『龍誕生日』『海』『ゴールド(金)』『シルバー(銀)』
「龍、龍。俺、お前の事が好きなんだ」
柔く握り込まれた手のひら。その力加減が、まるで宝物を包み込むような優しいものだった。
向けられる熱視線。まるでじりじりと俺の心の奥底を焦がすようで、まともに見返すことができない。
はくっ
楽の愛情に溺れそうになる。
全身で、言葉で、態度で。その存在が『愛してる』を訴えてくるのだ。
ずっと伝えられていた愛。
龍之介が好きを諦めてできた穴。それを埋めて有り余るほどの愛を与えられた。
(こんなの、ズルい)
諦めようと思っていた。
こんな近くにいるのに、楽の愛は得られないのだと何度絶望に落とされただろう。
それなのに、いまさら、こんな。
「楽は……俺のこと、なんとも思ってないんじゃ……なかったの」
「嬉しかった。龍が俺のこと、好きだって気付いてほっとしたんだ」
本当に、悪かった。
楽の手に力が込められた。
「俺は、龍の好意に甘えて、優しさに甘えて、自分のことだけ考えてた」
ごめん。
その声は泣きそうで、俺もつられて泣きそうになる。
失って初めて気づいた。本当に、本当に嫌だった。それは子供の独占欲のような、それでいて強い執着心。
俺からの好きって気持ちは、楽にとってそんな大切な感情なんだと悲痛な声で訴えてくる。
「俺からの『好き』は、楽にとって当たり前にあったもの?」
「違う!!そう、俺が勘違いしてたんだ」
龍の気持ちがどれだけ貴重で、大事な物かって、自分の気持ちに気付いてから知った。
ごめん。
また、楽がぽつりと口にした。
そうして、俺に抱いてた気持ち。恋だけじゃなく、友情、尊敬、色んな気持ちがあったんだと教えてくれた。
「男を好きになること。そんなことがあるって言うのは知ってた。でも、自分がそうだって思ってなかったんだ」
バカだよな。龍が俺の事を好きだって気づいたとき、浮かれたのにな。
龍之介の全ての感情が、自分の方へ向いている事。そして、その事実が龍之介が自分の側にいることを示していたから。
「龍。俺は本当に浅ましい男だ。自分でも嫌になる。それでも、龍。俺はおまえが好きだ」
逃がさないとでも言うかのように、楽の手にさらに力が込められた。
「……やっぱり、それは楽の気のせいだよ」
「……っ!!」
かっと頭に血を上らせた楽を、龍之介はやんわりと制す。
「俺は、TRIGGERが好きだ。TRIGGERの十龍之介として皆から愛されるのが好きだ。そして、楽、天。二人とTRIGGERとしてステージに立つ事が好きだ」
だから、大丈夫。龍之介はにこりと微笑む。
「俺は、TRIGGERがある限り、楽の隣にいるよ」
その言葉に、楽は勢いよく手を振り払った。
「お前の気持ちはよく分かった。でも、俺は龍のことが好きなんだよ」
怒りとないまぜになった強い感情。銀色の瞳に好戦的な炎が宿る。
「俺が、好きなんだ。おまえが俺を好きだったことは知ってるんだ。絶対逃がさないからな」
第二ラウンドのゴングが鳴った気がした。