※テスト配信の為、機能を確認しつつ作業致します
※長義さに、審神者名あり(八雲)
・通話するとき、どちらから掛けるか
「山姥切長義は通話がしたい」
この本丸の刀剣男士の一部には、専用の端末が配布されている。近侍など、審神者から直接任じられた役割のある男士である。近侍として出張などでの同行の多い山姥切長義もまた、専用端末を所持している一振りである。主に使用するのは出先で八雲とはぐれた時や、やむを得ず別行動をとる時である。しかし、この端末は本丸内でも使えないことはない。
すっかり日の落ちた後、長義は本丸の自室で端末をじっと見つめて悩んでいた。
八雲に連絡したい用事がある。しかしこの時間、彼女も仕事を終えて部屋でゆっくりしている筈だ。今から押しかけていって話をするなど、紳士としてはするべきではない。
(まぁ……明日でもいいのだけれど)
と、思いつつ端末から目が離せない。そう、これを使えば八雲に連絡を取ることができる。ただ、急ぎの用ではないので、端末を使ってまで、と思わなくもない。それなのだけれど。
(……八雲と電話がしたい……!)
一度思いついてしまったその行為に、長義はすっかり思考を持っていかれてしまった。
先程から何度も通話ボタンに指が伸びるも、躊躇してやめるということを繰り返している。最初は情報の伝達が目的だった筈なのに、すっかり気持ち的には、彼女と話をしたい口実として急ぎでもない用事を伝えようとしているのだから全く、我ながらどうしようもない。でも、電話を掛けて迷惑がられたらどうしようとか、そんなことの為に端末を使うなと注意されるかもとか、色々考えてしまって先程から行動に移せずにいる。まさに理性と煩悩との戦い。冷静に考えて、危ない橋は渡るべきではないと思うのだけれど、その判断を即決できないくらいには、ただ八雲と話をしたいという気持ちで胸がいっぱいになっていた。
ちらりと時計を見る。長義が端末片手に悩み始めてから、もう十分ほど経とうとしている。このままでは時間だけが過ぎ、通話をするにも遅い時間になってしまう。もし本当に彼女と話がしたいのであれば、もう今すぐにでも電話を掛けなければ。
「――これも、仕事のうちだから、うん」
誰に対してかわからない言い訳を呟いて、遂に、えいっと長義は通話ボタンを押した。耳に押し当てた端末から流れるコール音と共に、長義の心拍数もあがる。
彼女が電話に出るまで、あと、数秒。
おわり
ありがとうございました!