ワンライ企画で小説を書くのにもちょっと飽きてきたので、ここらで小説じゃなくてごく普通の日記みたいなエッセイみたいななんかそんな感じの何かでも書いてみようと思う。
多様性というのは、まあ、あって損はないんじゃないかと思うのだ。というわけで、このサイトの中ではちょっと移植になってしまうかもしれないが、おっさんの駄文に付き合ってもらいたい。
とはいえさすがにお題をガン無視するのもそれはどうかと思うので、一応「歩く」というお題に沿った話をしよう。そのものズバリ、俺が先日仙台を歩いたときの話だ。
宮城県仙台市、「杜の都」を自称する、東北地方の政令指定都市。東北地方の中心のような雰囲気を醸し出しているが、実際東北六県の中では、仙台がもっとも栄えている県庁所在地だと言っていいだろう。
近年では東北六魂祭なんてものもあり、東北地方同士のつながりが強くなっているような気がするが、それでも各県ごとの特色というものは根強く残っている。十把一絡げにできるものではない。
宮城県の特色と言えば、何をおいてもその住みやすさが挙げられる。夏は涼しく、冬はあまり雪が積もらない。東北以外の人からすると意外に思われるかもしれないが、雪国っぽさは、あまりない。
宮城より南の福島県の方が、むしろどっさりと雪が降るくらいだ。その理由には奥羽山脈が大きく関わってくるのだが……このあたりの諸々は、今日の本題ではない。今日は宮城の話、というよりかは、仙台の話だ。
仙台市は宮城県の県庁所在地で、度重なる市町村の吸収合併によって大きくなり、今では政令都市として宮城県を東西にぶち抜いている。
そう、東西に、太平洋から山形県境まで仙台市なのだ。そんなわけだから、一口に仙台市と言っても、東の端っこと都市部と西の端っことでは、もちろん雰囲気も大きく異なる。
そんな仙台市を「歩く」といっても、まあ歩けるような場所は限られる。……西の端っこ? バカ言っちゃいけない、あれは車で行くところだ。海岸沿い? まあ歩いて楽しめないこともないが、そんなところ歩いてどうするんだ。仙台市を歩くとなれば、都市部、仙台市営地下鉄の沿線が良い。
中でもやはり一番は仙台駅周辺だろう。仙台市民が「駅前」といえばまず仙台駅前だ。愛子駅周辺に住んでいる連中だってそう言う。そう言わないと、いろいろと話が通じなくなってしまう。
さてその駅前を歩こうと思い立ち、改札を通り抜けたのなら、まず目の前に見えるのは駅舎の壁にきらめくステンドグラスと、その前に常に数十人はいる人の群れだ。
仙台市民はだいたいステンドグラス前とフォーラス前を待ち合わせ場所に選ぶ。この二つの場所を覚えておけばとりあえず誰でも仙台市民のふりはできるので覚えておこう。
改札を抜けただけでは、何もできない。駅中の店を回るのも悪くは無いが、せっかくなら駅の外を歩く事をお勧めしたい。改札を抜けたら、そのまままっすぐ。ステンドグラスに向かって歩いて、その脇にあるドアから外に出よう。
ペデストリアンデッキを踏みしめれば、ようこそ仙台駅西口へ。OHバンデスの収録に立ち会えたキミは幸運だ。まあ別に何があるでもないのだが。もし托鉢中のお坊さんにあったら、小銭でも入れてやるといい。あるいは、何かしらのパフォーマンスを披露している人に出会うかもしれない。……東北地方にしては、仙台駅前は人が多い。
本筋からは外れるが、ここで仙台の「駅前」について話をしておこう。改札を出た後、左に曲がって少し進むと、仙台駅の東西連絡通路にぶつかる。ここをさらに左に、東に進めば仙台駅の東口だ。近年大規模な改修工事が行われて、駅ビルも大きく改装された東口もけっこう賑わっている。が、それでも仙台市民は、ここを「裏口」と呼ぶ。
「仙台駅前」は西口のことだ。なにしろ、昔は東口なんてそれこそ高速バスのターミナルとヨドバシカメラがあるだけの場所だったのだ。あとはKスタにアクセスするくらいの……あれ、今は名前違うんだっけ? とにかく、まあ西口の賑わいとは隔絶された場所だった。それがいい、と言うマニアもいるわけだが。
さて、そんなわけで西口に出たのなら、もう後ろを気にする必要はない。東口にある物で西口にない物は、まあ、ちょっとしかないからだ。あまり考えなくていい。とりあえず、少しだけ前に歩いてみると言い。具体的に言えば、すぐ目の前に見えるデッキの端。手すりの見えるところまで、だ。
そこから下を見下ろせば、馬鹿じゃねーのと言いたくなるようなタクシーの大群が見えるはずだ。仙台市の中心部は、とにかくタクシーが多い。絶対こんなに需要無いだろと声を大にして主張したいくらいとにかくタクシーが多い。車で仙台市内を流せば、あまりのタクシーの多さに辟易すること請け合いだ。
そんなこともあって、俺は仙台市を訪れるならば車ではなく電車を進めたい。郊外で楽しむなら車でもいいが、市街地で遊ぶなら歩きが一番だ。徒歩だけでは大変じゃないか、と思うかもしれない。そういう観光客向けに、るーぷる仙台という観光バスが走っている。仙台駅周辺を周回しているバスで――正確には、仙台駅の西側にある観光スポット等を周回している――どこから乗ってもどこで降りても運賃同じ、観光でのご利用には地下鉄でも使える一日乗車券がオススメだ。
