<企画概要>
・30分の間に即興で、「お題ガチャ~執筆」までして行こうかと思います!
・お題は、ランダムに「単語がちゃ」してくれるサイトを利用しております。
・自分ならこういうのつくる!とか一緒に考えたり、なんでも気軽にコメントいただければと思います!
それでは、よ~い、どん!
<お題>
①三つ編み
②小説
<小説>
久々に帰った地元は、どこも変わっちゃいない。
廃れた商店街に、古臭いお好み焼き屋。
久々に会った友人たちだって、変わらず元気だ。
高校のバスケ部の同級生たち。
高校を卒業して、わたしたちも25歳になった。
地元に残った子もいれば、わたしみたいに上京した子もいる。
高校時代みたいにわたしたちは盛り上がって、
あの頃には飲めなかったお酒を飲んで、
それから、お互いの近況について話し合った。
「あさみ、結婚おめでとー!」
とか、
「くみは二人目の子供が出来たんでしょ!」
とか、
「さとみは、韓国に語学留学してるんだって。だから、今日これないの、残念がってた」
とか、
高校の時には想像も出来なかった話題を話す。
「美希は?」
隣に座っていたあさみに名前を呼ばれて、はっと顔を上げた。
「え?」
「やい、話きけって! 美希は最近どうなの?」
訊かれて言葉に詰まる。
「別に。何も変わってないよ。今は彼氏もいないし」
「ふうん」
ーー何も変わってない。
その言葉にずんと心が重くなる。
言葉通りで、わたしは高校の時から何も変わっていない。
田舎で何も成さないまま死んでいくのが嫌で、
上京したら何かが変わるって思ったのに、
結局、東京にいたって地味な毎日を送っている。
あさみや、くみ、みたいに、素敵な出会いにも縁がない。
どこにいたって、ぱっとしない自分も、
だからといって、海外に飛び出したり、何か大きな決断をするほどの決意がない自分も、大嫌いだ。
「きゃー!」
と、あさみたちが声を上げた。
「なつかしー!」
どうやら、誰かのスマホに保存された高校時代の写真を見返しているみたいだ。
久しぶりの同窓会で、
ブルーな気持ちでいたって仕方ない。
わたしもあさみたちに交じって、高校時代の写真を見返す。
そして、「あ!」とわたしは声を上げた。
「これ、懐かしくない?」
写真に写っているのは、制服姿のみんなの集合写真で、そしてそのバッグにミサンガが点いていた。
「これって、さとみが部員の全員の分、作ってくれたんだよね」
と、あさみが言う。
そうだ。手作りのミサンガ。
毛糸を三つ編みにしたもので、切れると願いが叶うなんてものを、
みんな真剣に信じてバッグや足首につけていた。
わたしもそのミサンガを、ずっとバッグにつけていた。
あのミサンガは、切れたのだっけ。
何を願っていたのかも分からない。
——所詮、大したことのない願いだったのだろう。
日付を跨ぐ前に、同窓会はお開きになった。
実家だって地味なわたしは、帰宅して、
上京するまで使っていた狭い畳の部屋に寝転がる。
部屋は、わたしが高校の時に使っていたころと変わらない。
教科書や、当時嵌まっていたアイドルのポスターもそのまま。
お酒のせいか、なんだか目は覚めていて、
わたしは昔の思い出の品を手に取って、感傷に耽っていた。
ふと、本棚をながめていると、
「パティシエになるための本」なるものを見つけた。
手に取って、思わず声が漏れた。
その本の間に、あのミサンガが挟まれていたのだ。
次に笑いが込み上げた。
あれだけ大事にしていたミサンガを、しおり代わりにしている自分が可笑しくて、
なによりも、当時のわたしは「パティシエ」になりたかったのだと思い出したから。
すっかり忘れてしまっていた夢だ。
(間に合わず・・・・!)
<なので10分延長戦>
こんなに地味なわたしも、海外に渡って有名なパティシエに・・・!
と意気込んでいた時代があったのだ。
もちろん、そんな夢が叶う訳もなかった。
それでもあの時のわたしは、真剣にパティシエなる夢を抱いていた。
ミサンガに願ったのは、そんな叶わない夢だったのだ。
わたしはミサンガが挟まった本を胸に抱いて、
布団に寝転がった。
「ふっふふ」
お酒のせいかおかしくて仕方がない。
バカみたいな夢。結局未来のわたしは、こんなにも普通で平凡。
だけど、あの頃、
真剣にパティシエを夢見たわたしのおかげで、
マドレーヌの美味しいレシピを知っている。
たしかに、あの頃のわたしは今のわたしに繋がっている。
わたしはそのまま眠りについた。
ミサンガの挟まった本を胸に寄せて、からっぽの自分を抱きしめる。
(了)
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