私は、きっと、嫌だったんだ。
アイツが、私の人生すべてをかけたものを、きっと何も考えず食べて、それで終わりにすることを。
私達が、肉を食べるとき、その畜産にかかわった人々の思いや、その動物が死にたくないと思ったであろうことに一mmだって気を向けないのと同じように。
きっとアイツは、そういう風に愛を消費できるんだ。
それがアイツの愛なんだ。
それがあいつにとっての|生殖活動なんだ。
例外はこの男だけだ。
空気を吸って吐くように。どうでもいい飽食のように。
アイツは愛を消費する。
|アレ《・・》はそういう生き物だ。
スマホをいじくりながら、片隅で感じる味のように、
もしくはテレビを見ながら談笑する過程のように。
感じたいと願う味を感じれない誰かのことなんて知らない人たちが当然に胡坐をかくその体験達に。
そうか。私は嫌だったんだな。
アイツが私の|愛を、食べるように消費すること。
そうなるに決まってるって、一目見た時に理解して、それに抗えないであろうと思ってしまうことにも、そんな自分自身を直視するのもついでに嫌だったんだな。
というかそれを理解することを避けてたんだな。理解してたら、中てられないから。
そうか。そうか。私はいつでも|無意識に助けられる。
まあ、人生を消費してアイツが幸せになることそのものには否やはない。
私はいつだって、相手が幸せならそれでいいと思っている。
ただ、アイツはそれすらしなさそうで。
私の人生を消費したところでアイツは不幸とも幸せとも思わないのだろうから。
―――なんだ。
そう思えるだけの感慨がまだ私に残っていたのか。
果たして、それが本当かどうかは、あの夜の跡を見ればわかることである。