ぴちゃ、と静かな地下室に音が跳ねる。
血溜まりがそこかしこにできていて、血の雨でも降ったのかと思ってしまう。
無造作に転がされた死体は、どれも傷は1箇所だけ。ぱっくりと綺麗に切れた傷口から、臓器やら脂肪やら骨やら、そういった『部品』が覗いている。
???「ねー、汚しすぎじゃない?」
右目を隠した狡猾そうな印象の顔をした男がブチブチと文句を言う。
彼は中国から進出してきた『龍門会』と言う組織の幹部で、東海と名乗っている。組織の幹部、と言うよりは詐欺師のような顔をしているが。
東海「聞いてる?もしかして耳切り落とされちゃった?」
???「……」
東海「返事くらいしてよー。人とコミュニケーション取る姿勢くらい見せないと嫌われるよぉ?」
東海に話しかけられている男は、斜め上を向いて無視しようと試みている。
彼もまた、『龍門会』の幹部である。蝙蝠と言うが、極端な無口のせいで『ハシビロコウ』と呼ばれたこともある。
東海「おーーーい」
???「東海、ちょっとは黙れないのか?」
転がっていた死体を蹴り飛ばし、やや赤みがかった黄色…藤黄色の髪をした男がこちらへやってきた。
東海と同じ、『龍門会』の幹部、韋駄天だ。
東海「俺だっていっつも喋り通しじゃないよ。聞き上手の方だし」
韋駄天「今うるせえんだよ」
東海「ごめんごめん。…で、何か用事?」
韋駄天「お前じゃねえ」
蝙蝠「……『仕事』か」
ずっと黙ったままだった蝙蝠が口を開いた。
韋駄天「『貿易社』を潰しにかかるみてぇだな」
東海「あー、『会社』の先回りしなきゃっていってたやつか。ま、蝙蝠くんなら簡単でしょ。バレても見逃してもらえる確率高いし」
韋駄天「は?…お前、何知ってるんだよ」
東海はにやにやと笑う。チェシャ猫のようだ。
蝙蝠は、東海の発言を無視して歩き去って行った。表情は読めないが、動揺しているのか、していないのか…。
東海「韋駄天くんは知らないかー。まあ、そのうちわかるんじゃない?」
韋駄天「なんなんだよお前…」
舌打ちをして、韋駄天も去っていった。また死体を蹴っている。
東海「んー、ちょっと遊びに行こうかな」
不穏な響きがする。合法的な遊びではないのかもしれない。
この世界で生きる人間は