革命軍と麦わらの一味は、かれこれいろんな縁で結ばれている。
これからふたつの組織が合流することになるが、片方が海賊とはいえそんなにおかしな事態にはならないはずだ。
しかしドラゴンにとっては、ほとんど関わってこなかった息子との再会でもある。
昨日の夜はろくに眠れず、ソワソワしながら電伝虫の群れなんかを眺めたりしたし、朝食の時はカトラリーを3回ほど取り落とした。
軍の退役を親父のガープに告げるときよりも緊張していて「あれ、自分ってこんなんだったか?」なんて自分で自分を疑った。
が、サボの方がもっと落ち着きがなかった。
彼が柱にぶつかったり、側溝に足を突っ込んで転んだり、昼メシのカレーをワイングラスによそっているのを見て、ドラゴンはやっと落ち着きを取り戻した。
サボのおかげでで父の威厳は保たれるはずだ。
大丈夫。いつも通りやればいい。
それから一時間かけて鏡の前で笑顔の練習をして、さて対面の時。
2年間革命軍と行動を共にしていたロビンが「ほらルフィ、あなたの父親。ドラゴンよ」なんてご丁寧に紹介してくれ、いよいよ彼と向かいあった。
「……おれの、とうちゃん?」
「……ルフィ」
時間にしてほんのわずか、ジッと見つめ合う。
何から話そうか、ドラゴンが逡巡していると、ルフィが動く。
「おひけェなすって」
「は?」
彼は足を大きくガニ股に開き、腰を落として片手を腰に。
もう片手は手のひらを上に、ドラゴンに突き出す。
ドラゴンは困惑した。
おれの息子は、いったい何をしているんだ、と。
「おれのとうちゃん! 2年間、ウチのロビンが世話になりやして」
「るふぃ」
「ありがとうござんす!」
ルフィが口上を述べるもドラゴンは何も話せず、冷や汗がじわりと額に滲んだ。
助けを求めるようにロビンをチラリと見やる。
彼女はただニコっと綺麗に笑うだけだった。
「おいおいルフィ、ちょっと待て! それは違うだろ!」
「なんだよウソップ、違わねェだろ! ロビンが世話になったんだから」
「そうじゃなくてよ、ホラ、ほぼ初対面の父親だろ!? なんか、こう、な! いろいろあるだろ」
「なにがだよ」
ゴッド・ウソップがルフィと肩を組んで説得を試みつつ、ドラゴンの様子をチラッチラッとうかがう。
きっと彼は良い人だ。
しかし当のルフィはどうにもピンとこない様子で、ドラゴンの心に一抹の寂しさが宿る。
ルフィを守るためとはいえ、自分は存在さえ秘匿していたのだ。
後悔は全くない。
しかし代償は大きい。
この場で楽しそうにしているのはロビンだけだ。
麦わらの一味の気の毒そうな目線に、だんだんこちらも居心地が悪くなってくる。
「おーい、久しぶりだなルフィ! 面会は済んだか?」
「サボ!」
「え?」
サボが遠くでにこやかに手を振ると、ルフィが弾いたゴム毬のようなスピードで飛んで行った。
ドラゴンは虚しくスルーされ、親子の再会はあっけなく終了。
「元気そうね、麦わらボーイ!」
「イワちゃんも、あんときゃありがとな! サンジも世話になったみてェで」
「そういえばサンジ君は? お世話になった人に挨拶もしないなんて」
「サンジボーイなら、うちのキャンディたちとの熱烈な抱擁――」
「あ、してるのね、挨拶」
「から逃げッチャブル!」
「逃げてるの!?」
「そいつァ見ものだ。冷やかしに行こう」
「楽しそうですねー、ゾロさん」
イワンコフもそれに加わり、一味もそちらに興味津々。
和気あいあいと話に花を咲かせる。
ドラゴンはその輪に加われなかった。
状況にとまどい、温度差に風邪をひき、完全にタイミングを失ったのだ。
麦わらの一味は「なにやってんだサンジは~」「たぶんあっちだな」なんてゲラゲラ笑いながら、悲痛の叫びがあがる方へみんな連れだって行ってしまった。
サボもイワンコフも「仲間を紹介するわ」「お前らもきっと気に入るよ」と言いながらその流れに乗る。
ドラゴンだけが、その場にひとり残された。
「え?」
彼のちいさな呟きは、カマバッカのピンク色の風に乗って消えたのだった。
カット
Latest / 83:07
カットモードOFF
36:57
お芋さん太郎
途中ですが、今日はここまでです!ありがとうございました
チャットコメント
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
はぐれドラゴン
初公開日: 2025年06月16日
最終更新日: 2025年08月21日
ブックマーク
スキ!
コメント
ONEPIECE二次創作。
麦わらの一味と革命軍。
※コミックス未掲載ネタ
ロシナンテ生存IF⑫
ロシナンテ生存IF⑫ゆっくり書いていきます
お芋さん太郎
約束はどこかの世界で果たされる
パラレル世界線。フランキーが親友とバーでしっとりと飲む話。
お芋さん太郎
僕の正義
戦争後、落ち込むコビーが決意する話を目指す
お芋さん太郎
【二次】SS書いてく【初めてのテキストライブ】
桃鬼のむきょまゆめSSを書いて行こうと思います。書きあがったものはXにて投稿予定。
渚紗