「なぜ……」
「良く似合ってるね。カミロ」
 翌日分隊長から命じられて、俺とグラシアはブルーノ殿下の護衛騎士になった。
 それで、俺に与えられた制服は……メイド服だった。
 戸惑ってる俺をひん剥いて着替えを手伝ってくれたのは、殿下付きのメイドたち。
 
「信じれない。元は男の子なんでしょう?」
「どうして、そんな胸がおっきいの?おかしくない?」
 色々話しかけられながら、俺はメイド服に着替えさせられた。
 しかも俺のは特注らしく、裾が短い。
 すーすーして気持ち悪い。
 足をこんな風に出すのは初めて、なんていうか内股になってしまった。
「照れなくてもいいからさ」
 殿下はにこにこ嬉しそうだ。
「そうだ。グラシアも似合ってるよ」
 殿下は付け加えたようにグラシアを褒める。
 グラシアは俺と違って護衛騎士の普通の制服だ。
 めちゃくちゃ似合ってる。
 俺もあれが着たかった。
 今の俺には似合わないけど。
「殿下。どうしてカミロにそんな服を着せるのですか?」
 声は淡々としていたが、眉間に皺がよっていて、どうみてもグラシアは不機嫌だ。
「メイドの恰好した護衛騎士だ。いい考えだろう?今のカミロはどう見ても騎士の制服は似合わないよ」
 確かにそうだけど、この服はないんじゃないか?
「さあ、今日は行くところがあるんだ。ついてきて」
 殿下は俺たちの反応を気にせず、歩き出す。
 王族には逆らえない。
 しかも俺たちは騎士だ。
 騎士として三年学び、騎士になった。
 王を、王族を守るのが騎士の役目だ。
 そして王は民の生活を守る。
 メイド服は裾が短いので、どうも内股になってしまう。
 だけど一応護衛騎士であるから、殿下の側につきそう。
「どこに行かれるのですか?城の地図は把握しております」
 グラシアが殿下に問う。
「お、優秀だね。行き先は魔術師エレナのところだよ」
「魔術師の塔ですね」
「そう」
 グラシアは殿下の前に行き、先導する形になった。
 塔に到着し、階段を上がって最初の部屋の扉をグラシアが叩く。
「魔術師エレナ殿。ブルーノ殿下が用事があるそうです。扉を開けてください」
「何かご用でしょうか?」
 すぐに扉が開かれ、フードを深くかぶった人が現れる。
 俯いているので、顔かたちなどさっぱりだ。
 か細い声からして女性とわかるくらい。
「エレナ。君に相談があるんだよ。呪いのことで。今城内で噂になってる呪いにかかって性別が逆転した子たちだよ」
 殿下がそう言うと、エレナさんは顔をあげた。
 茶色の髪に、琥珀色の瞳をした可愛い系の女性だ。
 もちろん、女性版のグラシアの方が可愛いけど。
「入ってください!」
 人が変わったようにエレナさんは積極的に私たちを部屋の中に入れてくれた。
 部屋の中はちょっと不思議な匂いがする。 
 薬草の匂いが充満してる感じ……。
「そこ座ってください。ああ、椅子が足りない」
「私は立っているので大丈夫です」
「俺も立つので大丈夫です」
 グラシアだけを立たせるわけにはいかない。
 なので俺も椅子に座らず、立つ。
「私は遠慮なく座らせてもらうよ」
 殿下はすぐに座ったけど、エレナさんは立ったままだった。
「あの、座ってください」
「いえ、お客様に立たせるわけにはいかないので」
 なかなか強情な人だな。
 
