麦野と冠城は、そのままファミレスへと入った。時間制限の無い、最近では珍しい店舗である。これなら平均滞在時間を過ぎてもゆっくりと話が出来る。そこをわざわざ選んだ冠城は、どうやら腰を据えて話すつもりだった。
 店内は長居をする気が満々の若者達でいっぱいで、麦野は一瞬だけ自分達が浮いていることを気にしてしまう。冠城は四十八歳には見えないほど若々しく、ともすれば代議士か何かのような雰囲気を纏っている男だ。一方の麦野は年相応にくたびれ、加齢で目を垂れ下がらせた立派な中年だ。頭の白髪具合も、スーツのよれ具合も何もかもが違う。果たして、自分達は周りにどう見えているのだろうか。
 だが、冠城はそんな麦野の心中を余所に、つかつかと勝手に店内を歩き回ると、一番良さそうな席にどかっと座った。
「おい。発券機で席を指定してから──」
「座ってしまえば自動的に情報が修正される。やらなくても良い手間は省いた方がいい。機械に人間が支配されるな」
「横暴なことを……エラーが出たらどうする」
「どうせリモートバイトが遠隔で直せるようなエラーだろ」
 冠城は横暴にそう言うと、スマートフォンでそのまま注文を始めてしまった。各々のスマホで頼む方式は、相手の出方が窺えないので苦手だ。
 先程『一日』を終えてきたから、腹具合がまるで分からなかった。あの中で食べたものは今の胃に反映されていないし、仕事終わりのあの空腹がここに加算されているわけでもない。奇妙な感覚だ。差し当たって、麦野は蒸し野菜と味噌豚の定食を頼む。
「それで……何だったんだ、あれは」
「なかなか面白かっただろ。特許保留開発物」
 麦野にはその言葉がなんなのか分からず、首を傾げた。
「その首を傾げるの、癖なのか」
「この歳になると長い言葉は全く入ってこない。なんなんだ、それは」
「俗にいうひみつ道具ってやつだよ」
「はあ」
 その言葉には聞き覚えがあった。娘の静佳が時折ニュースを見ながら口にして、あれがどうだとかこれがどうだとか話していたやつだ。
「所謂、出所問わずの雑な発明品を一気に買い上げて審査する取り組みのことだよ。賛否が色々あったから、公募で名前が決まったやつだ。それでなごやかに『ひみつ道具』って名前がついた」
 役所のやることは全部民衆をどうやって黙らせるかでしかないとか、そういうことを冠城は話した。麦野はそのシニカルな考えに賛同する部分もあれば、頷けないところもあったが、好きに喋らせておくことにした。しかし、冠城のそのバイタリティは何だ? 目の前に運ばれてきたビーフステーキを見ただけで、麦野は既に胃もたれしている。
「それで、なごやかなひみつ道具……どくさいスイッチだっけ。あれで、僕に何をしたんだ」
「要するに独裁を体験させた」
「何も独裁じゃなかった。僕は相変わらず窓際だったし、周りだってそう敬ってはくれなかったぞ」
「へえ、お前窓際社員なのか」
 と、冠城が楽しそうに言った。つくづく趣味の悪いやつだと思った。麦野は無視して蒸し野菜を口に運ぶ。ファミレスの蒸し野菜は加熱が足りなくて、ところどころ固い。
「お前は独裁の本質を周りがへいこら命令を聞くことだと思っているかもしれないが、そうじゃないんだ。独裁っていうのはシンプルなんだよ。自分の統治下にあるものの命をどれだけ好きに出来るかっていうのが、独裁だ」
「なるほどねえ。僕には全然、考えが至らないけれど」
「お前がボタンを押した時に言った名前──あれ、なんだったか」
「保科直樹」
 くしゃ、とした気分でもう一度名前を呼ぶ。
「そうそう。俺はその保科ってやつを知らないが、お前は充分知ってるはずだ。その顔を見ると、どうせ好ましいやつじゃなかったんだろ。むしろ嫌いなやつだ」
「まあ、どちらかというとそうだね」
