1時間経ったらたぶん終わります
襟飾〈タイ〉をしめるようお言いつけになる。
あばく楽しみならもう隠すときに触れてしまっている。
翼が生えても折りたたみきみの裸足が好きです(透明な波に浸けて)。
砂漠で潤うことに仙人掌が咲きたい。
「僕プライドがある。あなたが女性だからで、ぜったいてきに、守るべきラインがある。*きみ*の人間性に相対せば好きだよ、ほんとうに……恋ってやつだとするとちょうどいい、なんて調べる甲斐も研究の余地もない……僕がくだを巻いてるのがそんなに面白いかい、面白いだろうさ! きみはいつだって、いや、きみにはいつだって表面だけ見せるほうがいいって決めたのは僕で……」
軽んじてほしい。
舌の火傷は報せてください。指切りは応じてください。死んだら言ってください。
わたしはたしかに、赦してほしい、というよか、赦してくれるだろ、だとかいう甘えを、胸のうちに仕込んであったのだろう。主体性の奪われ方をわたしという非道なやつはよくご存じで、しっかりと、意識の外っかわで動くのだろう。大悪だが、みみっちいので、目立たずいられただけだ。
だれに見せるわけもあるかよという背中の面皰を気にしはじめては*おしまい*だ。白旗だ。降参も降参、参ったのでゆるしてくれやしないだろうか。輪ゴムのてっぽうでばんとやって恋、の嗜み方はたぶん酔性にまかせていられない。
はい、妻です。と会釈してみると、お相手より、格段に気に入った、とされるのが横のお方で、わたしは義弟にするのと似た感じで、とーまさま、ご挨拶、と肘を当てた。役柄としてはまちがいないことをしたが、身の上が、まだすこし気になる。ぶしつけです、とおもう。
四月上旬の気温が予想されるとわたしの頭からはWINTERKILLがまたたくまに死んでゆく。二月は凍るべきだし、凍らないなら、冷たいべきだし。
22度で折り合いのついたワンルームにソファベッドと布団で寝るのは青春って言っていい? 家具ないねここ。夏服も。新品のガジェットばっかで白と黒だし。流行ってんだよねさみしくすんの。
一九九九に呪われてしまったんだとおもう。わたしも浦島も。彼が慣れた手つきでカーオーディオをいじくるのも、FMラジオを回し、平成の(サビだけ知ってる)ヒットソングを口遊むのも。SAじゃひとりでお手洗いにも行かせてあげられないかわいそうなまま連れ回して、どう整合性やら責任を取ってやれるかもわからない。鏡が浦島を映しさえしたらいい、向かい合わせてちゃんと浦島なんだよって言い合えたらいちばんいい。どうすんの、おばけみたいだねって言わせちゃって。
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〈海峡〉
四つ足でもがくのは産まれた瞬間からの決まり事で、二つ足で立つのは、ちょっとしたコツに過ぎない。地を遍く踏んでやろう、と勇んで歩きはじめられたなら、とりわけ幸運な星の生まれと言える。
足を持たぬ生き物が歩を進めるには、胴とかで這ったり、泳いだり、飛んだりするほかない、とわたしは思うが、そのわたしには、どうにも、目の前のフリンズという男が、二つ足で勇むすがたを想像し得なかった。
びゅうびゅうというお聲で襟巻を盗んでしまわれてひと月が経ち、かなしいがお別れだった。あれが風なのか、襟巻の泣き聲かはいまとなっても。
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〈ハビタブルゾーン〉
星穹列車は宇宙ステーション・ヘルタに停車し、穹からの誘いで模擬宇宙のテストへ赴いた。(「丹恒が三人いるから、あとは俺が一人でパーティーだな」と言われた。ミス・ヘルタは黙している。俺がおかしい可能性が残っていて、言うなれば不便だった。)
いいタイミングかも 終わります ありがとうございました~