前には鎧。速い。そんな重いもん身につけててなんでそんな速く動けんだ。
 身を半身にして振り下ろされる刃から逃れる。髪が数本散った。まさに間一髪だ。
 騎士も決めにかかっていたようで剣は大振りだった。脇腹にできる隙。脇下の鎧の隙間を狙って得物を振り上げる。これは決まった……と、口元だけに軽く笑みを浮かべたが甘かった。騎士野郎はすぐに脇を締めてこちらの細い剣をへし折りにかかってくる。
 そんなに欲しいならくれてやるよ!
 心の中で嘲笑いながらすぐさま後ろに回る。武器は一つじゃない。短剣を腰から抜いて首の継ぎ目目がけて振り下ろした。
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【即興】剣で語ろうや 2020-08-01
初公開日: 2020年08月01日
最終更新日: 2020年08月01日
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コメント
お題  :興奮した沈黙
制限時間:15分(15分じゃ未完だった)
即興小説でとりあえず使ってみようの巻。
戦闘好きが戦闘してるだけのシーンで特にオチは無い。