 嘘だった。麦野からすれば、出来れば消えてほしい相手だった。それに、麦野はさっきちゃんと『見た』のだ。保科直樹さえこの世からいなくなれば、渉外の仕事は麦野に戻ってくるのである。どれだけ麦野が煙たがられていたとしても、人員が足りないのだから仕方がない。さっきの想定では最初から存在しなかったことになっていたが、今から急に保科が消えたとしても、同じことになるだろう。そうしたら、麦野の生活はどれほど楽になることだろうか。
「その嫌いなやつを殺せた世界線を覗き見られるのが、どくさいスイッチだ」
 そう言うと、冠城はもう一度懐からあのちゃちな黒いスイッチを取り出した。見ただけで、麦野は赤いボタンの重くて気持ちの良い押し心地を思い出す。何故か喉が鳴った。こんなにどこにでもあるような──ファミレスのテーブルの上に載っていると、呼び出しボタンとまるで区別がつかないような、そんなスイッチだというのに。
「そんなに神妙な顔で見るなよ。所詮、こんなのはオモチャでしかない。実際にその保科ってやつが死んだわけじゃないんだ。そうだろ」
「そうなのか? 僕が明日出社したら、何事も無かったかのように保科がいるっていうのか」
「つまりはその通りだ。これはあくまで仮想現実体感マシンでしかない。しかも、かなり狭い──ボタンを押した時に名前を呼んだ特定の人物が存在しなかった仮想現実のみをシミュレーション出来るマシンなんだよ」
 頭がこんがらがってきたが、若い頃にSF小説を読み漁っていたお陰でどうにかついていけた。結局麦野は『この世に保科直樹が存在していなかったら』というもしもの世界を空想体験していただけ、ということだろう。
「……なんなんだ、この妙な機械は。そんなもの、なんの役に立つ」
「これは、とある小国から持ち込まれた機械なんだ。ほら、少し前にニュースで話題になってただろ。独裁者が自分の敵対陣営を適当な理屈で虐殺したってやつ」
 冠城はその国の名前を口にしたが、麦野には全く分からない国だった。麦野はニュースも新聞も流し見でしか見ない。この国の大半が、ここではないどこかで起こっている虐殺のことを覚えていられない。そんな余裕が無いからだ。麦野もまた、本当に、本当に、余裕が無かった。
「その国の科学者がな。反権力的だっていって、研究の中止を命じられたんだよ。それで、科学者は必ず役に立つものを作るからっていって、独裁者に一年の猶予を求めた。そうして出来上がったのが『どくさいスイッチ』だ。究極の兵器だよ。消したい人間の名前を口にしながらボタンを押せば、そいつが存在してなかったことになるって兵器だ」
「……それは確かに独裁者にとっては都合が良いかもしれないけど、それって……嘘だろ?」
「まあ、嘘だな。それは単に一瞬で『そいつが消えた世界』をシミュレーション出来るだけだ。体験が終わったら何事も無かったかのように元の地点に戻るんだから、何の意味も無い。独裁者が邪魔な人間を何人、何十人、何万人消しても、そんなのはただの空想だ」
 そんなものを渡された独裁者はきっと怒るだろう。科学者だって、嘘が簡単にバレることは分かっていたはずだ。
「じゃあなんで……」
「科学者は、その独裁者がこの装置によって反省すると思ったんだな。この男なら、きっと周りの人間を全て消してしまう。あらかた周りの人間を消してしまい、その後で事の重大さに慄くだろうと。そうしたら、簡単に人間を処刑なんか出来ないだろうって」
「なるほど……」
「そんなわけないのにな! 普通にそいつは即銃殺だよ。こんな便利なものを渡されてぬか喜びさせられて、使えないオモチャだってバレたらそりゃあ殺される」
 ははは、と冠城は笑った。麦野の口の中は苦いものでいっぱいになり、気分は最悪だった。どうしてこの話がそんなに笑えるのか分からない。
