赤い砂を踏みしめて近づいていくごとに、その謎の塔の姿が現れてきた。
 これまでどんな本でも見たことがない、「塔」というにあまりにいびつなそのシルエットは、赤く濁ったそらをそこだけ黒いシルエットで切り取っている。
「おーい!」
 あんな得体のしれない建物に弟がいるわけがない。それでも、僕の喉からは勝手に弟を呼ぶ声がほとばしった。
 黒くそびえ立つその塔のような建物に、僕の声ががらんどうのように響く。やっぱり、こんなところに弟がいるわけがない。
 踵を返そうとしたその時、夢でしか聞くことのできない声がかすかに聞こえた。
「っ!」
 慌てて振り向いて、塔の真下にまで駆け寄る。
 赤い空を突き抜けるようにそびえ立つ塔の、その中ほど。
 ぽっかりと外壁に空いた、窓とも言えない開口部。
 そこに――弟がいた。
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夏コミ原稿を書いていきます。
初公開日: 2026年07月17日
最終更新日: 2026年07月17日
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