・プロローグ部分(中盤もしくはラストでもう一度同じシーンを挙げて真相解明する)
おいしい。
おいしい。
おいしい。
こんなにおいしいもの、いままでたべたことがない。
あまくて、やわらかくて、あったかくて。
なにもはいっていなくて、からっぽだったおなかが、みたされていく。
おなかいっぱいになるって、いいなあ。
からっぽじゃないって、いいなあ。
いっぱいたべて、たべて、たべて。
わたしは、おなかいっぱいになった。
こんなにおいしいものがあるだなんて、しらなかった。
そうだ。
いつか、わたしにともだちができたら。たいせつなともだちができたら。
このおいしいものを、わけてあげたいなあ。
それで、いっしょにたべたいなあ。
・第1章
「むかしがたりのかえりみち」の内容、ラスト部分を多少改変する。
・第2章
夏も終りを迎えつつある幻想郷。しかし、中天に差し掛かった日差しはまだまだ暑く、博麗神社の境内には蝉時雨が鳴り響いている。
「アンタらさー……」
神に仕える巫女にあるまじきだらけた格好で縁側に伸びている霊夢が、うちわで生ぬるい風をかき混ぜながら横目で来客二人を見やる。
「なんか妙に似てるわよね」
「そうか?」
「そーなのかー?」
我が物顔で縁側の一角を占拠している普通の魔法使いこと魔理沙と、その膝のうえにちょこんと座っている宵闇の妖怪ことルーミアがそろって返事をする。その側には暴食の残滓であるスイカの皮が散らばっており、こっそり霊夢のスイカに手を伸ばそうとした魔理沙を、霊夢がどこからともなく取り出したお祓い棒でぺしんとはたいた。
「似てるわよ。どっちも金髪で黒い服だし、くいしんぼだし」
「そうかー? カラーリングはともかく私はこいつと違って少食だぜ?」
「ひとんちに手ぶらで来た挙げ句にスイカ5切れも食べてるやつが言うことか」
「今度は麦茶が一杯怖い」
麦茶の代わりに脳天に一撃を叩き込まれて悶絶する魔理沙を見て、ルーミアはのんきにふにゃふにゃ笑っている。
「れーむとまりさはかなよしなのかー」
「アンタと魔理沙もだいぶ仲良しでしょ。しょっちゅう一緒にいるし」
「るーみゃとまりさもなかよしなのかー。よしよしー」
痛烈なダメージを食らって悶えている魔理沙の頭を、ルーミアは小さな手でなでなでしてやっている。
「いってーな……ルーミア、お前はこんな暴力巫女みたいにならずに、私みたいに清く正しく生きるんだぞ?」
「何が清く正しくよこの白黒泥棒。こないだもいきなりパチュリーがアンタがまた図書館から稀覯本持ち出したって怒鳴り込んできたのよ」
「なんでお前のところにパチュリーが来るんだよ」
「そんなのこっちのセリフだっての! なんかみんなして私をアンタの保護者か何かだと勘違いしてるんだから、迷惑ったらありゃしない」
「ん……? ということは私がどれだけ悪行を重ねようとその責任は霊夢が背負う……ってコト!?」
「ほほう。ならば保護者責任として今この場でアンタに食らわしてやるしかないわね、然るべき報いをッ!」
とかやっていると、魔理沙の膝の上でマイペースにスイカを食べていたルーミアが顔を上げた。
「ねーねーまりさー、ほごしゃってなーにー?」
「あー? まあそうだな、お父さんお母さんのことだ。ほら、こないだの夏祭りのときも迷子の子がいたろ? 人間の子どもはおとなになるまで親に守ってもらうんだ」
「そーなのかー……」
ルーミアは分かったようなわからないような顔で、魔理沙の言葉をスイカと一緒にむにゃむにゃ咀嚼している。