「この装置の仕組みも、言ってしまえばおためごかしだ。このスイッチでシミュレートされる仮想現実は、あくまでその人間の脳を刺激して生み出されるものだ。『保科直樹がいない世界』は、あくまでお前が想像した『保科直樹のいない世界』でしかない。そこも難点だ。独裁者がこのスイッチを使ってシミュレートした世界は、そりゃあ快適だっただろう。だって、そいつはスイッチで人間を消した方がよりよい世界になると想定してたんだから」
「……それじゃあ、何の根拠も無い妄想だっていうことか。ますますただのオモチャだな。ベッドに寝転んで都合の良い妄想をしているのと変わらない」
「いやいや、そうとも限らない。ここで引き出された妄想はかなり客観的なんだよ。お前に都合の良い妄想だったら、保科直樹一人が消えただけで結構な栄転になったはずだろ? そうじゃないか?」
 麦野の悲観的な脳味噌を考える限り、そうなったとも言えないが──少なくとも、もう少し明るい気分に、少なくとも、あれの存在も一緒に無くなっていてもおかしくない。客観的な事実をシミュレートしている、という話にはなんとなく頷けるものがあった。
「それじゃあここでクイズだ。一人の科学者が夢と希望を持って作ったこの『どくさいスイッチ』。これが現実に影響を及ぼさないオモチャだとして──これの活用法は何だ?」
「……現実逃避くらいしか思いつかない。結局現実は変わらないんだ。自分を慰めるくらいにしか使えないだろ」
「いや、そうじゃない。お前の体験がどうだったか知らないが──保科直樹がいなくなった時、現実には変化があったんじゃないか? 具体的には、保科直樹がいたポジションに、他の誰かがいたんじゃないか?」
 麦野は思い返す。確かに、保科が存在していなかった場合、部長の座に納まっていたのは山無だった。山無がああも順調に出世するかと驚きもしたが、きっとそうなるように出来ているのだろう。
「この世の中っていうのは面白いように出来てるだろ。誰かがいなくなれば、誰かがそこのポジションに収まる。俺がいなかったら、俺と似たような仕事をしているやつが俺のポジションに収まる。お前がいなくてもそうだ。お前のポジションに誰かが収まる。どくさいスイッチの本質は、その人物がいなくなった場合、誰がそのポジションに収まるかを正確にシミュレート出来るところにある。実際に、その国のその後の話をしてやるよ。科学者を射殺した独裁者は、少し経ってから同じように活用法に思い至った。反乱軍のリーダーを消した場合、そのポジションに収まる第二の重要人物は誰か、第三の重要人物は誰かを、そいつはスイッチを使って調べ始めた。そして、今はまだマークされていない七番目、八番目の重要人物から殺し始めたんだ。リーダーは後で殺せばいい。後釜から先に潰せばそれで済む」
 麦野は思わず身震いした。つまりはそういうことなのだ。保科の次に有力な出世頭は、あの会社では山無だった。もし麦野が保科のポジションに収まろうとすれば、保科だけではなく山無もいなくなってもらわないといけない──ということになってくる。しかも、そのシミュレートは恐らく、かなりの精度を誇っている。何しろ、客観的なものだから。
「まあ、そうやって独裁者がスイッチの活用法に気づいた辺りで、そいつは側近に裏切られて殺された。そういう段になってやっと旗色が悪くなったことに気づいた近隣諸国が介入、国連が遅すぎる声明を発表して、今はなんとか国を立て直しているわけ。で、流れ流れて、この『どくさいスイッチ』は、その重要性もさして理解されないまま日本の企業が買い上げ、審査に回した」
「審査っていうのは……」
「こういう怪しい発明品を『ひみつ道具』っていうオモチャに認定するには、審査が必要なんだよ。保留特許発明物審査局っていうところが、倫理的に問題無いかとか、危なくないかとか、そういうものを調べて世に出していいかをお国に報告するわけだ」