「それでは、こうしたらどうだろうか。エレナ、私の膝に座って」
「……な、何を言ってるのでしょうか?!」
 エレナさんは動揺している。
 って言うか、殿下は変態か?
 グラシアはなんていうか滅茶苦茶冷めた目で殿下を見ていた。
 ……俺の着てる服も殿下の趣味か?
「冗談だよ。エレナ。本気にした?」
「ふ、ふざけないでください!」
 それは怒るよなあ。
 うんうん。
「ごめん。ごめん。じゃあ、話を進めようか」
 殿下は悪気がまったくなさそうに謝って、突然話を切り返す。
 訳わからんな。
「このメイドの恰好をしているのがカミロ。元男性。隣の騎士が元女性のグラシアだ」
「すごいですね。体を見せてもらってもいいですか?」
 目をキラキラ輝かせてエレナさんは俺たちににじり寄る。
「私の体は見てもらってもいいですが、カミロは駄目です」
「逆だよ。俺の体は見てもいいよ。だって、女の子の体だから、エレナさん見やすいだろ?」
「私も興味があるなあ」
「殿下は絶対に駄目です!」
 グラシアが殿下を睨みながら言う。
 不敬罪ではないのか?う?
「カミロがいいっていうなら、私は何も言わない。エレナ様、私たちの体を見ますか?」
「えっと、やっぱり男性体はちょっと恥ずかしいので、カミロさんの体を見せてもらってもいいですか?」
「はい」
「あの、私が立ち会ってもいいですか?」
 グラシアがぐいっと乗り出してきた。
「えっと、カミロさんがよければ」
 よい、よいのかな。
 ええい、俺の体だけど、女の子の体だからいいや。
 男は度胸だ。
「あ、やっぱりやめておきます。その代わり、殿下の側についています」
 見張るって意味だよね?守るじゃなさそう。
「残念だなあ」
 そう言う殿下の視線が俺の胸あたりを見ているのは、やっぱり大きいからか。
 こういうところ、アリシオ先輩とそっくりだな。
「さあ、奥の部屋を行きましょう」
 エレナさんに連れられて、奥の部屋に入る。
 そして色々見られてしまった。
 なんていうか、……やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
「ありがとうございました。本当に女の子なんですね。体が変化した時、痛みとかありました?その髪は元からその長さだったのですか?」
「痛みはなかったです。後、髪は女性化したときに伸びました。切りたいのですけど、難しいですか?」
「切らないでください。元に戻ったときにどこかが欠損する可能性があります」
「欠損?!それはいやです。髪は長いままで我慢します」
「今のように結んでしまえば邪魔にならないと思いますので、呪いが解けるまでは我慢してくださいね。頑張って呪いを解く方法探してみます。あの、もう一人の方も同じように?」
「はい。グラシアは俺を庇って最初に呪いを受けたのです。だからなんとしても解きたくて」
「そうですか。私、頑張りますね」
「ありがとうございます」
 エレナさんは小柄で可愛い人だ。
 真面目そうだし。
 殿下はなぜこの人を揶揄うのだろう。
 
 その日は、それだけでエレナさんの部屋を後にした。
「エレナなら、きっと方法をみつけれくれるよ。彼女は若いけど優秀な魔術師なんだ」
 そういう殿下はちょっと誇らしげで、なんていうか珍しい表情だった。
 まあ、珍しいといえるほどの仲でもないんだけど。
 夕方になり、やっと俺たちはお役目御免になって、騎士団に宿舎に戻る。
 もちろん、メイド服は着替えている。 
 あんな恰好で帰れない。
「カミロ。私の部屋に来ないか?私の部屋は女性用で一人部屋だし」
「い、いや。いいよ!」
 グラシアと二人っきりで寝るなんて、ドキドキなことできない。
 まあ、今の体じゃあ、間違いなんて起きないんだけどさあ。
 
「心配だな」
「大丈夫だって!」
 俺は完全に読み違えていた。
 アリシオ先輩という例があったのに。
「すっげえ、おっきい。触りたい」
「いいじゃなーね。減るもんじゃないし」
 ごちゃごちゃ声が聞こえる。 
 なんていうかもぞもぞを触られている感じもするし。
「な、何やってるんだよ!」
 目を覚めると、ルームメイトの二人が俺の胸を触っていた。
「ふざけんなよ!」
「いいだろう。どうせ、減るもんじゃないし」
「減らないけど、気持ち悪いだろ!」
「気持ち悪い?え?気持ちいいじゃないのか?」
 最悪。
 こいつらとはいい仲間だと思っていたけど、本当軽蔑する。
「カミロ!」
 扉を蹴破ってグラシアが現れた。
 武装している。
「うわ。お前、グラシアか!なんていうか、本当に男になってたんだな」
「あなたたち、カミロに何かした?」
「し、してない!してないよなあ」
「してないぞ」
 二人は青白い顔をしながら、俺をちらちらとみる。
 触られて嫌な思いもしたけど、二年間つるんだルームメイトだ。
 恩を着せてやる。
「何もされていないよ。グラシア」
「本当?本当に?」
「本当だ」
 嘘だけど。
 
「じゃあ、いいけど。心配だから、やっぱりカミロは私の部屋に来て」
「え?」
 俺の意志は確認されないまま、グラシアは俺をひょいっと所謂お姫様抱っこして部屋を出ていく。
「カミロ。念願の」
「だな」
 ちがう!
 俺がやりたかったのは逆だ。
 俺がグラシアをお姫様抱っこしたかった。
 これじゃ、全然違う。
「グラシア。降ろしてくれ」
「嫌だ。このまま部屋に連れていくから」
 ぞくっとするような低音で言われて、なんていうか俺はちょっと色気に当てられてしまった。
 おいおい、俺大丈夫かよ?!
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ありま氷炎
なろうで書いてしまったので、慌てて、こちらのコピペして書き直す。AIじゃないことを証明するために、ライブで書き続けたい。
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