[登場人物]
・嵐山 晴人(らんざん はると)…『怪盗探偵山猫』勝村
28歳。男。雑誌記者。
177cm、特徴がない、『僕』、ヘタレ
・上里 絵麻(かみさと えま)…『怪盗探偵山猫』さくら
27歳。女。嵐山の同僚。
165cm、キツめの美人、『私』、押しが強い
・熊谷 紬(くまがや つむぎ)…『天久鷹央』鴻池舞
21歳。女。透明人間の女子大生。文学部。
150cm、タレ目のウサギ系、『紬』、おっとりして見えて計算高い
・鴻巣 陸(こうのす りく)…『怪盗探偵山猫』山猫×ナンパモブ
21歳。男。熊谷の友人。経済学部。
178cm、チャラいイケメン、『俺』、ナンパ好きだが根は優しい
・春日部 隼(かすかべ しゅん)…よくある警察モブ
24歳。男。警察官。
180cm、強面、『俺』、頑固で真面目
・桶川 あかり(おけがわ あかり)…『作家刑事毒島』の容疑者全員
17歳。女。透明人間の高校生。
162cm、文学少女風、『私』、おとなしい作家志望
・入間 幹斗(いるま みきと)…『鑑定人 氏家京太郎』氏家×研究者モブ
34歳。男。透明人間について研究。
178cm、胡散臭そう、『俺』、好奇心旺盛
・北本 小春(きたもと こはる)…『兇人邸の殺人』剛力
25歳。女。メイク系ユーチューバー。
173cm、童顔、『私』、腹黒
・吉見 貞弘(よしみ さだひろ)…『作家刑事毒島』(そのほか諸々)麻生
26歳。男。捜査一課の刑事。
183cm、精悍、『俺』、正義感が強い
・宮代 侑(みやしろ ゆう)…『作家刑事毒島』毒島×河上さん
26歳。男。捜査一課の刑事。透明人間
153cm、温和そう、『私』、なんか不穏
登場人物の肉付けは後々。
[世界観]
・50人に1人が透明人間の遺伝子を持っている
・透明人間は、『不透明化薬の服用』を義務付けられているが、高価なため服用者は少ない
・透明人間になるのは5歳〜10歳ごろ。故に国へ届け出ない人物も多い
[話数の振り方]
・『第○話』
『第一話』
東京には数多くの出版社が集まっている。
嵐山が勤めている『文藝青墨』は、有名とは言えないかもしれないが、中堅どころの出版社だ。
嵐山は『文藝青墨』の雑誌記者だが、芸能人のスキャンダルを追いかける記者ではない。
そういったことをする度胸はない、気弱な記者である。
上里「嵐山〜。ちょっと来て?」
同僚の上里が不穏な笑みを浮かべて、彼を呼んだ。
こういう時は逃げるべきなのだろうが…。
嵐山「は、はーい」
周りが同情するような目で見てくる。
上里「嵐山はさ、スクープあげれない記者だって自覚あるよね」
嵐山「はい…」
上里「これで昇給の可能性が見えてきそうなネタ拾ってきたから、取材お願いね。あ、断るとかやめてね?」
嵐山「ひええ……」
上里は嵐山に一枚の紙を押し付けた。
上里「新しい『不透明化薬』の開発が進んでるみたいで、改めて透明人間について取材してきてくれない?あ、リストは後でメールしとくから。まずは主任研究員の入間さんに会いに行って」
嵐山「透明…?え?」
理解するよりも早く、編集部を追い出された。
渡されたA4の紙には、数行の文章しか印刷されていない。
『新しい『不透明化薬』。透明人間の心情は?』
嵐山「これタイトルじゃん…。説明してよ……」
雑誌記者が最新ニュースを知らないというのもおかしな話だ。
まあ、扱いは大きくなかったから当然かもしれない。
嵐山「透明人間っていうと…『不透明化薬』の服用が義務付けられてるけど、高価すぎて透明人間が届出をしなくなってきてるって話があったような…なかったような…」
安価な『不透明化薬』が開発されるとなると、透明人間の人口も増えるのだろうか。
嵐山「東名大学の入間幹斗…。どこかで聞いた気もしなくもないかなあ」
数分歩けば、医学部キャンパスが見えてきた。
さすがは日本の最高学府。周りの大学生たちは、嵐山には到底理解できそうにない言語を喋っているようだ。
入間の研究室は、研究棟の一番東にあった。
入間「文藝青墨の…ええと、なんて読むんだ?」
嵐山「らんざんです。今日は、新しい…」
入間「『不透明化薬』について?あ、どうぞどうぞ。そこの椅子にでも座って」
胡散臭そうな笑みを浮かべて椅子をすすめてくる。
入間「さて、どこから話したらいい?」
嵐山「じゃあ…どうして、新しい薬の開発を?」
入間「一番は、透明人間による犯罪を防止するために作られた『不透明化薬』が高価すぎて、結局抑制になってないことに不満を覚えて、かな。金ならあるしね」
