バスティンとハナマルで貴族の子を預かることになった。ほかの執事は依頼やら用事やらで出かけてしまった。
「…ハナマルさん…俺は子守はわからない…教えてもらってもいいだろうか…?」
 おずおずといったようにバスティンに見つめられて、
「あはは~、まぁ、任せてよ」
 と返事をしたものの、実際はハナマルがバスティンに指示を出して動くのはバスティンで、ハナマルは監督をしていた。
 しかし、子守は初めてという割にバスティンの手際は良かった。ふだん、動物の世話をし慣れているせいもあるかもしれない。抱っこも様になっていた。
 お昼になり、腹が膨れた子供を寝かしつける場面になって、「東の大地の子守歌なんか忘れた」と言うバスティンに、ようやくハナマルが動いた。子供を挟んで川の字になり、ハナマルが東の大地の子守歌を緩やかに歌う。中盤あたりから子供を挟んだ向かいに見えるバスティンの瞼が降りかけている。歌い続けていると、バスティンは完全に落ちてしまった。
「遅くなり申し訳ありません」
 ベリアンが帰ってきた。
「よお、ベリアンさん。無事、子供もバスティンも寝たよ」
「え? バスティンくんも?」
「ああ、今ちょうど寝たとこだよ」
「子供と一緒に寝ちゃったんですね」
 くすりとベリアンが笑う。
「ああ。東の大地の子守歌覚えてねぇって言うから俺が歌ってやったら子供と一緒に落ちたよ」
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子守り
初公開日: 2024年07月18日
最終更新日: 2025年01月04日
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