補給しながら考察してみるという話
さて、翌日。
流石に大物を倒したという事で、久々にフード付きコートのレベル的な物が上がった実感があった。あの特大骨玉、普通に戦う分には結構厄介だからか、100面オーバーのほとんど球体な結晶を落としたのだ。
……一番最初に手に持っていたパチンコ。その次に自分で買って持ち込んだコート。その2つは、よほど大物の結晶でないと上がる気配がない。いや、その次に追加した登山用のブーツや、指ぬき手袋や、ポーチをたくさん下げる為のベルトも一般エネミーの結晶だと厳しくなってるんだけど。
「えーと、調味料は買った、乾麺も買った……本か」
まぁ実入りはあってもその分だけ残弾が減っているのは変わらない。という事で、お使いにかこつけて残弾補充のために買物へ。行くのは、この辺だと一番大きな買物スポットの、駅前ビルだ。
とりあえずまずはお使いとしてメモに書かれた買物からやっつける。そんなに重い物でもないのでさくっと購入。お釣りは自分のお小遣いにしていいのがわが家のルールなので、質と値段で相談だ。
そして毎月もらえる分に臨時収入を加えて、100円ショップへ。ガイコツが一般エネミーなアンデッド的仮称異世界では圧倒的に黄色いビー玉を消費する。とはいえ、特定の色のビー玉だけを売っている訳もない。
「あれ……ビー玉、売り切れ?」
「どうされましたか?」
「あ、いえ……あの、ガラス玉ってありませんか?」
「すみません。仕入れ元の地域で、ポータルへの反対デモが起こっているようでして……」
ポータル。とは、私が小学生……だから、5・6年前? に発表された、いわゆる「転移装置」の事だ。空間をどうのこうの、詳しい理屈は知らないし覚えてないが、とりあえず一瞬である場所からある場所へと移動できる、まさしく「どこ○もドア」みたいなものだ。
ちなみに、駅にもポータルは設置されている。通勤ラッシュの時間はとても混み合っているのは良く知っている。ただ、そこそこお高い。だから電車もバスも、何なら飛行機も普通に運行している。
今の所問題らしい問題は聞いたことが無い。が、確か、運送関係の業界の人達が、仕事を奪われたとかそういう理由で、ちょいちょいデモを起こしているのは良くニュースになっている。
「あー……それは、仕方ない、ですね」
申し訳ない顔をする店員さんに、納得の答えを返してもう少し店内を歩く。向かったのは手芸のコーナーで、こちらで見るのはビーズだ。ただ、色々試して、プラスチックはあまり「力を溜める」のに向いていないという事が分かったから、探すのはガラスのビーズだ。
ビー玉より威力は落ちるが、コスパはこっちの方がいい。だから、通常弾扱いとなる。……一部特殊な形をしていたり素材が特殊だったりするビーズは、相応の特殊な動きをするから、それはそれで使えたりするのだが。
今日は珍しく天然石のビーズがあったので即購入。少し考えて、星型のビーズも購入。ちょっと場所を移動して、ラメが大量に入ったスーパーボウルを購入。そしておやつのドライフルーツの袋を買って、しめて千円。
「お札が出て行ってしまった……」
お安い筈なのに出費が痛いとはこれ如何に。……100円ショップではなく、専用の手芸店とかの方がお安いような気はする。が、ビーズの為だけに行くのはちょっと……。糸や布に用事は無い訳だし……。
お小遣いの残りと残弾の数を比べて頭を悩ませながら、これにて買物終わり。駅前周辺は何故か仮称異世界が出来ないようで、そういう意味でも安心だ。巻き込まれる人数と、買物袋を持ったまま戦うのは厳しいって意味で。
それについ昨日何とかした仮称異世界は、駅へ向かう道の途中にあった。それを何とかしたから、今日の帰りぐらいは大丈夫なはずだ。仮称異世界があった場所には、とりあえずしばらくの間別の仮称異世界が出来る事は無いらしいから。
「……説明書とか落ちてないかな」
いや本当に。あの仮称異世界は一体何なんだろうか。
生き残りは出来る。対策も出来る。が、具体的な事や詳しい事はさっぱり分からないままだ。初めて巻き込まれた「最初」から来月で半年、いい加減その辺の謎が気持ち悪い。
どうも状況や状態から考えて、他にもあの仮称異世界を何とかしている誰かはいる、と思う。もしかしたら、何か情報を持っている、かもしれない。
「とは言え……時間制限付きで、どうやって探すかもわからないしなぁ」
それでも、かもしれない、の域を出ない。
その状態でその可能性に賭けるほど追い詰められても居なければ……素直にその可能性を信じられるほど、人間という物を信用しても、いないのだ。