太陽剣、納刀。
 太陽剣が接触する代わりに、集合したゴーゴンの装甲板に接触したのはネグザルツの機首。
 密着状態の超至近距離に占位したネグザルツを照準できる砲口は――ない。
 ゴーゴンの装甲板とネグザルツの機首のわずかな隙間に、凄まじいエネルギーが点の形で集中した。
 太陽剣・徹(トオシ)。
 超指向性を与えられた長大なブレード型の形状を成す太陽剣のエネルギーを一点に凝縮し、超至近距離から打ち貫く剣技。
 装甲のわずかな隙間から叩き込まれた太陽剣のエネルギーは、瞬く間にゴーゴンの内部構造を奔った。装甲表面ではなく、機体構造内部を破壊するこの剣技は、いかなる堅固な装甲をも無効化する。
 最初に崩壊したのは、ネグザルツの機首が接触した部分ではなかった。ゴーゴンの内部構造を貫通したエネルギーは、その背部を爆裂させた。
 ゴーゴンの多重装甲が赤熱し、次いで白熱し、内側からめくれ上がった。その巨躯の大部分を構成する装甲が次々と反り返り、ゴーゴンの巨躯をいびつな花弁を思わせる異様な姿に変容させていく。その中で、その光核(コア)だけが光を失っていない。自身を爆光に包まれながらなお、巌の如き尊厳を誇示するかのように輝き続けている。
 ――その輝きは、遺言だった。
 かつての家属からの、そして師のひとりからの、最後の言葉。
『私は新しい世界の礎となろう』
『さらばだネグザルツ。そのまま突き進め』
 機体の大半を失ったかのような欠落感が、ネグザルツの思考域を満たしかけた。自己診断プログラムロード。自身の正常な、現実の姿を確認する。
 内外から負ったダメージと同様、思考域を満たしその正常な機能を阻害しようとするノイズが排除され、休息に思考域がクリアになっていく。
 そう。迷っている時間はない。思考を無制限に遅延させようとするノイズを振り切るように、ネグザルツは加速、ひと筋の流星となって飛び去った。
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初公開日: 2025年03月07日
最終更新日: 2025年03月07日
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