嵐山「どこかの企業が援助を?」
入間「いや…。まあ、そんなところだ」
嵐山「そうですか。入間さんは、実際に透明人間の方に会ったことは…?」
入間「あるよ。なんというか…まあ、不可抗力だな。正直、あんなに身勝手な奴らに会いたくはなかったよ」
嵐山「身勝手…」
入間「口を開けば、愚痴と不満のオンパレード。飽き飽きする。あんな奴らが好き勝手にできる世の中を次世代に繋げるわけにはいかないだろ」
入間の言い分もかなり極端だ。
透明人間は制限も多く、確かに不満は多いだろう。だが、彼らだけを悪者にするわけにもいかない。
入間「研究内容についての詳細は…」
嵐山「あっ、社の方にメールを送っておいていただけると…」
入間「わかった」
入間自身、素人にいちいち説明するより、すでにまとめてある資料を送付するだけの方が楽だろう。
嵐山は足早に研究室を出た。
スマホから着信音が聞こえる。
『透明人間のリスト、添付しとく。全員当たって、透明人間の声をちゃんとキャッチすること!真面目にやらなかったらどうなるかわかってるよね? 上里』
嵐山「ひえ…」
文面からも圧が伝わってくる。
添付されたいたリストには、ざっと10名ほどの名前が載っていた。
職業欄には、高校生や小学生、官僚の文字もあった。
嵐山「誰から取材しよう…。……………サイコロで決めよう」
公園のベンチに座り、サイコロを取り出す。
三回降った結果、5番目に書いてあった人物から始めることになった。
『桶川あかり』。名門女子高校に通う高校生だ。
女子校の前で待つ男性、というかなり怪しいシーン。
幸い、桶川はすぐに現れた。
嵐山「桶川あかりさん?ちょっと話を聞きたいんだけど。…あ、僕は『文藝青墨』の記者で…。透明人間について取材しているんだ」
桶川は露骨に嫌そうな顔をする。
桶川「記者?…名刺、ありますか」
嵐山「え、名刺?ちょっと待って…」
慌てて名刺入れを引っ張り出すと、勢いでメモ帳も飛んでいった。
桶川が呆れた目をしつつ拾ってくれる。
嵐山「はい、どうぞ」
桶川「…本当に記者さんなんですね。私の小説を掲載したくてきたのかと思いました」
嵐山「はあ?…小説、書くの?」
桶川「はい。新人賞に応募したりしています」
嵐山「へ、へえー…」
桶川「私、自分で言うのもなんですが才能あって。初めて応募したのに、最終審査まで行ったんですよ」
それは、ビギナーズラックと呼ばれるものだ。頻繁に起こるオモシロ現象…といったところ。
嵐山「また小説も読ませてもらうね。…で、新しい『不透明化薬』が開発されてるって話は…」
桶川「知っています。私としては、どうでもいいですね」
嵐山「どうでもいい?」
桶川「透明人間が犯罪を犯しても、私には関係ありませんから。私はちゃんと薬も飲んでいますし」
嵐山「そっか…」
???「それでも、念の為容疑者にはさせてもらいますよ」
嵐山の背後に、二人の男性が立っていた。
一人は180cm以上はあるだろう長身。
もう一人は、150cmあるか怪しいほど小柄。
絵に描いたような凸凹コンビだが…。
吉見「警視庁捜査一課の吉見です」
宮代「宮代です」
桶川「またですか。迷惑なんですけど」
吉見「まあまあ…。国民の安全のためですんで」
桶川「警察が守るのは国民じゃなくて法律でしょ。“国民のため“って言えば許すとでも思ってるんですか」
宮代「国民を守るための法律を守っているんです」
吉見「うわ、三段論法やりたいのかお前…」
宮代「柳澤が退職したからって君が彼の分までしゃべる必要はないです」
吉見「…俺たち、同期だよな?」
宮代「そうですよ、吉見刑事」
吉見「柳澤カムバック!!!!」
路上漫才を始めた。刑事だと言うのに、全くそう見えない。
新手のコントだと言われた方がまだマシだ。
桶川「…帰っていいですか」
吉見「ちょっと聞きたいことがありますんで、待ってもらえますか?」
桶川「また何かあったんですか?」
嵐山「また…?」
宮代「透明人間が犯人と思われる殺人事件です。そのうち報道されますよ」
吉見「おい、宮代…。…まあ、そう言うわけなんで」
嵐山「透明人間が犯人ってことは、密室ですか?」
吉見「あーーー、アレですよ、あの…透明な密室」
嵐山「監視カメラで犯人が映っていなかったとか、衆人環視の場所で、殺人が起きたんですね?」
妙なところで記者魂を発揮してくる。それを普段から行なっていれば、昇給も早いだろうに。