ペアシートより広く、わたしたちにはすき間があった。あとひとり入れない程度に、片手ずつ置く幅に。肩の触れ合わない距離に。ローウェルさんがしっかと足を床へつけるのに対して、わたしは裸足を座面へ上げていた。(断りは入れた。嫌われるわけにはいかなかった。)膝がやんわりひらいているのを、男の子なんやな、と、有機ELの光を頼りに考える。
持ち込んだテープは三本で、いっぽんめの英雄譚を観終えた。ふたりともカーテンをひらきに立ち上がったから、両側をひといきに引いてまぶしくなる。ぜんぶ影だった壁や床、隅のガジュマル、ローウェルさんそのものがしろくなる。だんだん色になる。壁はすべてきれいなスカイブルーで子供部屋みたく、跳ねた昼光は雲模様になった。まぶしくて可愛さがない。ワン・ルームのロマンスに似つかわしいとはとても。なにせ背中がまるい。
ランチ代わりにならなかったインスタントスープの残骸。買ってみた割に使わない紙皿と紙コップ。(お互いの好みが違いすぎる。シェアなんて最初から考慮すべきじゃなかった。)バイブもオフった私用スマホ。わたしはずっと、彼の、連絡端末の沈黙を願っていた。いまはまだ無事。
ライムイエローが煤けたみたいなカウチへ戻る。予定通りに、デリバリーを頼む運びでローウェルさんのスマホへ寄った。肩が触れたらいいと思う、触れない位置を保つから、よけいに、よく思う。
冒頭なんとなく書いたのでおしまい~ ありがとうございました
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いま聴いてる→ 『恋の魔法』:西沢さんP/TOKOTOKO:(歌:星導ショウ)
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二人乗りって失敗したことしかないんですけど、ローウェルさんやったことあります?
ダメだ、明確に違反だ。
私有地でも?
危ないだろ。まさか道に出てないよな?
まさかですよ……あ、出とらんほうでね。
誰とやってたんだ? 友達か?
尋問や。友達……ともだちですね。
芽キャベツって食べたことない。ローウェルさんは?
お金持ちのおうちって隠し扉あるんですかね……ありました?
あるわけないだろ……なあ、キミは姉妹だったから想像の範疇を出ないかもしれないけど、男兄弟ってのはヤバいんだ。オレと兄貴はまあ、たぶん、躾はしっかりされたほうだから……でもやっぱり、家に隠し扉なんかあったら遊びたい放題だったと思うぞ。
スマホの明かりで手元を確認する
愛し合うこと、というのは仕方が無いこと。
わたし、わたしが何回言うても『ボンプ』が『竹』に聴こえるって。バカみたいだからマジでやめろって……
そこまで言うことじゃない、似てるんだから。誰が言ったんだそんなこと。
あー……三、四年前の彼氏……
ごめん、その、あんまり悪く言うつもり……いや、言ったか? 言ったよな。
だいじょぶ、だいじょうぶ。"元"なんやから、そーゆーことですよ。