こないだようやく去年の紅楼夢の戦利品レビューを終えたばかりですが俺たちの戦いはこれからだ!
というわけで間髪入れずに第二十三回博麗神社例大祭新刊レビューに移ります。
なお、余談ですがメロンブックスで予約した分の新刊がいまだに届きません……。店頭にはもう出てるのに……。これ、以前も失敗したんだよな。予約せずにイベント明けになんばにでも行ったほうが良かった……。しかも発送が分割されててめんどくさいことこの上ない。
さておき、例大祭新刊レビュースタートです!
・阿求と二三シリーズ(終)いつか訪れるその日(涼来来!)
どんな物語にも、必ずいつかは終りが来るもの。本作は長らく続いてきた「阿求と二三シリーズ」その最終巻となります。
まずは作者の涼名さんにお疲れ様でしたと言いたい。世に作品数あれど、その物語を最後まで語り切ることは決して簡単ではありません。この阿求と二三の物語を最後まで書き切られたことに経緯と称賛を。
本作はむかーしむかしのそのまたむかし、未だ天地幽冥の境曖昧であった頃に初めて参加した東方紅楼夢で手に取ったのが出会いでした。あとがきによれば1巻の発行は平成25年3月、13巻目となる今回まで実に13年書き続けられたわけです。歴史あるシリーズですよ。
二次創作ではかなりリスキーなオリキャラを投入して違和感のない物語の仕上がり、小学校の学級文庫に置いてあってもおかしくないですます調の柔らかな語り口、そしてなによりオリキャラである文車妖妃の少女、二三の実に魅力的なキャラクターに魅了されて全シリーズ読んできて、最終的には東方我楽多叢誌にてレビュー記事を書かせていただくまでになりました。
いやー……まさに「感無量」としか言いようがない。
わたくし人形使い、物書きの端くれとして言わせていただくなら、「物語の締め方」ってその作品の品格と印象を直接的に決定づけると思っています。そしてまた同時に、作品を書く中でいちばん難しいのが話の締め方。いわんや、13年ものあいだ書き続けてきたシリーズならなおさらでしょう。
では本作の締め方はどうだったかというと……「阿求と二三シリーズ」の終わりはこれしかない、と明確に言える終わり方でした。
これまでのシリーズでは、笑いあり涙あり、さまざまな出来事が起こってきました。そしてそのひとつの終りとなる本作では、それらの出来事が「いつか訪れるその日」に集約されていく。
それぞれの解釈はあれど、阿求は原作で「30歳まで生きられない」「次の御阿礼の子に転生する」という明確に「終わり」が設定されているキャラです。本作でも当然、その終わりは避けられないものとして描かれています。そしてその日、その瞬間が訪れ――。
わたくし人形使いは、優れた作品の条件のひとつとして「そこにはないはずの情報が読み取れる」があると考えています。小説なのに音が聞こえる、映画なのに匂いがするなどなど。
しかるに本作のあのシーン、聞こえましたとも二三の声。
「ちょっと不思議で とても素敵な オヤコのカタチ」を描いてきた本作を代表するキャラクターである二三が、その物語の終わりに際して放つ言葉としてあれ以上ふさわしいものがあるでしょうか。
そして、「肉親の死」という喪失体験を経た二三は文字通り大きく成長します。その成長と変化を、これまでシリーズ内で一貫して通してきた「かきかき、……さっ」が「さらさら、……すっ」になっているというかたちで表現している。これ、この作品、このキャラでしかできない表現です。素晴らしいの一言に尽きる。
プロ作品でもアマチュア作品でも、打ち切りになったり発刊が途絶えたりして最後まで語られなかった物語は無数にあります。そんな中で、最後まで、最期までこの作品を見届けることができたのは幸福というほかありません。
あとがきによれば他のシリーズはまた続いていくそうですし、二三の話もふとしたときに書くかもとのことなので、青蛾と小鈴の話の深堀りや成長した二三と捨壱代目御阿礼の子である稗田阿与壱との物語なんかもまた読んでみたいところ。
それでは改めまして、完結お疲れ様でした!