最近は家に引きこもりがちだったので映画を見に行こうということで久しぶりに行ってきましたなんばパークスシネマ。
梅田周辺の映画館ばっかり行くようになってますが、こないだシネ・ピピアにも行ったことですしもう少し新規開拓してもいいかも。
というわけで今日見てきたのはこれ!
人はしばしば「後味の悪い映画を見たい」という欲求を抱きますが(断定口調)、こないだTLに流れてきた本作の予告から上質な後味最悪系映画の放つフェロモンを感じ取ったので見に行きました。
舞台はアルゼンチンの寒村。数少ない人々が暮らすその村で「悪魔憑き」が発生。ペドロとジミーの兄弟は悪魔憑きとなったと思しき腐汁を垂れ流す腐乱状態となった住人を村の外に運び出そうとします。しかし悪魔憑きは収まらず、混乱は徐々にう広がっていくことに。悪魔憑きが出たときに守らなくてはならない7つのルールにしたがってなんとか事態を食い止めようとするペドロとジミーですが、事態は急速に悪化していき……。
内容は一言でいうと救い/Zeroといった感じ。前述の通り悪魔憑きが出たときの7つのルールがあるんですが、そのどれもがよく考えたら「変な動きをする動物に近づかない」とか「銃は絶対に使わない」といったもので、事態の解決に直接つながるものではないんですよね。しかもホラー映画のお約束で誰も彼もがやっちゃいけないといわれてることをことごとくやってしまうので、もうどうにもならなずに最初から最後まで負け戦。
こういう展開で下手に救いを見せると一貫性が失われてしまうものですが、本作は一貫して救いがないので安心です。(安心ではない)
また本作……というかいわゆる「悪魔憑き」の多くが精神疾患や病気の類であることを考えて、本作の悪魔憑きは本当にオカルト的なものなのか、それとも病気の類なのかということに焦点を当てて見てました。冒頭の腐乱状態の男は病気とも思えますし、別居している妻のもとにいるペドロの息子は自閉症。なので、中盤くらいまではオカルトに見えて実は……という線も十分あると思ってました。
しかしやはり本作の悪魔憑きは、幽霊とか悪魔とか怪奇現象は直接的には出てこないもののオカルト的なものでした。でも、思うにそれはあくまできっかけに過ぎず、本作の本当の悲劇は「悪魔憑きがきっかけとなって顕在化する家族間の軋轢」なんじゃないかと思います。
作中では頻繁に「悪魔は私たちの頭の中にいる」というフレーズが繰り返されますが、これは「悪魔=家族間の軋轢はすでに生じていて、表に出る隙を伺っている」とも言えることなんじゃなかろうか。
事実、ペドロは一連の事件が発生したことがきっかけで現在は別居しており、接近禁止命令が出ている元妻の家に行かざるを得なくなっています。当然元妻は激怒、困惑してペドロの言葉に耳を貸そうとしません。なので事態は急速に悪化していくという。
本作は悪魔憑きがどうして起きたのかとか悪魔の正体はなんだったのかに間しては例によって例のごとく明確には描写されませんが、最後の最後まで悲劇で人間側は完封負け、というラストの無力感と喪失感こそが本作の本質だと言えるでしょう。