「こんなもの、明らかに駄目だろう。絶対に世に出していいはずがない……」
「それを審査するのが俺だっていうのが運の尽きだったな」
 冠城の声は、そこだけ暗い喜びに満ちていた。
「当然、どこをどう切り取ってどう甘く審査したところで、こんなものが通せるはずがない。これは然るべき処置をされた後に完全廃棄されることになる。だから、俺が個人的に『借りてる』んだ」
「こんな代物を借りられるセキュリティなんてどうかしてるだろ」
「いやいや、お前が心配するようなことじゃない。俺の職場のセキュリティーはかなりしっかりしてる。けど、この時代になっても、人間の力を信じすぎてるんだ。今でもセキュリティーの要には人間がいる。だから、これが使える」
 冠城が指先でどくさいスイッチを軽く弾いた。今までの説明で、麦野にも冠城がどうやったのかが察せられるようになっていた。
「……持ち出しの障害になる人間を一人一人消してシミュレートしたのか。このスイッチを使って」
「その通り。警備員Aがいなかったら、代わりにBがこの穴を埋める。AもBもいなかったら、Cが派遣されてくる。この三人が消えたら、残念ながら人員不足で、ここの区画の警備員はロボットが派遣されてくる。だから、何らかの理由で三人だけ職場に来させなければいいんだ。どくさいスイッチに触れられる環境があるだけで、俺はそこを掻い潜れた」
 麦野はいよいよ恐ろしくてならなかった。仮に冠城が麦野を殺したいと考えていたところで──それを目撃しそうな人物や邪魔しそうな人物──それらを予め消してシミュレート出来るのだ。そして、それらの人物を犯行から排除すれば、成功確率はぐんと上がる。これは『消したい人間を消せるオモチャ』なんかじゃない。これは後釜の、排除装置──。
「それを持ち出して、どうするつもりなんだ。というか、その話になんで僕が関わってくるんだ。僕とお前は三十年ぶりに会うんだぞ。僕はお前のことを覚えてすらいなかった。こんな、こんな犯罪行為を告白されて、僕はどんな気持ちで──」
「それこそ、俺が聞きたい」
 冠城は急に真面目な顔つきになって言った。ここからが、長い長い前置きを経ての本題のようだった。
「俺は、どくさいスイッチを使って、とある計画のシミュレートを行っていた。俺の務めている局の上に位置するテック企業の一人娘を誘拐するって計画だ」
「……最悪だ。なんでそんなことを」
「金だよ。誘拐は成功率が低いが、リターンは何より大きい。それで、俺はこの誘拐計画の障害になりそうな人物を一人ずつどくさいスイッチで消し、その後釜に誰が入ってくるか──誰がこの計画を失敗させるかのシミュレートを行った」
 まだ話が見えなかった。今のところ、かつての同級生がとんでもない犯罪計画を立てていることしか分からない。
「そうして、十六人ほどの危険人物をリストアップした。有能なボディーガード、一人娘についている秘書、かねてから彼女についている家庭教師。こいつらを妨害出来れば、計画は順調にいくことがわかった」
「はあ、意外と少ないんだな。いや、それほど取り替えの利かない人材が多いのかもしれないが……それくらい有能な人間が十六人もいるというのは、流石は社長令嬢──」
「十六人消して、十七人目がお前なんだ」
「え? はあ?」
「この十六人がいなくなると、十七人目のお前が、誘拐計画を失敗させる」
 麦野は──麦野は、正直反応が出来なかった。麦野はただのサラリーマンだ。もう五十に差し掛かろうとしている。今の技術はよく分からない。当然、ひみつ道具とやらを扱っているなんたらという局も、その上のテック企業も、その社長令嬢とも面識は無い。関わる余地が無い。
 なのに、その麦野が、社長令嬢誘拐事件を阻止する?
