前回のは書き終わったのでケシタヨーッ 病院と薬局の順番待ちが暇なので
百年ぶりの夜闇が視界に広がる。塔で目覚めを迎えてから久しくなかった平穏な世界を目に焼き付けていると、背後でドアをノックする硬い音がした。
「公、起きていらっしゃいますか。遅くに失礼いたします」
「何か用か」
振り返り、ドアの向こう側へ返事をする。真夜中に近い時間に用事が舞い込むとは珍しい。
「ええと……闇の戦士様がお越しになっているのですが……」
心臓がどきりと跳ねる。全身に血液が一気にどくどくと巡り始める。酸素過多で気が遠くなる。
──英雄が、私の元へやってきた。こんな夜遅くに、何故。
「彼女がお越しになった時は通すように、と指示を受けてはおりますが、時間が時間なもので……いかがいたしましょうか」
迷うのも当然だ。一般的に考えれば、こんな遅い時間に用を持ち込んでくる者などそうそういないだろう。けれども、彼女が私に何かを求めるというのなら、時間の問題など些末なことだ。
「構わない、今開けよう。下がってくれ」
「分かりました。では、どうぞ」
ドアノブを回せば、隙間から小さな体が現れ?。英雄がそろりそろりと部屋へ遠慮がちに踏み入れた。彼女にしては珍しい足取りに少々不安を抱く。
「遅くにごめんね」
「構わないが……どうしたんだ、こんな夜更けに。何かあったのか」
膝を折って、英雄と正面から向き合う。迷うように揺れていた視線が絡まった。
「えと、……水晶公、じゃなくて、ラハ。今日ってもう、やることない?」
短い指をもじもじ動かして見上げる英雄の弱った表情に、優越感と背徳感がこみ上げた。ともすれば外にあふれ出そうなそれを咳払いで見なかったことにした。
「特に何もないが……」
「じゃあ、ちょっと付き合って」
「うわっ」
急に勢いよく手を引かれ、転びそうになる。なんとか踏ん張って立ち上がりかけたところで更に強く引っ張られた。無理やり体重を支えさせられた右足首がつんと痛む。
「本当にどうしたんだ。あなたらしくもない」
理由を問うても答えはない。部屋の中央で立ち止まり、きょろきょろと見知らぬ空間を見渡していた英雄の頭が動きを止める。視線の先にあるのは──ベッドだった。思考が凍りついた瞬間、英雄は再び歩き出した。
「ちょ、な、なにをっ……!?」
その場で踏みとどまろうとするも、動揺にもたつく足では、解を見つけた彼女に敵うはずもない。あっけなく敗北した。さっきの遠慮がちだった足取りがまるで嘘のような、迷いのない歩みだ。
ベッドの前までやってきた英雄に体を押される。ベッドに乗り上げた私を容赦なく押し倒した。まずい、このままでは──この先の展開に身構えた瞬間、英雄は私の体の上から降りて、隣にころりと寝転んだ。
「……は、え……?」
左腕に柔らかな頬が押し付けられる。英雄は、ふうと細く息をついて、目を白黒させる私ともう一度視線を合わせた。
「……ラハ。一緒に、寝よ?」
言葉の意味と彼女のこれまでの行動、そして、その意図を理解するのにきっかり三秒を要した。こわばっていた体から一気に力が抜ける。
「最初っからそう言えっつーの……!」
「だ、だってぇ……」
「だっても何もあるか、バカ!」
思わぬ出来事だったせいで、頭からすっかり抜け落ちていた。彼女はこうやって思わせぶりな行動をしておいて、こちらの淡い期待を打ち砕く人だった。
「だって、ラハ忙しいかなって……でも、せっかく近くにいるんだから、一緒に寝たいな、って……」
そして、変なところで遠慮深い人でもある。どうせなら
薬局終わったのでおしまい!
※(R18では)ないです