繰り返す、独占
もう何度目になるかわからない、二人きりで過ごす夜のこと。キングさんの腕に抱かれ、ぽつりぽつりと続いていた会話が途切れた。このまま眠ってしまおうか。少し悩ましく思いながら、ふと彼の横顔を見る。
閉じられた左目を囲む、葉っぱのような入れ墨。
迷わずそれへ指先を伸ばした。こめかみへそっと触れたその時、キングさんの体がビクッと跳ねて、目が開かれる。
「あ、起こしちゃった」
キングさんはちらりとこちらを見ると、大きく息を吐いた。
「寝てない。急に触るから驚いただけだ」
「ごめんなさい。ちょっと触りますよ」
おでこから頬へ、一枚ずつ葉っぱの縁をなぞる。
「痛かったですか?」
「ん?」
「これ、入れた時」
「あー、痛かった気がするけど、昔過ぎて覚えてねェな」
頬の最後の一枚をなぞり終えたら折り返し、今度は頬から額へ。何度も繰り返しなぞっていたら、二往復めで手をつかまれた。
「しつこい」
キングさんの手が伸びてきて、私の頬をむにむにとつまむ。それから、左目の上からこめかみを通って頬へ、指先が何度も左目を囲うように伝う。
「同じやつ、入れてやろうか」
「えっ」
「冗談だ。お前痛いの嫌だろ」
飽きたのか、指先が離れていく。
痛いのは苦手だ。入れ墨はおろか、ピアスも怖くて開けてない。でも、キングさんとおそろいなら……。
「キングさんは嫌じゃないんですか。おそろいなんて……」
「別に」
へぇ、なんか意外……。てっきりおそろいなんて恥ずかしいって言うと思ったら。
「おれのだって、一目でわかって良いだろ」
つまりは持ち物に名前を書くみたいなこと?
「でも、逆も言えますよね。キングさんは私のもの、って。あ、でも他の人にはおろそいってわかんないのか……」
キングさんは普段、マスクを被っている。フルフェイスのマスクは彼の顔をすっぽり覆い隠しているから、彼の素顔を知る人は少ない。
もしも私の左目に愛らしい葉っぱが彫られたなら、たくさんの人に見せびらかして自慢したい。でも、彼の左目に彫られた秘密を独り占めしていたい。なんだか複雑な気持ちになって言葉に詰まっていたら、キングさんが言った。
「揃いのマスクでも作るか?」
「そっちの方がわかりやすくて良いかも! でも私に似合うかな……ちょっと借りても良いですか?」
ベッドから起き上がり、サイドテーブルに置いてあったマスクを被った。鏡を見たいけど、思ったよりブカブカで目穴の位置が合わず、周囲を見渡すことさえ困難だ。
「キングさん、どうですか? 似合ってますか?」
「いや、フフッ、似合ってない」
「えー!?」
「フフフ、マスクじゃなくても、首輪とか、腕輪とか……指輪でも良いんだが」
「えっ? 今なんて言いました?」
自分の声が反響してキングさんの声が聞き取りづらい。私はマスクを脱いだ。キングさんはニヤニヤと笑っていた。
「もしかして、なんか悪口言ってました?」
「言ってない。全然似合ってないから揃いのマスクは無しだな」
そう言って、キングさんの手のひらが私の方へ伸びてくる。トゲトゲのマスクをサイドテーブルに置き、私の頭を優しくなでる。きっと髪の毛がくしゃくしゃになっているんだろう。何度も何度もなでつけられて、そのままキングさんの胸に寄りかかる。
「キングさんとおそろいしたかったなぁ」
キングさんは何も言わず、ただ優しく髪の毛をなでてくれた。
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26:37
ななし@bad4fd
こんばんわ、お久し振りですアサ子さん 乱丸です
42:46
アサ子
乱丸さんこんばんは!気付くの遅くなってごめんなさい
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初公開日: 2024年09月21日
最終更新日: 2024年09月22日
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