「冗談だろ。それは僕じゃない」
「いいや、お前なんだ。十六人消すと、どんなパターンでもお前が出てくる。逆に、十六人のうち一人でも残っていたら、お前は令嬢を助けに来ない。クソ、お前は一体何なんだ。なんでそうなった時だけ出てくるんだ」
「そんなこと言われても、僕だってわからない。そんな、出すのが難しい隠しキャラみたいな……。もしかして、僕がたまたま令嬢がさらわれるところに居合わせるってことか? そうであっても、僕は……正直止められる気はしないけど……腕っ節も、そう強くないし……それに……」
「いや、お前は乗り込んでくる」
「乗り込んでくる!?」
 いよいよ訳が分からない。それじゃあまるでテコ入れみたいじゃないか。令嬢を守る十六人の人間が使えなくなった時のみ、バックアップで投入されるお助けキャラこと麦野公平。馬鹿な。そんなことがあるはずがない。麦野自身が絶対に無いと思っているのに。
「一応、お前も消してみた。すると、それ以上は現れないんだ。令嬢の誘拐事件を阻止してくる人間は、全部で十七人。お前まで消せば、計画は必ず成功する」
「そ……そんな……トリ……トリかあ……」
 麦野は今までそんな重要な役割を任されたことがなかった。忘年会のカラオケですらトリを務めたことがないのに、自分の存在次第で令嬢が誘拐されるかどうかが決まるなんておかしい。でも、スイッチで調べたら、そういうことになっている。
「俺は……お前のことをよく知らない。お前は今まで、ターゲットの周辺に全くポップアップしてこなかった人間だ。お前がどうして誘拐事件を止めにくるのか、どうして俺の邪魔をしに来るのかがさっぱり分からないんだ。俺の脳を使ってシミュレートしているにせよ、そこにはやはりある程度客観的な情報が含まれている。どうしてお前なんだ? 他の人間でもいいはずなのに」
「分からない……というか、本当に知らないんだ……やってもないことの理由を尋ねられても困る」
「でも、お前はやるんだ。もしかしたら、この話を聞いて義憤に駆られて助けに行くのかと思ったが、それだとパラドックスが生じる。どくさいスイッチによるシミュレートで、お前が助けに行くという未来が弾き出される、それを聞いたお前が助けに行く、だと辻褄が合わない。どくさいスイッチはあくまでその時点での俺の脳を参照しているからな。となると、俺が覚えていない無意識下の記憶──それこそ、中学の時にあった出来事で、お前なら助けに来るだろうと俺が判断しているとかなのか? だが、俺は三十年前のお前がそこまでヒロイックだった覚えがない」
「間違い無くヒロイックなんかじゃなかった。軽いいじめのようなことだって見過ごしていたし、あまり関わりたくなかったんだ」
「じゃあなんで金持ちの娘は助けに乗り込んでくるんだよ」
「知らないよ! 僕はやってない!」
 麦野がやってもいないことの弁明を叫ぶと、冠城は大きく溜息を吐いた。なんだかどっと疲れてしまった。まだやっていない謎の行動の理由を責められる。そのことが、どれだけ疲弊することか。
 麦野はそんなに良い人間じゃない。ヒロイックな精神を発揮して誰かを助けた経験も無いし、これから誰かを助けたいと思うようにもならないだろう。それだけは確信していた。麦野は、誰も、救わない。絶対に。
 話が水掛け論の膠着状態に陥ったからか、冠城が少しだけ表情を緩めた。そして、静かに言う。
「……まあ、お前の言い分もわかった。それだけ言うってことは、お前には本当にその気がないんだろう。どうしてこんな結果が出たのか分からないが、お前に一つ頼みがある。絶対に、俺の計画を邪魔しないでくれ。お前は別に何もしなくていい。ただ、誘拐を止めにこなければそれでいい。頼めるか?」
「頼めるかって言われても……」
「もしお前が俺の邪魔をせず、計画の成功に消極的に手を貸してくれるなら、分け前をやる。三億でどうだ」
 麦野にとっては寝耳に水の大金だった。その金額を聞いただけで、じわっと麦野の背が汗を掻く。
 今の麦野には、そんな大金など最早使う当てがない。だが、何もしないだけで、冠城の邪魔をしないだけで、それだけの金額が手に入るなら。ただ何もしないことだけを、すればいいのなら──。
「……わかった。僕は本当に、何もしない」
 麦野が言うと、冠城はあからさまにホッとした顔をした。
「よかった。これで十七人全員を無力化出来る算段がついた。計画は必ず成功する」
休憩します!
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みとこん
今の行まで追いつきました。すごく面白い小説になりそうで楽しみです…!
44:29
みとこん
めちゃくちゃ面白くて寝れなくなりました。好きな作家が文章を生み出しているリアルタイムが見られるの凄い。。
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向き
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さっきまで寝てたがもう眠い
初公開日: 2024年11月20日
最終更新日: 2024年11月20日
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