ここはどこだ。
ディオン・ルサージュは盛大に迷っていた。渡された地図を見る。四条という場所は実にわかりにくい。なんだ?このチェス盤のような建物の並びは。前を見て後ろを見て左右を確認する。もう一度地図に視線を落とす。ううむ。わからぬ。
首を捻っても何かを閃くでも地図のどの位置に自分がいてどちらの方角を向いているのか見当がつくわけでもなく、この役立たずめ!と地図をクシャクシャに丸めることでストレスを発散した。
こうなってしまうのなら少しくらいは話を聞いて置くべきだったか、とディオンは思い出す。団員達に見送られる時、幕寮長は言っていた。
本当に徒歩で行かれるのですか?勘弁してください。せめて近くまでお供させてください。
腹が立った。何が勘弁してくださいだ。何故それほどまでに心配されねばならぬのか。子供でもあるまいし、心底不思議で仕方がない。私が今までに迷ったことがあったか?記憶を掘り起こしてみれば、確かに様々な戦場で正規ルートを辿って集合場所に辿り着いた事などなかったが、時間には間に合っている。寄り道したわけではないが、何故か地図が間違っていたりするのだ。私は悪くない。
そもそも、漢字というものが読めないのだ。振り仮名?少しならわかる。スシ。テンプラ。いやこれは今は関係がなかった。四条烏丸。ええと、あちらが五条で?ここが室町で。だめだ、頭が痛くなってきた。こんなものが無くとも私の勘でどうにかなるものだ。
そう、とにかく目的地に着けば良いのだから。
通行人の迷惑にならぬよう端に寄り、なるべく人気の無い場所を探す。閑散とした住宅街はどの方向から見ても全く同じで、完全に迷宮に閉じ込められたようだな、とディオンは至極真面目に頷いた。少し集中して翼を広げる。半顕現位なら許されるだろう。雲まではいかず、あの線──たしか電流が流れているから触れては駄目だと聞いている──の近くまで飛び上がる。うわ何やあれビックリ人間やろか?!とはたまたま通りかかった女性の声だったが、ディオンには伝わらなかった。
目印はタカシマヤ、とフジイダイマル、といったか。あの建物の、この道から少し歩いて、ここを右に───
…………
……
よし!!勘だ!!
ディオンは地図を投げ捨てた。
地上に降りて胸を張って歩く。その自信はどこから来るんですか、とツッコめる仲間はここにはいない。向かう方向だけはわかった。建物のわかりやすい看板も見えている。そちらを見据えながら◯丁目だとか読んでもどうせわからない現在地の案内を無視しつつ、己の直感だけを頼りにディオンは歩いた。
名前もわかっている、おそらくここだろうと完全に勘だけで立ち止まった家の前、木の板に彫られた名前と行き先が一致したのを確認して、ほら見たことか、とディオンは笑顔を浮かべた。
満足感が凄い。ちゃんと辿り着けただろうと笑顔のまま、目的地の家の扉をノックして──、中から出てきた見知った顔に、ディオンはピシリと固まった。
「一人で行かないでくださいね、と私は告げたはずですが」
地図は?
無言で手を差し出してくる男にディオンは目を泳がせてクシャクシャに丸めた地図を懐から取り出した。男の顔が、いつもの優しい笑顔から部下を扱いているときのような鬼の表情になる。地図には、この男が前日に夜なべして描いた経路が、わかりやすい字と言葉で印されていた。そして注意書きも一つ。『絶対に道を守ってください』と。
「いや守った。歩いてきたが!?」
ここの家の中にいたのならわからないだろうと、せめてもの抵抗を試みる。
「さっき窓から見えましたが。貴方が空に」
「うっ!」
バレている。一人で出てきたことで怒られるのに、更に説教の項目を増やしてしまった。
男が笑みを浮かべる。爽やかで、見た者に好印象を与える顔だ。だが、私にはわかる。これは、普通に怒るよりもうえの。
「ディオン、先にひとつ言っておくけど」
「な……なんだ?」
急にプライベートに切り替えた男、側近から恋人に雰囲気を変えたテランスは、にこりと笑みを深くして重大な事実を教えてくれた。
「購入者は俺だからここじゃなくて屋敷に戻りましょうね」
「は!?」
「ついでにお互い一週間の休暇が受理されているので。お願いします」
「何をお願いすると!?」
それは此後すぐの説教と、反省の色をどう見せるかによるのだが。
もう勝手はしない、と深く心に刻む出来事が起こることには違いはない。
・1時間経つまえにおわりますーーー
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ディ様ふぃぎゅあ発売記念なんか書く
初公開日: 2024年06月30日
最終更新日: 2024年06月30日
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コメント
時間はかれるってオモロ!+ふぃぎゅあ発売おめでとう+どんなんかの試しもかねて、とりあえず使ってみる回。
なんもわからん🤔
テデなんか書きたい
書き出しメーカー回したから頑張ってみる現在あたままっしろ\(^o^)/
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