ところでどうでもいいんだけど何で観光って光を観るって書くんだろうね。
……とはいえ今日のお題、テーマは「歩く」なので、今日はるーぷる仙台は使わない。さようならるーぷる仙台。俺乗ったことないしたぶん今後乗ることも無いだろうけど。
ペデストリアンデッキは、仙台駅前の一部に広がっている。具体的には、バスプールやらタクシー乗り場、一般車両乗降場の上を覆う形で広がっている。仙台駅の二階にある在来線改札前を、そのまま拡張したような広場と通路の集合体だ。
駅を出て正面に伸びているのが青葉通。その右手にもう一本あるのが広瀬通で、そのさらに右には定禅寺通がある。仙台駅前の商業施設は、だいたいこの三本の通りに沿って展開している。さてここで俺が歩くのをお勧めしたいのは、ズバリ定禅寺通だ。
定禅寺通は、今挙げた三本の通りの中で最も遠いわけだが、この中で一番緑が多い。公園にも面していて、まさに杜の都といった風情がある。
ただし、秋だけは気をつけるように。秋の仙台XXXの匂い。銀杏テロが横行しているので注意が必要だ。
また、定禅寺通では、しばしばイベントが行われる。公園が近いためにイベント会場に選ばれやすいのだろうか。そのあたりの事情は正直よくわかっていないのだが、ジャズフェスの時の定禅寺"ストリート"の雰囲気は嫌いじゃない。せっかく仙台を訪れるのなら、そういったイベントのスケジュールを確認しておくのも悪くないだろう。
ケヤキ並木の下をしばらく歩くと、左手に繁華街の入り口が見えてくるだろう。そう、ここが東北最大の繁華街、東日本大震災後に復興需要でそれはもうこれでもかというくらいに賑わいまくった、国分町である。
駅前で映画を見るなりショッピングをするなり楽しんだ後、夜は国分町で飲み歩く。これをひとつの流れとしてオススメしておきたい。国分町周辺にあるホテルを宿泊場所に選んでおけば、飲んだ後すぐに寝られるから安心だ。昼間はたいしたことない距離に思えても、酔っぱらった後だと駅前あたりまで戻るのはけっこうしんどいのだ。
国分町。全国の繁華街の例に漏れず、夜は酔っ払いが集まり、酔っ払いを狙ったキャッチが集まり、あとなんか片言でマッサージを進めてくる謎のおばちゃんがいる。……あのおばちゃん全国どこの繁華街でも絶対に見かける気がするけどなんなんだろうなアレ。正直すごく気になってるけど怖いからあんまり近寄れない。誰か知ってる人教えてください。
まあとにかく国分町もそういったよくある飲み屋街の一つということだ。酔っ払いが多いだけに、まあ汚い。夜明けの国分町では、ゴミやらゲロやらが道端によく落ちている。交番の近くに元鍛冶丁公園(今正しい漢字が思い出せなくてちょっと検索した)という公園があるのだが、ここもとにかくゴミが多い。いつも清掃している人には本当に頭が下がる。
そんな国分町を、昼間に歩いてみるのも意外と面白かったりするのだ、これが。当然酔客目当ての店は大半が閉まっているのだが、中には昼営業をやっている店もある。そういった店は、前夜に捌けなかった料理を安価に日替わりランチとして提供していたりするので、なかなか侮れない。新規店舗を開拓する目安として、ちょいと立ち寄ってみるのも悪くないだろう。
もちろん、夜に歩くのも良いぞ。ただし店はちゃんと予約しておくか、よく国分町を知っている地元民と行動したほうがいい。キャッチについていくと大抵痛い目を見ることになる。ぼったくられる、ということはあまりないが、大して美味くないし安くもない料理と酒で時間を潰す破目になるからだ。
さて、こうしてぶらぶらと国分町くんだりまで歩いてきたわけだが……俺の目当ては飲み屋ではない。国分町の端っこ、駅から最も遠い方。もうちょっとで立町という別の区画にはいってしまうぞというところにある、ひとつのビルが目的地だ。
キュア国分町。何のビルかといえば――サウナのビルだ。
サウナ。サウナである。キュアという名の示す通り、風呂と熱波と水風呂と杜の都の外気浴とで、疲れを癒す施設である。
仙台駅前からわざわざ歩いてきたのも、サウナに入るためのコンディションを万全に整えるため。おそらく20~30分程度の散歩の後だからこそ、よりサウナが身に沁みるのだ。
これを、市営バスなどを使ってはいけない。できることなら少し速足で、軽く体に負荷をかけるくらいにすると良い。疲れてしまうほどはだめだ。サウナはけっこう体力を消耗する。それから、途中の食べ歩きもあまりおすすめできない。サウナはけっこうエネルギーを使う。消化にエネルギーを割かれてしまうのは、あまり良くない。
昼食を取った後、店を冷やかしながら時間をかけて仙台市を歩き、国分町のホテルに荷物を預けた後、夕方にキュア国分町へとたどり着く。そしてサウナでゆったり「ととのって」から、夜の国分町を楽しむ。
これが、俺のおすすめしたい「仙台の歩き方」だ。興味を持ったら、ぜひ試してもらいたい。
ただし、ひとつだけ注意事項がある。
――キュア国分町は、男性専用です。
<了>